「ふぞろいの車たち」が与えてくれる歓び
カテゴリー: クルマ
タグ: EDGEが効いている / EDGE SELECTION
2015/02/23

最新世代の輸入車は確かに凄いが、凄すぎて疲れる部分も?
「血液型に基づく性格判断」のようなものに筆者はいっさいの興味がないが、生物学的にはA型の血液が体内を流れている。そのせいとは思わないが、まぁ、けっこう几帳面というか、物ごとがキッチリぴったり進行しないのは苦手なたちである。それゆえ過日、愛用するふりかけの新品を食卓に卸す際、メーカーの指示どおり切り口を手で開封するのではなく、ハサミを使って直線的に開封してみた。手で開封すると切り口がどうしてもギザギザのいびつな感じになり、そのビジュアルがあまり好きではないからだ。
しかしそれが大失敗だった。
ハサミによる直線的な切り口は非常に美しく、ビジュアル的には大満足となったのだが、とにかく開けづらくて仕方がない。ギザギザでいびつな部分がどこにもないため表側と裏側のビニールが見事にピタリとくっついてしまい、開けにくいというか「ほとんど開けられない」という状態に陥ってしまったのだ。
これに懲りた筆者は以後、ふりかけに限らずすべてのビニールパック製品は、両の手でひたすらアナログに開封することを徹底している。切り口のビジュアルは二の次だ。
そして過日もその愛用ふりかけを手で開封しながら思ったのが、「これと似たことは最近の輸入車においても言えるのかもしれない」ということだった。
ひと昔、あるいはふた昔ぐらい前の輸入車は結構な部分がギザギザというかいびつというか、まぁ、あまりキッチリぴったりとはしておらず、また機構的にもかなりアナログな感じの部分が多かった。「アナログな」というとノスタルジックで素敵なイメージもあるが、要するに「古典的」ということである。
それに対して最近の輸入車は各部が本当にキッチリぴったりしており、機構面でもデジタル感満点である。そもそも古典的なMTは希少となり、ATも2枚用意されたクラッチにより瞬殺で変速するタイプが主流に。また上級モデルではエンジンとサスペンションの特性を統合的かつ任意に手元でコントロールできるようにもなっている。
それら新技術は大変素晴らしいものであり、何の異存も文句もない。しかし、たまに思うのが「こりゃもしも壊れたときは大変なことになるだろうな……」ということだったり、あるいは「凄いけど、もう少し凄くない方が気楽な感じで本当はありがたいんだけどなぁ……」というようなことだ。
例えばだが過日、モータージャーナリストの清水草一氏が購入した某欧州製中古車は納車翌日に完全電子制御の6速ATが何の予兆もなしにいきなり故障し、ノロノロ運転しかできない状態になってしまった。これは「納車翌日だった」というのが逆に幸いし、保証により無料で新品ATに交換されたわけだが、もしも保証期間が切れた後だったらと想像すると、他人事ながら寒気がする。
しかし、ひと昔かふた昔前の「ギザギザ系輸入車」であれば、さほど心配する必要はない。いやもちろんギザギザ系のアナログ輸入車が壊れないわけではないし、むしろ積極的に壊れるような気もしないではないが、作りがシンプルゆえに「ややこしい壊れ方」はあまりしないのだ。また壊れるにしても、音や感触などの「何らかの予兆」があるケースがほとんどであるため、事前の対応(要するに部品交換)が可能である場合が多い。それらの結果としてギザギザ系輸入車は機械としても、また存在としても非常に「軽快」なのである。
最新のデジタル系輸入車と往年のギザギザ系輸入車の、どちらが正解ということはない。いや普段使いには最新デジタル系の方が圧倒的に有利かつ便利ではあるだろう。しかし、すべてがキッチリぴったりとした最近の輸入車にもしもちょっと疲れたなら、あちこちがギザギザしていて隙も多い、でも圧倒的に軽快な「ちょっと古い輸入車」に乗り換えてみるのも一つの手だ。
ATでもいいが、できればMTを選んだほうが、より「らしさ」は堪能できるだろう。また「ちょっと古い」というのが何年式以前を指すかは人それぞれ見解があろうが、ここではいちおう「99年式以前」とさせていただく。あくまで仮の区切りに過ぎないが。
ということで今回のわたくしからのオススメはズバリ「99年式以前のMT輸入車」だ。
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- Conditions:MT&総額表示あり&修復歴なし&1999年式以前
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