「トヨタ ダイナはうちのファミリーカーですけど、何か?」トラックの荷台には夫婦の夢がたくさん詰まっている
2023/09/07

車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
トラックがファミリーカー!?
倉持家のファミリーカーはトヨタ ダイナ。そう、トラックだ。そして今までこの車でたくさんの旅行に出かけたという。
……違和感しかない。
まずはどういう経緯でファミリーカーとしてダイナを迎え入れたか、そこから聞いてみた。
先代のファミリーカーとして乗っていた2代目パジェロが、ディーゼルの噴射ポンプの不調でエンジンがかかりづらくなったのを機に、買い替えを考えた。そのとき、「ダブルキャブが欲しくなっちゃったのかな」と颯さんは振り返る。
「幼稚園の頃の将来の夢は、トラック運転手。その姿を見たことはないんですけど、父親も昔長距離ドライバーをやってたらしくて。トラックのメッキがギラギラしてるのも好きで、大きな乗り物を転がすってことに憧れがあったのかもしれないです」
▲小さい頃から憧れはあったというトラック。ついにそのオーナーになることができた!自ら車の修理もする妻の知美さんは、古くても直せるものは直して乗り続ける派だから、「普通にパジェロの噴射ポンプを換えればいい。リビルド品も売ってるし」となかなか首を縦に振らなかった。それでも颯さんはあきらめることなくダイナの良さをプレゼンし続けた。
「パジェロと同じ四駆でディーゼルで5MT。ダブルキャブだから6人乗れて、4ナンバーだから税金も安い。取り回しも、ホイールベースでいうと奥さんが乗ってるミラと同じくらい。かっこいいじゃん、これだったら一生乗れるよって」
ちょっと驚いて調べてみたが、たしかにダイナのホールベースは2300mmでミラは2490mmと、むしろミラの方が長い。そして四駆のダイナの最小回転半径は5m(2WDなら4.8m!)と、5.7mの2代目パジェロより小回りが利くとわかって驚いたり感心したり。
ちなみに颯さん、過去には様々な車を買ったりもらったり……その数は優に20台を超えるという。一度気に入った車にはできるだけ長く乗り続けたいという知美さんとは、真逆の性格なのだとか(笑)。
▲こうして倉持家のファミリーカーとして迎え入れられることとなったトヨタ ダイナ
▲家には過去の愛車の写真がズラリ。颯さんは過去に様々な車に乗りついできた。ちなみに、今もダイナ以外に数台の車とバイクを所有しているのだとか
▲倉持家、今年の目標(笑)しかし、そんな熱心なプレゼンのかいあって、ついに知美さんが「信頼性も維持費も……まあいっか」となった瞬間、颯さんはトヨタのディーラーに走った。
こうして4年前、颯さんにとって人生初の新車である、ピカピカのターコイズカラーのダイナが倉持家にやってきた。渋っていた知美さんも「やっぱね、ファミリーカーは国産の新車がいいよね」と、今となっては手のひら返しでにこやかだ。
▲このダイナはダブルキャブ仕様。前席3人、後席3人の計6人乗りだトラックなのに、もっぱら旅行にしか使っていないという乗り方への違和感は、実車を見せてもらったらすっきり解消した。
オリジナルの幌で架装された荷台の中には、ベッドが入れられるベースが組まれ、車中泊仕様になっている。セミシングルのショートサイズのマットレスがぴったり2枚敷けるそうで、幌の内側には断熱材も張られ、マイナス25度の北海道でも快適に眠れたという。
▲夫婦2人で荷台を改装し、旅先で寝泊まりできるようになっている。基本的に旅先ではこの車で休むのだとか北海道から九州まで、このファミリーカーで旅してきた。まだ踏み入れてないのは、沖縄と和歌山くらいだそうで、「ダイナで世界一周、世界制覇したいです」と夫妻で口を揃えてほほ笑む。

ただし、乗り心地は非常に悪いそうだ。なにしろ荷物を積んでちょうどよくなるように足回りをセッティングされているのがトラックというもの。常にほぼ空荷のダイナは、颯さんいわく「スポーツカーの硬さとも違う、振れ幅のある硬さ」で、ぼよーん、ぼよーんと、2人を揺さぶりながら、旅をする。
しかし、その空っぽの荷台には、2人のハッピーな未来がたっぷり詰まっているのだろう。

倉持 颯さんのマイカーレビュー
トヨタ ダイナ(現行型)
●年式/2019年
●グレード/標準仕様、低床・ダブルキャブ
●購入してからの走行距離/約4万km
●マイカーの好きなところ/質実剛健
●マイカーの愛すべきダメなところ/乗り心地が非常に悪い(笑)
●購入時に比較検討した車は?/アトラス、エルフ、デュトロ、キャンター、ランクル76/79
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/人と違ったことはしたいけど心配性の人。丈夫で信頼性も高く、壊れても部品が豊富にあり、自家用はレアだけど商用では一般的なので

ライター
竹井あきら
自動車専門誌『NAVI』編集記者を経て独立。雑誌や広告などの編集・執筆・企画を手がける。プジョー 306カブリオレを手放してからしばらく車を所有していなかったが、2021年春にプジョー 208 スタイルのMTを購入。近年は1馬力(乗馬)にも夢中。
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