「AMG」こそが今のうちに味わっておきたいメルセデススポーツの真髄である!【EDGE Motorsports】
カテゴリー: カーライフ
タグ: メルセデス・ベンツ / AMG / SLSクラス / SLクラス / SLSクラスロードスター / メルセデスAMG GT / EDGEが効いている / 藤野太一
2023/09/10

2人のチューナーが手がけたマシンがレースを席巻する
メルセデス・ベンツのハイパフォーマンスブランドである「メルセデスAMG」。もはやメルセデスのラインナップに欠かせないブランドだが、その成り立ちはモータースポーツに端を発するものだ。2022年に創業55周年を迎えたAMGのヒストリーを少し振り返ってみる。
1967年、元はダイムラー・ベンツのレース用エンジンのエンジニアだったハンス・ヴェルナー・アウレヒトとエバハルト・メルヒャーが独立し、レーシングエンジンの開発を行うエンジニアリング会社を創業。2人の名前と創業の地、グロースアスパッハのそれぞれの頭文字を合わせて社名はAMGとされた。
ダイムラー・ベンツ在職中に2人が開発したエンジンを搭載したマシンは、ドイツツーリングカー選手権でたびたび勝利し、評判は高まっていた。しかし、ダイムラー・ベンツはモータースポーツ活動を中止することに。2人は退社しAMGを創業。まずプライベートチーム用のレーシングエンジンを手掛けるようになる。しかし、アウレヒトの本当の狙いは、勝利したレーシングカーをモデルにした市販車を売り出すこと、いわゆるコンプリートカーメーカーになることだった。

最初の大きなターニングポイントは、1971年のスパ・フランコルシャン24時間レースだった。AMG社の手がけたメルセデス300 SEL 6.8がクラス優勝を果たす。大きくて、重い高級セダンであるSクラスが、レースに勝利したことでAMGの名前は広く知られるようになる。
その後、AMGはメルセデス車をベースにカスタムを行い、高性能化した数々のコンプリートモデルを生み出していく。次第に顧客も世界中に広がり、1976年、当時従業員が約12名だったAMGは、現在の本社があるアファルターバッハへと移転した。
1984年にはメルヒャーが、各シリンダーに独立した4つのバルブをもつシリンダーヘッドを開発したことで、エンジンメーカーとしての地位をより一層高めた。1986年、当時のEクラスに搭載したAMG製5L V8エンジンは「The Hammer」のニックネームで世界的な名声を獲得することになる。


1980年代後半になるとAMGはダイムラー・ベンツと提携し、オフィシャルレーシングパートナーとして、当時のドイツツーリングカー選手権(DTM)参戦。1988年から1993年の間に実に50勝をあげている。
この成功をもとに両者の関係はより緊密なものとなっていく。1990年、AMGはダイムラー・ベンツと協力協定を締結。AMGの歴史において大きな転換期を迎えた。この頃には販売網も世界中に広がり、従業員の数も400名を超えた。そして1993 年には、メルセデス・ベンツとの初の共同開発モデル、メルセデス・ベンツ C 36 AMG を発表する。

1999年にはダイムラークライスラーグループがAMG社の株の過半数を取得。このタイミングで、自社株を手放したアウフレヒトは、自らの名前を冠したH.W.A.GmbH(現在のHWA.AG)を設立し、そこへモータースポーツ部門と一部のスペシャルなモデルの開発などが移管された。同社はDTMのレース運営やF3エンジン開発などに従事し、2018-19年のフォーミュラEには、メルセデスの先発部隊として参戦。2019-20年シーズンから、メルセデスはHWAのチームを引き継ぎ、メルセデス-EQフォーミュラEチームとしてシリーズ参戦した(のち2021-22年シーズン終了後に撤退)。
HWAは、現在もメルセデスAMG GT3をはじめとするGTレーシングカーやAMG GTトラックシリーズなどの開発・生産などを担っている。
そしてAMGは2005年に100%子会社となり、いまに続くMercedes - AMG社が設立された。2009年には往年の名車300 SLをモチーフに、同社が初めてイチから開発したSLS SMGを発表。2014年にはメルセデスAMG GTを発表。GTRやロードスターなど多くのバリエーションが作られた。そして2022年に発表された新型SLは、専用のプラットフォームを採用したメルセデスAMGが完全自社開発したモデルへと生まれ変わった。本国ではすでにこのプラットフォームを採用した2代目AMG GTが発表されている。

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▼検索条件
メルセデスAMG GT × 全国いまやメルセデスAMG社の事業内容は多岐にわたっており、通常のメルセデス・ベンツモデルにも「AMGスポーツパッケージ」、「AMGライン」と呼ばれるオプションが人気だ。また電動化にも対応し、EQEやEQSにはAMGモデルが設定されている。
一方で、最新のAMGモデルにも(すべてのモデルではないが)、AMGの哲学ともいえる、1人のマイスターが一基のエンジンを最初から最後まで責任をもって組み上げ品質管理を行う「One man - One engine(ワンマン・ワンエンジン)」の伝統が受け継がれている。
やはりAMGのルーツはモータースポーツ、そしてエンジンにある。それを象徴するようにエンブレムにはカムシャフトとバルブが描かれている。中古車であれば、まだ様々な“ワンマン・ワンエンジン”のAMGモデルが探せる。いまのうちに、味わっておくのも悪くないと思う。


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