マーキュリー クーガーは“不良”から“ナイスミドル”に変貌した!? テリー伊藤が「令和にこそ乗るべき」と評価する理由
2019/06/27

時を重ね、不良がナイスミドルに変貌!?
今回は、「MARIN corporation」で出合ったマーキュリー クーガーについて、テリー伊藤さんに語りつくしてもらいました。
~語り:テリー伊藤~
マーキュリー クーガーは、いわばマスタングの豪華版。現代の車に例えるならレクサスのようなものです。
しかしフォード マスタングのような分かりやすいアイコンではないため、ほとんどの人は存在すら知らないはず。若い人だとマーキュリーというブランド名すら「??」という感じでしょう。
クーガーが世に出た時、僕はまだ大学生。正直、その頃もどちらかといえばクーガーは不人気な部類の車でした。
なぜならクーガーはコワモテな雰囲気が強かったからです。圧倒的に夜の街が似合うんですね。



当時はどちらかというとフォルクスワーゲン タイプ1、ミニモーク、MGのような爽やかな雰囲気の輸入車が人気だったと思います。
クーガーは例えるならクラスの中にいる近寄りがたい不良。男も女も不良より爽やかな人がモテる。これが摂理です。
一方で不良という存在はどこか気になるもの。
怖いから距離を置いていてもついチラチラと見てしまう。きっと誰もが心の奥底では憧れがあったはずです。
現代社会はサラリーマンと不良の見分けがつかなくなっています。
女の子もそう。街を歩いていたらお嬢様学校の子とキャバ嬢を見分けるのは難しいでしょう。
法律をはじめ様々な社会通念からそのようになってきたのですが、僕はさらに一般社会の風俗がボーダレスになっているのだと思っています。
クーガーの登場から50年。時が流れる中で当時の不良もシニアになりました。
昔は尖がっていたけれど年齢とともに丸くなり、ロマンスグレーな雰囲気が漂う。でもかつて不良だったことは隠してない。
クーガーを著名人に例えるなら岩城滉一さんや舘ひろしさんのような存在です。
若い頃はまったく欲しいと思いませんでしたが、令和の時代にクーガーに乗るのはすごくカッコいいと思いました。

テリー伊藤なら、こう乗る!
先ほども話したようにクーガーはほとんどの日本人が知りません。車に興味がない人でも街で見かけたら驚くはずです。
ましてや青年が運転する車のバックミラーにこの姿が映り、すっとリトラクタブルヘッドライトが開いたら……。きっと驚くと同時に「すげえ!」と感動すると思いますよ。


気づけばこの時代の国産車は相場が高騰しています。ミニもビートルも、あっという間に値段が跳ね上がった。
その中で、アメリカ車はかなり狙い目。ましてやクーガーはマスタングのような人気があるわけではありませんからかなりお買い得ですよ。
高いお金を出すとどうしても大切に乗らないといけなくなりますが、僕は車を大事に乗るのは好きではありません。その意味でもクーガーはいい。

僕なら完全にスニーカー代わりの、毎日の足グルマとして使いますね。
こんなコワモテの車をさらっと乗りこなしていたらカッコいいですよ。
でもよく考えれば、若い頃は嫌悪感があったクーガーのようなコワモテ顔も今の時代では柔らかい部類に入るかもしれません。
アルファードやヴェルファイア、そして軽のカスタムモデルの方がよっぽどコワモテですからね。
もしかしたら50年の時を経て、クーガーの時代が来たのかもしれませんよ!
グリルとリトラクタブルヘッドライトが一体化したデザイン。こんな奇抜な発想は現代の車では実現できませんからね。
かろうじてリトラクタブルヘッドライトを見たことがある20代も、クーガーのようなタイプは知らないはずです。みんな知らないからこそ、注目度が高い! その意味では20代の人が初めての1台に選ぶのもおもしろいでしょう。



クーガーは発売当時に正規輸入されたモデルも存在しますが、僕はあえて並行輸入車を選びたい。
多くの人は並行輸入車と聞いただけで尻込みするもの。逆に言えば、並行輸入車を選べるのはどこか鈍感な人と言えるかもしれません。
新しい時代「令和」を勝ち抜くために必要なもの。僕は「鈍感力」ではないかと思っています。
細かいことを気にせずに進んでいけるのは、ひとつの才能。繊細な心で栄養をいろいろ気にするのも大切ですが、どんなものでもおいしく食べられる方が健康的なのではないか。
様々な制約に縛られる現代だからこそ、鈍感になり自分の思ったことを実践していける人は貴重な存在でしょう。
みなさんも並行輸入のクーガーで鈍感力を鍛えてみませんか?

マーキュリー クーガー
フォードモーターのラグジュアリーブランドとなるマーキュリー。初代クーガーは初代フォード マスタングをベースにホイールベースを延長し、ゆったりと運転できる空間を確保した。エンジンは4.7L V8~7L V8までラインナップ。取材車両は1970年式で5.8L V8エンジンを搭載。ボディサイズは全長4980mm×全幅1890mm×全高1300mmになる。フロントマスク横一面に広がるグリルは外側がヘッドライトになっていて、ライトを点灯するとグリルがせり上がる仕組みに。発売当時、日本にも正規輸入されていた。

演出家
テリー伊藤
1949年12月27日生まれ。東京都中央区築地出身。これまで数々のテレビ番組やCMの演出を手掛ける。現在『ビビット』(TBS系/毎週木曜8:00~)、『サンデー・ジャポン』(TBS系/毎週日曜9:54~)に出演中。単行本『オレとテレビと片腕少女』(角川書店)が発売中。現在は多忙な仕事の合間に慶應義塾大学院で人間心理を学んでいる。
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