トヨタ 86

【連載:どんなクルマと、どんな時間を。】
車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?

スポーツカーに惹かれるきっかけは父の影響

2025年9月13日から14日にかけて、静岡県の富士スピードウェイで開催された「頭文字D 30th Anniversary 2days」は、『頭文字D』連載開始30周年を記念する大規模な祭典である。

会場には作中に登場する車両専用の駐車エリアが設けられ、AE86やRX-7といった主要キャラクターの愛車はもちろん、カプチーノやMR2といった“バイプレイヤー”たちのマシンまでが各地から集結した。

オレンジメタリックのトヨタ 86に乗るJOCARさんもその参加者の1人だ。いちおう説明しておくと、86は『頭文字D』の後継作にあたる『MFゴースト』の主人公・片桐夏向の愛車である。
 

トヨタ 86

JOCARさんはまだ23歳という若さ。 車、特にスポーツカーに惹かれるようになったきっかけは、多くの人が想像するとおり、トヨタ セリカXXやマツダ サバンナRX-7を乗り継いできた父親の影響だという。

「はじめはなんとなく、“スポーツカーで女の子を迎えに行ったらカッコいいだろうな”みたいな軽い気持ちだったんです。でも、父の影響で『イニD』のアニメを見るようになって、運転がうまくなりたいと思うようになりました」
 

トヨタ 86
運転免許を取得してしばらくは、父親から譲り受けた長年ジャガーの代表的なモデルであるジャガー XJ(!)に乗っていたというJOCARさん。自分の車を買おうと決意したのは約3年前のことだ。

「MTで運転できることを第一条件に車種を絞り込みました。RX-8やフェアレディZ、輸入車好きの母親の推薦でカマロ(!)も候補に挙がったんですが、最終的には父の助言もあって、中古車市場でタマ数の多い86の中から“他人とかぶりにくい仕様”を探すことにしました」

MTであること、走行距離が少ないこと、ボディカラーは赤またはオレンジメタリックであること――その条件でいくつかの車両を比較した結果、近畿地方のお店でエアロパーツ装着済みの1台と出合い、現在の愛車となった。
 

トヨタ 86既製のサイズがぴったり合ったこだわりのリアウイング。インパクトある後ろ姿もお気に入りのひとつ

とにかく目立つ車は、走りも見た目も言うことなし!

購入から約3年の間に、JOCARさんはタイヤ、サスペンション、ライトを交換し、リアウイングを装着するなど、積極的にチューニングを楽しんでいる。 リアウイングは車検対応の最大サイズをチョイス。車高も車検対応ギリギリまで落とし込むなど、細部までこだわり抜かれている。

スピードを追い求めるというより、ショーカーのように自分の理想のスタイリングへと近づけることを目的としたものであり、車両代を含めると、すでに中古の輸入車が買えてしまうほどの金額をこの86につぎ込んでいるという。
 

トヨタ 86

もっとも見た目こそド派手だが、この仕様のまま東京から親戚の住む仙台まで自走したこともあるそうで、86本来の美点である“実用性”はしっかりと保たれている。

「『イニD』という作品には、車同士のバトルだけじゃなく、登場人物たちの青春や人間ドラマが描かれていますよね。“スポーツカーを持つと、こんな素敵な日々が送れるんだ”って、あの作品を見てすごく憧れをかき立てられました」

自分の手で仕上げた愛車で峠を走っていると、まるで自分が漫画の登場人物になったような気がして、思わず頬がゆるんでしまうとJOCARさんは語る。
 

トヨタ 86ハンドルやメーターパネルをはじめ内装は赤がキーカラーに。このちょっとエロい感じがたまらない、とJOCARさん
トヨタ 86

『MFゴースト』や現在連載中の『昴と彗星』の主人公の愛車ということもあり、外国人観光客から写真を撮られる機会も多いそうだ。それがとてもうれしいという。

高速道路のパーキングエリアなどでは、年配の車好きから声をかけられることも多々あり、鮮やかなボディカラーが人との距離を近づける“きっかけ”になっているという。会話が好きなJOCARさんにとって、それもまた愛車がもたらす大きな喜びのひとつだ。

MTを操って走りを楽しみ、行く先々で人との出会いを生む。 そんな愛車との時間は、何ものにも代えがたい充実のひととき。年間走行距離は3万kmにも達するという。
 

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トヨタ 86(初代)
文/佐藤旅宇、写真/尾形和美
トヨタ 86

JOCARさんのマイカーレビュー

トヨタ 86

●購入金額/約400万円
●購入検討時に見に行った台数/7~8台
●購入の決め手/オレンジメタリックのボディカラー。他の車とかぶらない珍しい色なので!
●マイカーの好きなところ/こだわりのタイヤとリアウイング
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/運転が楽しい車なので、走るのが好きな人に。

佐藤旅宇

ライター

佐藤旅宇

オートバイ専門誌と自転車専門誌の編集記者を経て2010年よりフリーライターとして独立。様々なジャンルの広告&メディアで節操なく活動中。現在の愛車はフォルクスワーゲン クロスUP!と日産 ラルゴの他、バイク(HONDA)とたくさんの自転車。