「神のお告げ」か? 運命的に出合った“サンヨンGT-R”との毎日は、プライスレスな幸福に満ちている
2019/05/31

車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
きっかけは「西部警察」
今のところスタートから20年ちょいが経過した高津 諭さんの自動車生活。そのなかで購入した車は3台だけ。そのすべてが日産 スカイラインだった。スカイライン以外、興味がなかった。
きっかけは小学校低学年のときにハマったTVドラマ「西部警察」。
実際にはあり得ない、徹底的にカスタマイズされた劇中の警察車両。そのなかでもとりわけ、丸いテールレンズをもつ「ジャパン」と「ターボRS」、つまりは5代目C210型と6代目R30型のスカイラインに目を奪われた。「なんてカッコいいんだ!」と、小学生だった高津さんはしびれまくった。
ほぼそのままのマインドで少年から青年へと成長し、そして21歳の春に就職すると、1年目の冬に待望の「実物」を購入した。8代目スカイライン。というか「R32」と呼ぶ方が通りはいいあの世代の、GTSタイプSだ。
本当はターボエンジンであるタイプMが欲しかった。だが新社会人だった高津さんには、数十万円で買えた中古の自然吸気版(タイプS)が精いっぱいだった。
とはいえ待望のスカイライン。最高の相棒として約3年半をともにしたが、あるとき残念ながらエアコンのコンプレッサーが焼き付いてしまった。
もちろん部品交換を行って修理することもできたが、それには高津さんいわく「けっこうな額」がかかるとの見積もりが出てしまった。
「ならば」ということで、ローン残債を片付けたうえで購入したのが10代目スカイライン……というよりは、これまた「R34」と呼ぶ方がわかりやすいあの世代の、25GTターボだ。
▲こちらが高津さん2代目の相棒となったR34スカイライン。縁あって日産のショールームに展示されたこともあったという(ご本人提供写真)ある日降ってきた「神のお告げ」
R34型25GTターボのスカイラインも素晴らしい車だった。13年間乗った。
それでも機械製品にはどうしたって「寄る年波」というものが押し寄せてくる。
「エンジン自体はまだぜんぜんオッケーだったのですが、パワーウインドウとか、そういったこまごましたところが少々キテしまいまして……」
そのため、ついに“アレ”を買ってみることにした。
次に欲しい車として、かねてより頭の片隅にあった……というより“買い替えてもいい”と思えた唯一の存在。「R34型日産 スカイラインGT-R」だ。逆に言えば、これ以外の車種には乗りたいとすら思えなかった。
そして、このR34型GT-Rを買うならば、見る角度によって美しく色を変えるボディカラーが特徴の限定車『ミッドナイトパープルII』または『ミッドナイトパープルIII』と決めていた。
だがどちらも市場ではかなり希少。毎日のように「カーセンサーnet参り」を繰り返したが、目をつけていたミッドナイトパープルIIは「どうしようかな……」と逡巡しているうちに、あっという間に売れてしまった。
そんなある日。神のお告げかどうかは知らないが、なぜか早朝4時にパチッと目が覚めた。
そして「そういえば昨晩は日課(カーセンサーnetのチェック)を忘れてたな」と思い、PCを起動した。
すると1台だけ「ミッドナイトパープルIII」が掲載されていた。
見れば、販売店は東京都の青梅市。……行ける。そしてその日は、毎週末熱心に行っている草野球の試合日だったが、幸いなことに試合は午後から。……行ける。
ということで高津さんは身支度を整え、「手付金」を財布にぶち込み、青梅市へと向かった。そして開店時刻と同時にショップの門をくぐった。即決だった。

▲純正の雰囲気を大切にしたいため、今後も特にカスタムするつもりはないというが、ステアリングだけは25GTターボの時に使っていたmomoステに変えている
▲ボディカラーのミッドナイトパープルIIIは、見る角度によって色を変えるその後、相場は高騰。だが手放すつもりはいっさいない
「スカイライン生活」を始めてから約17年目にして初めて手にしたGT-R。やはり素晴らしい車だった。「人と車との一体感」と呼ぶほかない何かが、そこにあったという。
「サンヨンGT-Rのどこが好きって、もうすべてが好きというか、逆に全部が好きすぎて『どこが』とかいちいち考えてないですね(笑)。
丸みと角ばった感じとが両立しているフォルムも好きですし、決して飛ばすわけではないのですが、自分の両手両足を使って『思いどおりに動かせる』という部分、そしてそういった自分のイメージと入力に対して忠実に応えてくれるという点も、本当に素晴らしいんです。もはや自分の身体の一部……という感じでしょうか。このGT-Rは」
フリーランスの照明技師として、大企業のカタログ等の撮影現場で活躍している高津さん。大規模な撮影のときはもちろんトラックなどでたくさんの照明機材を運搬する。だが比較的小規模な撮影の際は、ミッドナイトパープルのGT-Rに照明機材を詰め込んで現場に向かうという。そして「ダブルヘッダーをやることが多い」という毎週末の草野球にも、このGT-Rで行く。
そのため1年間の平均走行距離は、GT-Rとしてはかなり多い。5年前の購入時に4.7万kmだったオドメーターは2019年5月半ば現在、約12万kmを示している。
それでもR34型GT-Rの中古車相場が高騰している昨今、この個体は売ろうと思えばかなりの高額で売却できる。実際、購入した販売店からも毎年のように「もしも手放すご予定がありましたら、ぜひ当店に……」という趣旨の連絡があるという。
「ありがたいお話ではあります。が、手放すつもりは一切ありません(笑)」
CMのコピーではないが「プライスレスな幸福」というぼんやりした概念を、そのまま笑顔のカタチに凝縮して焼き付けたたかのような笑顔で、高津さんは断言した。
▲どこに行くにもGT-R! 一方で手入れは怠らないのか、トランクにはたくさんの洗車道具が

高津 諭さんのマイカーレビュー
日産 スカイラインGT-R(R34型)
●購入金額/約540万円
●年間走行距離/約6000㎞
●マイカーの好きなところ/全部。特に色
●マイカーの愛すべきダメなところ/盗まれそうで怖いところ
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/未来の大人たち。車に興味をもってほしい。スポーツカーが売れた時代は景気も良かった。車業界がもっと盛り上がれば!

インタビュアー
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル XV。
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