女子シクロクロスの先駆者! 次世代を担う美人ライダーの相棒はオレンジカラーの「up!」
2019/05/15

車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
シクロクロスの先駆者が選ぶ相棒
武田和佳さんは、日本の女子シクロクロス界におけるトップクラスの競技者である。
シクロクロスとは、AJOCC(一般社団法人日本シクロクロス競技主催者協会)の公式サイトによれば「(前略)1周2.5~3.5km程度の舗装・未舗装が入り混じるコースを周回する(後略)」自転車レースのこと。
車になじみが深い人向けに説明するなら、「自動車ラリーのスペシャルステージに近い」といえばイメージしやすいかもしれない。
グラベル(非舗装路)とターマック(舗装路)が入り混じったコースを、それも高低差と曲率がキツいコースを猛スピードで走り抜け、そしてタイムを競うという意味ではラリーのSSとほぼ同じだ。そして路面状況に合わせたタイヤ選択が重要であるという点も。
違うのは、「シクロクロスでは、ライダーがときにマシンを担いで走る」ということ。シケインと呼ばれる人工の障害物を越える際や、漕いで上がるのは明らかに不可能な斜面を登る際などに、ライダーは自らのバイクを肩に担いで走るのだ。
そんな競技で2016-2017 JCX Seriesランキング1位を獲得し、MTBクロスカントリー全日本選手権などにも参戦しているプロフェッショナル、武田和佳さん。
彼女が普段づかいの愛車兼「遠征のための機材車」として5年前に選んだのは、きわめて小さなドイツ車、フォルクスワーゲン up!だった。
▲チーム「Liv」所属のプロライダー。オフロード競技でのトップを目指し活動している武田和佳さん自前のチームをもつほど本格的な自転車販売店を営む両親の影響で、幼少期からキッズレースに参戦していた。
そして高校2年生からシクロクロスの遠征に出るようになり、3年生時には国内初の「女性だけのクラブチーム」の1期生に選抜された。
その頃は、両親の大きなハイエースにバイクと機材を積んで遠征に出ていた。だがいろいろあって20歳ぐらいの頃、自転車そのものは降りなかったものの、「競技者としての生活」は一度ストップ。
だが、22歳になった頃、再び燃えてきた。そして、競技者としての自分に戻ることを決意した。
そうなると「自分のための遠征用車両」が欲しい。いつまでも実家のハイエースに頼るわけにはいかない。
そして「買うならオレンジ色の車」と決めていた。
実家チームのイメージカラーだったせいか、武田さんが幼少期からなじみ、そしてなぜか心を奮い立たせてくれるのがオレンジという色だったからだ。
新車も中古車も、とにかくありとあらゆる「オレンジの車」を探してみた。だがどれもしっくりこない。
「イメージよりちょっと黄色すぎたり、淡かったりで……。これだ! っていうのがなかったんですよね」
そんなある日。なんとなくつけていたテレビから、歌手・久保田利伸さんの歌声が聴こえてきた。「あ、久保田利伸かぁ」ぐらいのニュアンスで画面を見てみると、そこにはまさにイメージどおりのオレンジ色があった。
それは、2014年1月27日に1000台限定で発売された特別限定車「フォルクスワーゲン up! orange up!(オレンジアップ!)」のテレビCMだった。
すぐさまディーラーに行き、自らも自転車乗りだという店長氏と様々な相談をした。そして「これなら積める!」という確信がもてた。
▲ボディだけでなく車内もオレンジであったことも決め手のひとつ。今では、室内に備える雑貨類も自然とオレンジな品々にシクロクロスの試合には「身体ひとつ」で行くわけではない。
メインバイクの他にサブバイクが必要であり(レース中、必要に応じてピットで乗り替えるのだ)、タイヤ&ホイールのセットも数種類必要。自動車ラリーのチームが、同じグラベル用でも何種類もの微妙に違うタイヤを用意するのと基本的には同じである。
そういった物々のすべてを、この小さなドイツ車は飲み込んだ。
2台のバイクはルーフキャリアに。何種類ものタイヤ&ホイールは、後部座席をたたんだ状態のラゲージスペースに。ただし武田さんいわく、リアシートをたたむ必要がないときも多いという。
「前席と後席の間のスペースに普通に積めますし、バイク自体も、前後のタイヤを外せばそこに積めちゃうんですよ。小さな車ですけど、積載性はけっこう優秀です」
シクロクロスの試合は毎年9月から2月までほぼ毎週、そしてマウンテンバイクの試合は春先から9月頃まで毎月1、2回、全国各地で行われる。さすがに九州などへは飛行機で行くが、それ以外は東北だろうがどこだろうが、ドンピシャのオレンジ色が内外装に張り巡らされたup!に乗って、びゅんびゅん自走していく。
▲小さなup!とさほど変わらない小柄な背丈の武田さんが、いとも簡単に自転車を積み降ろしする様は美しくもある大好きなオレンジ色に、試合で勝つための闘魂を大いに注入されながら……というのはちょっとだけ嘘だ。
実際の武田さんは遠征時、orage up!の車内で「気合だっ、気合だっ、気合だあああああ!」的に叫んでいるわけではない。母親の影響で好きになった昭和歌謡をかけ、それに合わせて楽しく歌っているのだという。
よく歌うのは山口百恵と石川さゆり。そして個人的に「応援歌だと思ってる」という坂本冬美の「桜の如く」という曲。
懐かしの歌謡曲を絶唱(?)しながら、武田さんはオレンジ色のup!で今日も走る。そしておばあちゃんになっても、自転車には乗っていたいという。


武田和佳さんのマイカーレビュー
フォルクスワーゲン up!(初代・現行型)
●購入金額/約250万円
●年間走行距離/約6000㎞
●購入する際に比較した車/オレンジの車
●マイカーの好きなところ/フルーツのオレンジを基調にしたデザイン
●マイカーの愛すべきダメなところ/ギアがグワングワンとたまになるけど、可愛いと思っています。笑
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/私はバイクキャリアを載せているのでロードバイクやマウンテンバイクはMAX2~3台乗りますが、キャリアがなくても車内に1台は余裕で乗ります!リアシートを倒せば積載容量たっぷりなのでアウトドア好きの方にもおススメです♪ 小回りも利くので街中でも活躍しています!

インタビュアー
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル XV。
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