「平成カーラバーズ MEETING 2nd」で出会った“ちょっと意外な(?)車を選んだ若者オーナー”が素敵だった
2019/11/30
▲「平成カーラバーズ MEETING 2nd」参加者の一人である彼女は「今日はお父さんのジャガーを借りようと思っている大学生の娘さん」ではなく……見た目からは想像できない車種に乗っている場合、多し
平成生まれの、平成生まれによる、平成生まれのための自動車愛好任意団体「平成カーラバーズ」が11月9日に横浜市で開催した「平成カーラバーズ MEETING 2nd」。
会場に集結した約50組の善男善女は「平成生まれの車好き」という共通項はあるものの、実際は多種多様な年代およびカテゴリーの車に乗っているため、「参加者の傾向はこんな感じでした」みたいな形でひとくくりにまとめることはできない。
だが少なくとも感じられたのは、「お若い人々は、その見た目からはあまり想像できない車種に乗っている場合が多いな」ということだった。
いや、昭和の時代も「えっ? アナタがこの車に……?」みたいな人はいたわけだが、嗜好の細分化のせいか、そのパターンが昭和時代より多くなっているように感じられたのだ。
▲会場には平成生まれであるないに関わらず、約50組の善男善女が集結した。「ジャガーが、いやフルノーマルのジャガーが大好き」と言う21歳
▲「その見た目からはあまり想像できない車種に乗っている若者」の代表例その1は、自分のお給料でこの06年式ジャガー XJ6 エグゼクティブを購入した21歳の会社員、相原百香さん21歳だ「静岡県の21歳OLさん」というと、筆者などは自動的に「お父さんに買ってもらった新車の軽自動車で毎朝、10km先の会社まで通勤」みたいな図をイメージしてしまうのだが、相原さんの通勤車は軽自動車ではなく2006年式のジャガー XJ6 エグゼクティヴ。フルノーマルのシブい個体で、しかも「お父さんに買ってもらったやつ」ではなく「自分のお給料で買った車」である。
「中学生の頃からなんとなく車が好きになったんですが、まあ東京と違って静岡の田舎ですから、まずはどうしてもいわゆるVIPカーが好きになりますよね(笑)。で、最初のうちは『VIPカー、カッコいい~!』みたいなことを言ってたんですが、いつしかジャガーが好きになったんです」
しかも、いわゆるVIPカー風のモディファイが施されているジャガーではなく、フルルノーマルのジャガー限定で「カッコいい!」と思うようになったそうだ。
「家族でドライブに出かけたときにたまたま見かけたフルノーマルのジャガーにシビレたんです。『何この車? VIPカーよりぜんぜん輝いてるじゃん!』って。それ以来、フルノーマルのジャガーに夢中になってしまい、お勤めを始めてお給料をもらえるようになった去年の8月に、コレを買いました」
▲相原さんのジャガーはオールアルミ製ボディとなった「X350系」。クラシカルな丸目4灯のジャガーXJシリーズとしては最後の世代だ俗に言うVIPカーから自動車趣味が始まった相原さんだが、このジャガーを改造する気はさらさらなく、それどころか「市販の芳香剤すら車内には置きたくない!」と言う。
「やっぱジャガーは“そのままの姿”がいちばん美しいと思うんですよ。特にウッドとレザーの質感とデザインにはうっとりします。あと、最初のうちは単に『ジャガーってカッコいい!』とだけ思ってたんですが、最近はジャガーの歴史にも興味が出てきて、いろいろ調べてます」
相原さんいわく「カッコいい車には、必ずと言っていいほど“歴史の積み重ね”がある。このぐらいの世代までのジャガーにはそれがあって好きなんですけど、最近の車には歴史の積み重ねが感じられない。だからイマイチ興味もてないんですよね~」と、まるで昭和のおっさんのようなことをおっしゃる。
さらに、車はSUVなどよりも「ラインが美しい古典的なセダンが好き」で、「ファッションもコスメも嫌いじゃないけど、詳しいことはぜんぜんわからない。熱中できる趣味って車だけなんです~(笑)」と、その見た目からは2000パーセント想像できないことを言う相原百香さん。
昭和の時代にもこういった感じの女性はいなくはなかった気もするが、「ほとんどいなかった」とは言えるはず。だが筆者は相原さんを含め、こういったことをおっしゃる平成世代の車好き女子を何人も取材している。
いい時代になったと、単純にそう思う。
▲「セダンならではのフォーマルっぽい感じも、フロントのマスコットエンブレムも、そしてレザーとウッドとジャガーならではの歴史も、とにかくすべてが大好きなんです」と言う相原百香さん「予備の冷却水」が欠かせない格安アストンマーティン。でも本人的にはノープロブレム!
▲「その見た目からはあまり想像できない車種に乗っている若者」の代表例その2は、ちょうど25歳になるタイミングでアストンマーティンを手に入れたという、埼玉県の会社員、加藤鉱也さん30歳まあ「30歳」が「若者」かどうかは意見が分かれるところかもしれないが、まごうことなき「平成生まれのカーラバー」ではある加藤さん。
で、そんな加藤さんが乗っているのは、ユナイテッドキングダムこと英国が誇るスーパラグジュアリークーペ「アストンマーティン」だ。
「いや、アストンマーティンと言っても僕の場合は96年式のDB7で、しかも総額235万円という(アストンとしては)超激安価格で買った多走行車なんですけどね!」
この激安(?)DB7を買ったのは25歳になった、2014年の4月。これが加藤さんにとっては初めての自家用車だった。
「僕は『人生初の愛車には、できればずっと乗り続けたい』という妙な考えをもってるんです。で、『それなら本当に好きな車を買わなきゃダメだな』と思い、大好きだったアストンを初の愛車として買ったんです。高給取りなのかって? まさか。ぜんぜんフツーの年収のサラリーマンですよ」
愛と夢の結晶として購入したアストンマーティン DB7だったが、さすがに総額235万円と安めなだけあって、走行距離は購入時点ですでに10万km超。これの他に足グルマとしてフォルクスワーゲン ゴルフ5のGTIも持っている加藤さんだが、「到着時間のしばりが特にないときは、ほぼ必ずアストンに乗っていく」というだけあって、現在の走行距離はすでに13万kmを超えている。
▲「購入時から残念ながら付いていた、このダサいナビは許しがたい!」と憤慨する加藤さん。キレイに除去するにはけっこうな費用がかかるが、「それでも取る!」ということで、近日除去予定……13万km超で、なおかつ23年落ちとなるアストンマーティンというと、いかにも「壊れそう」なイメージもあるが、加藤さんいわく「はい、やっぱりよく壊れますよ」とのこと。
「最初にウオーターポンプが壊れて以来、なんだか水回りの対策ばかりに追われてる気もしますが(笑)、でもいいんですよ。毒々しいデザインばかりとなった最近の車はまるで違う、この年代の車が好きですし、ゆっくり走っても楽しいですし。
水回りの修理にはお金もかかるし、トランクには常にLLC(エンジン冷却水)の原液と、それを薄めるためペットボトルに入れた水を積んでいる状態ですが(笑)、自分が本当に好きなモノに対しては、そういうことってぜんぜん“苦労”とは感じないんですよね」
修復できないほどの追突事故などを食らってしまった場合はあきらめるが、それがなければ「お金が続く限り、この“人生初の愛車”に乗り続けようと思ってます」と涼しい顔で言い放つ加藤さん。
……冷却水の水温も失礼ながら高めだが、そのハートも実に熱い、平成元年生まれのカーラバーだ。
▲トランクの中には、このアストンマーティンの「常備薬」である冷却水の原液がたくさんと、希釈用の水道水が何本も。それでも、加藤さんはこのアストンマーティン DB7を手放すつもりはさらさらない
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル XV。
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