車好きの夫婦が熱望したウッディなガレージ【EDGE HOUSE】
2022/03/28
▲一生ロードスターに乗り続けたいという夫と、竣工当時はミニのMT仕様に乗っていた奥様のガレージハウス。手前のロードスターは友人のもの。最近、奥様はカングーに乗り替えたが、その理由は「MTがあるから」ガレージハウスを建てるには奥様の理解が欠かせないが、この家はご夫婦揃って車好き。それもMT車にこだわりあり。そんな2人が望んだガレージは、整備に集中できる場所ではなく、リビングの延長のような温かみのある部屋。そこには防火規制という壁が立ちはだかるが、果たしてどのようにクリアしたのか?
ただの車庫や作業場ではなく、車を置くための部屋
車を買うならMT車、家を建てるならガレージハウス。それが当たり前だと考えるご夫婦が、ガレージハウスを建てるにあたって依頼したのが岩橋建築だ。社長の岩橋さんは初めて購入したという車がランサー エボリューションI、現在は某雑誌で表紙を飾るほど良コンディションのスカイラインGT-Rを所有しているほど、大の車好き。
車好きには、車好きが手がけるガレージハウスの良さがわかるのだ。そこまでこだわるほどだから、さぞやガレージでガシガシ整備したいのかと思いきや「部屋のようなガレージが欲しい」という要望だったと岩橋さんは言う。
ガレージで行う作業は、タイヤやオイルを交換する程度。それよりも「リビングと同じように、木のぬくもり、温かみのあるガレージにしたい」とリクエストされたそうだ。ご存じの方もいるだろうが、ガレージの内装には防火規制という高いハードルがある。だから板張りの壁など、木のぬくもりや温かみのあるガレージは本来難しい。
しかし岩橋さんは、その解決策をいくつか用意していた。「例えばダイライトという火に強い耐震壁材の表面に、ヒノキのチップをあしらった不燃建材があります。平屋ならOKなど条件はありますが、今回はこの壁材を使用しました」。
▲リビングからガレージを眺めた様子。リビングもガレージもウッドテイストのため、2台の愛車(ミニ、ロードスター)はまるでオブジェのよう▼検索条件
ミニ(初代) × 全国
▲オイル交換程度はガレージ内で行うが、”部屋”なのでハードな整備は行わない。とはいえ不動車だった原付バイクはここで修理したそう▼検索条件
マツダ ロードスター(2代目) × 全国
▲信頼性の高い国産のオーバースライダーを採用。最近の木目調は、本物の木製オーバースライダーと遜色ない見た目なのでオススメだ
▲レンガのように見える床材は、ベイマツに防腐剤を染み込ませてスライスしたもの。下地のコンクリートに、手作業で1枚ずつ張り付けた
▲ガレージ内に設けられた夫の趣味部屋。長時間過ごせるようにエアコンも完備している。本来はこうして寛ぐ場として活用するのが目的床材も一般的なコンクリート床ではなく、ベイマツに防腐剤を染み込ませたものをスライスして敷き詰めた。おかげで見た目はログハウスのようにウッディだ。オーバースライダーだけは国産の木目調にした。
「本物の木を使う海外製もあるのですが、木は重いため、よく故障が起こるんです。そうなると、いつ直せるかわからなくなる」。海外製品の部品が手に入りにくいことは、輸入車乗りなら心当たりのある人は多いだろう。
リビングとガレージの間には大きな特注のガラス戸が備えられた。リビングから愛車を眺められるようにするためだ。大きく開けばウッディなリビングとガレージが、ひと繋がりで大きな部屋となる。
また大きな吹き抜けのあるリビングからは、2階の子供部屋の様子も窺える。「夫婦の生活動線はすべて1階に集約。リビングにいれば愛車と子供、両方見守れます」。
さらにガレージには夫の趣味部屋も設けられた。「ところが竣工後間もなく、新型コロナウイルスの感染拡大で、現状は仕事のリモート部屋になっているそうです。ただ、パソコンの画面の向こうにいる同僚からは『すごくカッコいいところで仕事しているね』と好評だとか」と岩橋さん。
こうして念願のリビングのようなガレージを手に入れた2人。喜んでいることは言うまでもないが、岩橋さんいわく、建てた時からすでに愛着が湧いていたそうだ。
というのも「実は建築コストを抑えることも兼ねて、ガレージの床材を施主に敷き詰めてもらったんです。軽トラ3台分はあったかな。仕事終わりに一枚一枚丁寧に張ってもらいました」とのこと。
思い描いていたガレージを、自ら仕上げる。そんな楽しみも得られたガレージハウスだ。
▲リビングからだけでなく、キッチンからもガレージが見渡せる。どこにいても愛車を身近に感じることができるガレージハウスだ
▲施主自ら作り上げたガレージのウッディな床。何かと汚れ物が出がちなガレージ内にシンクを用意するのが、車好きな岩橋さんの心配り
▲1階のリビングからガレージや2階が見渡せる。忙しい共働きの夫婦のために、洗濯などの家事動線が一直線になるよう間取りが工夫されている
▲2階は子供部屋とフリースペースが設けられている。大きな吹抜けのおかげで、ソファでテレビを見ていても2階の様子がよくわかる
▲ガレージの反対側には、ウッドデッキのある中庭が設けられた。天気の良い日は中庭で、雨の日などはリビングやガレージ内で寛げる■主要用途:専用住宅
■所在地:愛知県知多市
■構造:木造在来工法
■敷地面積:356.01㎡(108坪)
■建築面積:133.97㎡(41坪)
■延床面積:133.09㎡(40坪)
■設計・施工:岩橋建築
■TEL:0569-27-7492
※カーセンサーEDGE 2022年5月号(2022年3月26日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています
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