もはや中古車としてしか入手不可能な「MTのミニ」に、ある種の人は刮目すべし!【NEXT EDGE CAR】
2020/11/30
▲現行型ミニ3ドアハッチバックの中間グレードである「クーパー」。写真はMINI NEXT 小平が販売する走行1.6万kmの2015年式で、車両価格は179.9万円。トランスミッションは6MTだ今のうちから注目しておきたい「近未来の名車」を探せ
こちらは11月27日発売の雑誌カーセンサーEDGE 1月号に掲載された、自動車評論家・永福ランプ(清水草一)さんの人気連載「NEXT EDGE CAR」の、担当編集者から見た「別側面」である。アナログレコードで言うB面のようなものと思っていただきたい。
なお「NEXT EDGE CAR」というのは、「今現在はまだ名車扱いされていないが、近い将来、中古車マーケットで名車または名品と呼ばれることになるだろうモデルを探そうじゃないか」というのが、そのおおむねの企画趣旨である。
で、カーセンサーEDGE 1月号の同連載で取り上げた中古車は、2015年式ミニのクーパー。走行1.6万kmの個体が車両価格179.9万円というのは嬉しいポイントであり、「アイスドチョコレート」という、黒に近いブラウンメタリックであるボディ色もひたすらおしゃれだ。
だが、それ以上に注目したいポイントは、この物件のトランスミッションが「6MTである」ということだろう。
これまでは、特にこれといった感慨もなく眺めていた「MTのミニ」ではある。だが「MTモデルの生産は終了し、もう(たぶん)二度と新車ではMTのミニを買うことはできない」と聞くと、途端にこのアイスドチョコレートの6MT物件が愛おしく思えてくる。
さらに、下世話な話をしてしまえば「……将来的に価値が出るかも?」とも、うっすらとだが思うのである。
▲2018年5月のマイナーチェンジで主力トランスミッションが7速DCTとなってからも、3ドアハッチバックにだけは残された6MT
▲ちなみに撮影車両のコックピットはおおむねこのような感じ。5年落ちの個体ではあるが、走行1.6万kmというだけあって、いわゆる使用感は極端に少ない7速DCTの方が何かと高性能なのは確かだが
1959年に英国で登場した元祖ミニの時代から、「ミニのトランスミッションといえばMT!」というのが基本であり、それは2001年にドイツのBMWが「新しいミニ」を作り始めてからも、基本的には受け継がれた。
もちろん、2001年登場の初代BMW製ミニ(R50)にもCVTとATはあり、2006年にデビューした2代目(R56)にもATは存在した。いや「存在した」というよりも、販売台数的には「ATこそがメインだった」と言うべきだろう。
だがそれでも、ゲトラグ製の6MTは「元祖ミニと現代のミニとを精神的につなぐリンケージ」としての機能は果たし、そしてそれは2013年登場の現行型(F56)にも受け継がれた。
だが、2020年2月の生産分をもって、MT車のミニは製造を終えることが決定されたのだ。
まあ近年の多段ATは、ひと昔前の4速ATのようなかったるさは微塵もなく、またミニの場合は2018年5月のマイナーチェンジでATが7速DCTへと刷新されている(※ジョン・クーパー・ワークスは8速AT)。
そのため「変速の機敏さ」においても「省燃費性能」についても、実はもはやMT車の出る幕はないというのが、実利面においては正直なところだった。
だが、人は「実利」だけを目的にミニという車を運転するわけではない。
▲このしゃれたデザインのシートに腰を下ろす目的は、果たして「移動のため」だけなのか?
▲様々なディテールがいちいちおしゃれなのがミニの特徴。写真中央の赤いスイッチはエンジンをスタートおよびストップさせるためのもの変速作業を「歓び」ととらえる人に、ぜひ
職業的なレーサーであれば、変速にかかる時間は短ければ短いほど好ましいし、一生活者としても、当然ながら省燃費性能が高い車の方がありがたいものだ。
だが、我々は職業レーサーではないし、節約にいそしむ生活者ではあるものの、常に「ガソリン代のこと」ばかりを考えているわけでもない。我々はただただ、左手と左足のコンビネーションを上手に取りながらリズミカルに変速し、リズミカルに、たまに、楽しく走りたいのだ。
いや「我々は」というのは、ちょっと主語が大きすぎた。世の中にはMT車の運転を好まない人もいるというか、今やそちらが主流派であるため、言い直そう。
一部の物好きは、ただただ左手と左足を使いながら運転することで「自分にとっての楽しさ」を(たまには)追求したいのである。そしてその際には、変速にかかるタイムがコンマ数秒遅いとか、燃費がビミョーに悪いとかは、本当に「どうでもいいこと」なのである。
そのように考える一部の物好きのために、ミニというブランドはこれまで律儀にMT車を残してくれていた。一部のモデルに、ではあるが。
だが、それもついにおしまいとなり、新車としてのミニを買う場合には、DCTまたはステップATを選ぶ以外の選択肢はなくなってしまった。
▲端正なデザインの運転席まわり残念ではあるが、これも時代の流れであり、そして時代の流れを読んだうえでの経営判断であるため、外野がとやかく言うべき問題ではない。
そして、そもそも我々物好きの眼前には、新車だけでなく「中古車マーケット」という大海も広がっている。中古車市場という海の中からステキなMT車を探し出しさえすれば、万事はほぼ解決なのである。
とはいえ中古車市場においても、MTの現行型ミニは実は少ない。具体的には2020年11月下旬現在、現行型ミニの流通台数は1283台となかなか豊富だが、そのうちMT車はわずか74台。全体の6%弱でしかないのだ。
だが少ないからこそ、最後のMTミニには価値がある。
少数派であることや、手動での変速作業を苦とも思わず、むしろ「歓び」ととらえる人にはぜひともご注目いただきたい、ナイスな選択肢だ。
▼検索条件
ミニ ミニ(3代目・現行型)×MT×全国
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル XV。
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ミニ
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