トヨタトヨタ
トヨタ スープラ(A70型)

【連載:どんなクルマと、どんな時間を。】
車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?

北陸から静岡へ愛車・スープラで参加

2025年9月13~14日、静岡県・富士スピードウェイで『頭文字D』連載開始30周年を記念したイベント「頭文字D 30th Anniversary 2days」が開催された。

トヨタ スプリンタートレノ(トヨタ AE86)やマツダ RX-7など、作中に登場した車両がずらりと並ぶ駐車場の中で、ひときわ異彩を放っていたのがこちらの70系トヨタ スープラだ。『イニD』とは無縁の車種ゆえに目立っていた面もあるが、それ以上に印象的だったのは、女性オーナーであり、明らかに長年乗り続けてきた雰囲気をまとっていたこと。

その姿に引かれ、思わず声をかけさせていただいた。

トヨタ スープラ(A70型)

「このスープラは、大学生だった92年2月に新車で購入したんです。本当はイニDのイベントなのでFC(マツダ RX-7)で来たかったんですが、自分が住んでいる北陸地方から自走するにはコンディション的に少し不安があって」

そう話すPNさんは、このワイドボディに2Lツインターボエンジンを搭載するスープラのほか、マツダ RX-7、V12エンジン搭載のBMW 850i(!)、スバル インプレッサWRXなど、計6台を所有しているという。さらに、ご主人も同じ70スープラの500台限定モデル「3.0 GTターボA」はじめ、スポーツモデルを中心に7台も所有しているというから驚きである。

トヨタ スープラ(A70型)
トヨタ スープラ(A70型)▲フロント部分が全体的に細面なので(個人の見解)とてもクールでシャープな印象が好みのお顔です、とのこと

ジムカーナ仕様で競技もともに走った相棒

マツダ コスモスポーツを所有していた祖父の代から車好きという家庭に生まれたPNさん。幼い頃から父に連れられてサーキットに通い、F1などのモータースポーツを観戦していたという。

当然のようにスポーツカーへの憧れが芽生え、小学生の頃には「自分の車を買う」と決めて、高校生からアルバイトで貯金を始めるほど入れ込んでいたという。大学生になってからもアルバイトに励み、その頃には高級車が買えるほどの金額が貯まっていた。

70スープラを選んだ理由を尋ねると、「父に“トヨタ車を買え”と言われたから」とPNさん。父はハコスカGT-Rやジャパン(5代目スカイライン)などを乗り継いだ熱烈な日産党だったが、一方でトヨタ 2000GTを所有する夢を抱き続け、ついにかなわなかったという。その思いを娘に託すようにトヨタ車を薦めてきたのだとか。

トヨタ スープラ(A70型)▲リアのブレーキランプの3本のラインがまるで猫のおひげのようで好き、とPNさん
トヨタ スープラ(A70型)

「18歳で四輪免許を取得したのと同じ頃にジムカーナやラリーといった競技も始めたんです。この車はジムカーナ仲間から程度のいいGA70があると聞き、純正・ノーマル仕様で思っていた以上に乗り心地がよかったのが購入の決め手でした。しばらくはジムカーナ仕様にモディファイして競技を走っていましたが、最後のラインで生産された貴重な個体なので、今後も長く乗り続けられるようノーマルに戻しました」

現在の仕様に戻してからは、日常の足や休日のドライブカーとして愛用している。ボディは年式なりの風合いを帯びているが、リトラクタブルヘッドライトなど、今の車にはないデザインをとくに気に入っているという。今後も手放すつもりはまったくなく、「たとえ動かなくなっても1/1スケールのモデルカーとして手元に置く」と笑う。

トヨタ スープラ(A70型)

「素直に走ってくれるところが、このスープラのいちばん好きな点ですね。一般的には“曲がらない車”なんていわれますけど、それは上手に操る方法を知らないだけだと思います」

現在もモータースポーツ活動を続けており、そのキャリアは30年以上。自動車関連会社のチームでジムカーナやラリーの指導を行っているというから、その言葉には説得力がある。

しかも、免許取得から今日まで無事故・無違反を貫いているとのこと。走行距離はおよそ21万km。スープラはまだまだ快調な排気音を響かせていた。

トヨタ スープラ(A70型)
トヨタ スープラ(A70型)▲夏場は駐車中に暑さでシフトノブが熱くなってしまうため、カバーをかけて温度上昇を防ぐ。黒がベースのシックな室内にカエルのキャラクターがかわいい

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トヨタ スープラ(A70型)
文/佐藤旅宇、写真/尾形和美
トヨタ スープラ(A70型)

PNさんのマイカーレビュー

トヨタ スープラ(A70型)

●購入金額/150万円
●愛車と同時に迷った車/マツダ のRX-7(2代目)のアンフィニIV
●購入の決め手/父の強い推しが大きかったですが、私がどうしてもリトラクタブルヘッドライトの車が欲しかったのもあります
●マイカーの好きなところ/命を預ける相棒、いつどんなときも私の思いに応えてくれていると感じるところ。多分ですが皆さんが思っている以上に70スープラは乗り手に従順な車です。専門性の強いディーラと一緒に、ひとつひとつメンテナンスを重ねながらできる限り長く乗り続けたいと思えることも好きな部分
●マイカーの愛すべきダメなところ/直線番長でもコーナリングが“若干”苦手なところ

佐藤旅宇

ライター

佐藤旅宇

オートバイ専門誌と自転車専門誌の編集記者を経て2010年よりフリーライターとして独立。様々なジャンルの広告&メディアで節操なく活動中。現在の愛車はフォルクスワーゲン クロスUP!と日産 ラルゴの他、バイク(HONDA)とたくさんの自転車。

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