【図説で愛でる劇中車 第13回】刑事ドラマ「ゴリラ・警視庁捜査第8班」に登場する車たち
2020/05/10

国内外問わず様々な映像作品(アニメも含め!?)に登場したあんな車やこんな車を、イラストレーター遠藤イヅルが愛情たっぷりに図説する不定期連載!
第13回は、1989年から46話が放映された刑事アクションドラマ「ゴリラ・警視庁捜査第8班」から、劇中に登場した特殊車両から3台をご紹介します。
コンバットシーンにも対応できる組織「ゴリラ」
刑事アクションドラマの金字塔で、このコーナーの第1回で取り上げた「西部警察」。手がけたのは、ご存じ「石原プロモーション」です。その石原プロモーションが、「西部警察を超える!」という意気込みのもと製作したのが「ゴリラ・警視庁捜査第8班」でした。
ゴリラには、石原プロモーションの作品らしく渡哲也氏や舘ひろし氏などが出演しただけでなく、特殊車両も数多く登場。西部警察以上に戦闘シーンを強調したアクションドラマとして、1989年4月から放映が始まりました。
そのため、本作品では、警察の捜査では対応できない犯罪に対処するべくつくられた「刑事部長直属の機関」という設定に。彼らは警視庁捜査一課に属しますが、どんな事件にも介入できる権限をもち、一般的な警察官・刑事という肩書きだった西部警察を超えた、「超法規的機関」として描かれています。
「ゴリラ」を代表する、ガルウイングに改造されたスタリオン

西部警察の車両は日産の提供でしたが、ゴリラではメーカーが三菱に代わったため、ゴリラメンバー愛用の特殊車両・パトカー・犯人の車も基本的には三菱車に。
特殊車両には「G1」から「G6」までのコードナンバーが与えられていました。中でも高い人気を誇ったのが「G2」です。三菱のスポーティクーペ「スタリオン2600GSR-VR」のガルウイング仕様で、メンバーのひとり伊達健(舘ひろし)が愛用しました。
車内にはラップトップPCが備わり(劇中では撤去)、センターコンソールにはモニターも。車載レーダーや7.25mmバルカン砲などを装備する設定になっていました。
なお、「G1」は班長・倉本省(渡哲也)が乗るギャランVR-4でしたが、G2はそれを差し置いて主役的な扱いを受けていました。
真っ白なデボネアV “AMG”も大活躍

三菱の高級車「デボネア」の2代目「デボネアV」は、パーソナルで所有するより、運転手付きの三菱系企業の重役が移動用に用いる……という印象の車でしたが、そのイメージを覆すようなモデルがありました。それが、「デボネアV 3000 ロイヤル AMG」です。
「AMG」は、メルセデス・ベンツのチューナー・AMGそのもの。同時期に発売されていた「三菱 ギャランAMG」とともに、メルセデス・ベンツ以外のチューニングを手がけた数少ない例として有名です。
この「デボネアV AMG」は「G3」として風間有悟(神田正輝)が主に使用していました。カーチェイスシーンを担当することが多めで、画面いっぱいに真っ白な車体を踊らせて活躍。印象に残る1台となりました。
なお前述のように、ゴリラでは車両提供が三菱だったため、カーチェイスやアクションの結果衝突・横転・破壊する車の多くが三菱車で、しかも古いギャラン(特に目立ったのが2代目のA160系)が多かったのは面白いところです。
「田中美奈子」がドラマ・リアル両方で愛用したエクリプス

ゴリラにはもう1台、ガルウイングの車が登場します。
それが、第34話からチームに配属された「三菱・エクリプスGSターボ」。田中美奈子(演じるのも田中美奈子)の愛車です。
コードナンバーは「G5」ですが、この番号は、劇中では活躍場面が少なかった前任のG5(ミラージュ・サイボーグ)を受け継いでいます。
クライスラーと三菱が合弁してアメリカにつくった会社「ダイアモンド・スター・モーターズ(DSM)」製のエクリプスを日本向けにして逆輸入販売しため、そもそも左ハンドルしかなかったのですが、このガルウイング仕様ではさらに、ベース自体も北米仕様そのままというのが特徴でした。
有名(?)なエピソードとして、撮影終了後、劇中に登場したエクリプスを渡哲也氏が田中美奈子さんにあげた、という話があります。実際にはガルウイングではなく通常ドアのモデルだったそうですが、劇中で「田中美奈子」を演じた田中美奈子さんは、リアルでもエクリプスを愛用していたことになります。
迷走した作品だけど、やっぱり面白い
これらの特殊車両を用意して、メンバーもコンバットスーツに身を包み戦闘シーンを行うアクションドラマとして企画された「ゴリラ」。出演者たちの軽妙なジョークも見どころでしたが、残念ながら西部警察のような盛り上がりを見せぬまま終わってしまいました。
シリーズ途中から次第に一般的な刑事ドラマにシフトしただけでなく、終盤から脚本家として倉本聰氏が参加したことにより、人情ドラマの側面が強調されて雰囲気が激変。ドラマとしてとても豊かな内容になった反面、コンバット刑事アクションという初期設定とのギャップが激しくなるなど、全体的に迷走してしまったのです。派手に車が爆発炎上するようなシーンも、西部警察ほどには行われませんでした。
ですが、それもまたゴリラというドラマの魅力。名優たちの演技、ふんだんに盛り込まれたアクションシーン、派手に暴れまわる車たちも、30年前のドラマの楽しみ。今ではもはや再現できないことばかりなのです。

イラストレーター/ライター
遠藤イヅル
1971年生まれ。大学卒業後カーデザイン専門学校を経て、メーカー系レース部門のデザイナーとして勤務。その後転職して交通系デザイナーとして働いたのち独立、各種自動車メディアにイラストレーター/ライターとしてコンテンツを寄稿中。特にトラックやバス、商用車、実用的な車を好む。愛車はサーブ900、VWサンタナほか実用的な車ばかり。
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