ルノー カングー

【連載:どんなクルマと、どんな時間を。】
車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
 

家族の一員であり、仕事の相棒でもある「カンちゃん」

「カモノハシみたいな顔立ちもユニークですけど、何よりもお尻! このお尻のかわいさで買ったようなものです」

そういって愛車を見やると、旅行ライターの山田誠さんは目を細めた。

ルノー カングー

山田さんのルノー カングーは、200台限定でリリースされた特別仕様車「ヴァリエテ」。

スモーキーグレーのボディカラー「グリアーバン」をまとったボディに、ギア感を高めるブラックバンパーがきりりと映える。

ルノー カングー
ルノー カングー

去年の春、12年連れ添ったフォルクスワーゲン ゴルフⅥから乗り替える際、実はあまりカングーにピンときていなかったという奥さんが憎からず思ったのがこの「グリアーバン」。

しかし、現行カングーで「グリアーバン」が採用されているのは「ヴァリエテ」だけということで、福岡在住の山田さんは九州中を探した。だが、どこにも在庫がなく、最終的に見つけたのは岡山のディーラーだったという。

「妻と2人、新幹線で岡山まで行きました。2泊3日で広島に泊まったりして、旅行がてらね。岡山のディーラーの営業さんがとてもやさしくて、親切な方でね。気持ちよく購入することができました」

「カンちゃん」と名づけた愛車は、家族の日常から旅行の足となるのはもちろん、仕事にも欠かせない相棒だ。

ルノー カングー

取材では福岡から山口、時には鹿児島も日帰り圏内。高速でも街中でも軽やかで、トルクのある走りが心地いいという。

「シートの柔らかさがちょうどよくて、ゆるっと椅子に座ってる感じでね。見晴らしもいいし、ADAS(先進運転支援システム)も付いてるからどこまででも行けます。運転も楽しいですよ」

ルノー カングー

ただし、奥さんや車酔いしやすい高2の息子さんには、ゴルフより柔らかめの乗り心地は不評だったそうで、後からボディダンパーを装着することで改善を図った。

「ロールの収まりがよくなって、ハンドリングもシャープになったし、運転手的にはすごくよくなったんですけどね。助手席や後部座席の家族からは、うーん……微妙(笑)」

ルノー カングー
ルノー カングー

山田さんは九州に約150あるという道の駅も知り尽くす「クルマ旅」のプロ。行く先々で特産物を遠慮なく買い回れるのも、カンちゃんの大きな荷室のおかげだ。

その荷室には、いつでもちょっとしたキャンプが楽しめるアウトドアグッズと温泉セット、そして巨大な保冷バッグが常備されている。

ルノー カングー

息子さんの自転車が出先で壊れてしまったときも、すんなり積んで帰って来ることもできたそうで、いついかなるときも頼りになる。

直売所めぐりが好きで、おいしいものが大好きという山田さん。週末は朝9時から買い出しに出かけ、昼から家族の食卓を飾る料理をするのがルーティンだ。

「糸島の売り上げ日本一といわれるJA直売所“伊都菜彩”、精肉店の“トラヤ ミートセンター”、それから漁師さん直営の“おさかな天国”は、食いしん坊のゴールデントライアングル! 昨日はコストコでビールや水をドカッと買ってきましたし、買い物には最高の車です」

ルノー カングー

「いつかフェリーも使って、車中泊しながら故郷の新潟まで旅してみたい」という夢もある。

「子供が巣立って奥さんと2人になったらザ・ビートルに乗りたいなって思ってはいるんですけど、カングーは20万、30万km走れる車ですからね。もしかすると、最後の車になるかもしれません」

キュートなお尻のカンちゃんは、これからも末永く、山田家の生活をおいしく、楽しく彩ってくれるに違いない。

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ルノー カングー(3代目)
文/竹井あきら、写真/山辺学
“ルノーカングー”

山田誠さんのマイカーレビュー

ルノー カングー(3代目)

●年間走行距難/1万~1.5万km
●マイカーの好きなところ/かわいいお尻
●マイカーの愛すべきダメなところ/街中で10~12km/Lの燃費。ゴルフⅥはもうちょっと走れたので……
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/荷物がたくさん詰めて、ミニバンにしては運転も楽しいので、アウトドアや買い物が好きで、ロングドライブも楽しみたい人

竹井あきら

ライター

竹井あきら

自動車専門誌『NAVI』編集記者を経て独立。雑誌や広告などの編集・執筆・企画を手がける。プジョー 306カブリオレを手放してからしばらく車を所有していなかったが、2021年春にプジョー 208 スタイルのMTを購入。近年は1馬力(乗馬)にも夢中。