トヨタ ランドクルーザーFJ▲新たにランクル・ファミリーの一員となるランドクルーザーFJとジムニーノマドがライバルになるのでは、といわれている。両モデルは並行検討するライバルなのか、それぞれの特徴からオススメの人を真剣に考えてみた

予想を含めてキャラクターの違いを分析

今年10月、ランドクルーザー・シリーズに新たなモデル「ランドクルーザーFJ」が加わるとJapan Mobility Show 2025で発表された。FJというからには、あのFJクルーザーの後継? と思いたくなるところだが、コンセプトは別。「FJ」は型式ではなく、「Freedom&Joy」の略とのことだ。

このランクルFJ、2026年中頃の発売が予定されているが、ちまたで “ライバルになるのでは?”と注目されているのが、実はジムニーノマドだ

果たして、両モデルは並行検討するライバルなのだろうか? それぞれの違いや特徴をチェックするとともに、オススメの人を真剣に考えてみた。
 

スズキ ジムニーノマド(初代) ▲新たにランクル・ファミリーの一員となるランドクルーザーFJ。コンパクトなボディサイズから、ジムニーノマドのライバルになるのでは、といわれているが……
スズキ ジムニーノマド(初代) ▲ノマドは国内初の5ドア・ジムニーということで現在人気沸騰中。新車は現在も受注停止が続いている

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スズキ ジムニーノマド(初代)
 

モデル比較:サイズもキャラクターも別。似ているのは“四角いこと”だけ

結論から先に言ってしまおう、両モデルは全くキャラクターの異なるモデルであり、車としての性能やサイズという面では、ライバル関係にはなり得ない……。というのも、設計思想から車格、ターゲットまで全く違っているからだ。

まずはランドクルーザーFJについて、現時点で公表されている概要を確認してみよう。FJのボディサイズは全長4575mm×全幅1855mm×全高1960mm。ランドクルーザーシリーズの中では最もコンパクト……ではあるものの、最近の国産クロスオーバーSUVに比べるとかなり大きめのサイズ。トヨタ カローラクロス(初代)のサイズを例に挙げると、全長4490mm×全幅1830mm×全高1620mmとなっておりその差は歴然。5ドア・2列シート5人乗り仕様となっており、居住空間も広そうだ。

スクエアな外観はランドクルーザー250ともイメージが近いが、より直方体に近い。四角いボディに大きなオーバーフェンダーを装着したスタイルはジムニーノマドに似ていないこともないが、FJのプレスラインはより複雑。このあたりはボディサイズの違いも影響しているだろう。
 

トヨタ FJクルーザー(初代) ▲ランクルFJのボディサイズは250やプラド、かつてのFJクルーザーよりコンパクト。右はカスタム仕様のもの

設計はハイラックスと共通のIMVプラットフォーム。つまり伝統的なラダーフレーム構造となる。サスペンションはフロント独立懸架のダブルウィッシュボーン式、リア・リジッド式。地上高やアプローチアングルを十分に確保し、ランドクルーザー70シリーズ同等のホイールアーティキュレーション(タイヤの浮きづらさ)による優れた悪路走破性を実現した、と説明されている。

搭載されるパワーユニットは2.7Lガソリンエンジン2TR-FE型で、ランドクルーザープラドや同250でも採用されてきた定評あるもの。ボディがコンパクトな分、よりキビキビした走りが期待できる。4WD駆動方式はシンプルなパートタイム式だ。
 

トヨタ FJクルーザー(初代) ▲こちらはFJのインパネ風景。インテリアの質感もなかなか高そう

というのが現在発表されているランクルFJの大まかなモデルの概要だ。ということで、改めてジムニーノマドと比較してみたい。ノマドの基本設計は軽自動車であるジムニーやシエラと共有で、ホイールベースを伸張、5ドア化したうえでワイドなオーバーフェンダーを付けたもの。よってボディサイズは全長3890mm×全幅1645mm ×全高1725mmと、FJより断然小さい。

ホイールベースを伸ばした分、後席も後方に移動して居住空間を確保しているが、それでも室内幅は軽自動車と同じ水準。広々というわけにはいかず、荷室空間も必要最低限というところだ。
 

スズキ ジムニーノマド(初代) ▲ノマドの外観はガンメタリック塗装のフロントグリルなどで高級感が演出された

ラダーフレーム構造である点はFJと同じだが、サスペンションは全く違う。FJのフロントは独立懸架なのに対して、ノマドは前後ともリジッド式。この構造こそジムニーをジムニーたらしめている……と言ってもいいだろう。国産四駆では他にランクル70しか同様の設計を採用していない。むしろFJより、70の方がノマドと比較検討されやすいのでは? と思ってしまったりする。

もちろん、ノマドも先進的な運転支援機能を採用するなどして、日常的なドライブでも不便を感じないレベルには仕上がっている。乗り心地やハンドリング性能についても、以前のジムニーより格段に上だ。
 

スズキ ジムニーノマド(初代) ▲インテリアは従来のジムニーに比べるとかなり見栄えが良くなっているものの、やはり質感より使い勝手が優先されている

しかし、FJがオンロード性能とオフロード性能のハイレベルな両立を狙っている、と想像されるのに対して、ノマドの主戦場はあくまでオフロード。オンロードも苦痛を感じずに走れ、家族で乗れる悪路走行専用車と理解するのが正しい。

この事実を踏まえたうえで、それぞれどんな人に向いているのか、次章で考えてみよう!
 

 

ユーザー像考察:FJはデザイン重視で選んでOK、ノマドは真逆

ランドクルーザーFJを選ぶべき人はまず、デザインを気に入っていることが大前提。サイコロのようでかわいらしく、たくましさも感じられるデザインにこそ、大きな価値があるモデルだと推測される。

5人乗りながら、ボディサイズが比較的コンパクトであることも特徴のひとつだ。4名乗車なら快適に、家族分のキャンプ道具などを積載しての移動もできそう。これまでのランクルシリーズが欲しかったけど自宅周辺の道路や駐車場が狭い、といった事情の人にとってはうってつけの存在だ。
 

トヨタ FJクルーザー(初代) ▲ランクルFJのサイドドアはセンターピラーレス&観音開きだったFJクルーザーと違う、一般的な構造。乗降性は悪くないはず

もちろん、悪路走破性についても250など他のランドクルーザー同様、あるいはそれ以上のレベルと期待できるが、廃道や専用コースのような極悪路をガンガン攻める姿はあまり想像できない。家族で一緒にバーベキューやキャンプに出かける、整備された林道ドライブを楽しむ、といった用途が適しているだろう。

ということで、FJはデザインにこだわりがあり、家族4人以上で乗る機会が多い、キャンプなどのアウトドアによく出かける、いざとなったら本格的な悪路も走れる安心感が欲しい……といったパーソナリティの人に適したモデルと推測できる。
 

トヨタ FJクルーザー(初代) ▲オフロードが似合ういでたちであることは確か。だが、より本格的に走りたい人には70という選択肢がある

一方、ジムニーノマドについては……。誤解を恐れずに言うと、たとえ外観などデザインを気に入ったとしても、オフロードを全く走らない、という人は選ぶべきでない。というのも、ノマドの設計はあくまで伝統的な本格四駆のソレであり、一般的なSUVの水準からするとかなり偏っている。
 

スズキ ジムニーノマド(初代) ▲こちらはノマドの車内空間。後席は前席とのシート間距離だけでなく、左右座面間距離もシエラより拡大されている

4人乗れて荷物も積めることは確かにジムニーやシエラに対する大きなアドバンテージだが、だからといって家族向きか、レジャー向きかと言われると否。そうした用途に適しているモデルはFJをはじめ、他にもたくさんある。
 

スズキ ジムニーノマド(初代) ▲ノマドで後席を使用した時の荷室はご覧のとおり。ゴルフに行く程度、2人までのキャンプなら問題ないが……

ごくたまにであっても、岩がゴロゴロ転がっているような、スキーのモーグル地形のような、荒れたオフロードに出かける機会がある、それでいて普段は家族も乗せたい、キャンプなどにも出かけたい、という人にとって、これ以上ぴったりな車はない。
 

 

ジムニーノマドの中古車概況:流通量は急増するも“買い時”はまだ先か

ランクルFJの詳細な発売時期はまだ未定で、2026年中央頃とのみ公表されている。もちろん価格も未定だ。

では2025年4月にデビューし、すでに中古車が流通しているジムニーノマド状況は現在どうなっているのだろうか?

新車は発売開始直後に受注停止となり、現時点でもその状態が続いている(2026年1月30日に再開予定)が、中古車数は流通が始まった今年4月から急上昇。延べ掲載台数は11月時点で630台と、かなりの勢いで増えている。
 

掲載台数推移 ▲2025年4月~2025年11月までのカーセンサー掲載台数推移

平均総額についてはデビュー後の3ヵ月間ほどは下降。その後はほぼ横ばいの状態が続いており、最安値の物件でも新車価格より高いプレミアム価格の状態が続いている。
 

中古車平均価格推移 ▲2025年4月~2025年11月までの中古車平均価格推移

正直、“すぐにノマドを欲しい”という人以外は、今のところはまだ買い時と言えない状況。新車受注が再開されれば、中古車相場にも影響があるかもしれない。ランクルFJの発売を待つとともに、ジムニーノマドの中古車状況も継続してウォッチしておきたいところだ。
 

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スズキ ジムニーノマド(初代)
文/田端邦彦 写真/トヨタ、スズキ
※記事内の情報は2025年12月18日時点のものです。
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。