【どんなクルマと、どんな時間を。】マツダ ロードスター(初代)× いつかは愛車を息子に……と夢見るパパ
2017/10/05
車は単なる移動の道具ではなく、大切な人たちとの時間や自分の可能性を広げ、人生をより豊かにしてくれるもの。車の数だけ、車を囲むオーナーのドラマも存在する。この連載では、そんなオーナーたちが過ごす愛車との時間をご紹介。あなたは『どんなクルマと、どんな時間を。』?

学生時代の思い出が唐突に蘇り、衝動買い
ボディカバーがかけられた部品取り用初代マツダ ロードスターの隣にもう1台、ブリティッシュグリーンの初代ロードスター。井上大輔さんご一家の、普段使いしているホンダ フリードとは別の「もう一つのファミリーカー」だ。
今から4年前。仕事帰りに通りかかった販売店の展示場で、井上さんはたまたまこの個体を目にした。すると、学生時代に父から譲ってもらい乗っていた初代ロードスターの様々な素晴らしき思い出が唐突に蘇り、いてもたってもいられない精神状態になってしまったという。
3日後、ふと気がつくとその販売店でロードスターの契約書にハンコを押していた。

ロードスターとはいえ、子供を乗せてのんびり走る。それでいい
購入当時2歳だった長男・陽翔くんは最初、初代ロードスターのいかにもスポーツカーらしい排気音を怖がり、泣きじゃくった。助手席に乗るどころの騒ぎではなかったという。
しかし今ではロードスターと、そして井上さんがその後ネットオークションで(レア物ゆえかなりの高値で)息子のため落札したペダルカーのロードスターは、彼の一番のお気に入りだ。買い物のため近くのスーパーへ、そしておもちゃを買うためちょっと遠方の街へ父と2人、いつだって屋根全開で出かけていく。


前述の、学生時代に父から譲ってもらったロードスター(実はそれは現在の部品取り車だ)に乗っていた頃は、それなりにかっ飛ばしていたという井上さん。しかし現在は自分だけでこの車に乗る機会はほとんどなく、たいていは週末のみ、陽翔くんを乗せてのんびりと走る。
「でも、それでいい」と思っている。特にスピードは出さずとも、この名車の味わいと、そしてそれに乗って子供たちと過ごす穏やかな時間そのものが、井上さんにこの上ない喜びを与えてくれるからだ。

「オープンカーからしか見えない景色」を子供たちに
ただ、普段使い用のホンダ フリードと交互に毎年車検時期を迎えてしまうため、昭和の古い言い回しで恐縮だが“一家の大蔵大臣”たる妻・香奈子さんは、「正直、ロードスターは手放してほしい」と思わないでもないらしい。
しかし、少しでも整備代を節約するため庭のガレージで手を油まみれにしながらジャッキアップしている大輔さんを見ると、そして最近は妙にロードスターが好きになり始めた長女・優奈さんの姿を見ていると、なかなかそうも言えない。


先のことはわからないが、維持できるうちはこの初代ロードスターを維持したい。そして子供たちに“オープン2シーターからしか見えない景色”を見せ続けてあげたい。そう言い残して大輔さんは今日も陽翔くんと2人、近くの公園へと走っていった。もちろん、本日も屋根は全開だ。
~どんなクルマと?~
■マツダ ロードスター(初代)
世界中を歓喜させた2シーターオープン。搭載されるエンジンは1.6Lの直4DOHC。最高出力は120psと控えめな数字ながら、FRの駆動方式と1tを切る軽量なボディの組み合わせは、ドライバーに走る楽しさと車を操る喜びを教えてくれる。

~どんな時間を?~
■「子供といっしょに遊ぶ時間」

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