iPodのように磨かれたスバルR1 【CS探偵団】
2008/10/30
■“磨き屋シンジケート”による匠の技で、R1がピッカピカ!
あまり知られていませんが、日本には世界に誇る“匠”たちがたくさんいます。そんな匠によって仕上げられた、世界に一台しかないR1が存在するのです。
そのR1のある場所は、なぜか新潟県燕市。世界中が感動した“あの技”が生み出したR1。
今回は、そんな新潟県燕市の“匠の技”を調べてみました。
まずは、件のR1とはどんなものなのか? 下の写真が実車です。もともと黒のボディ色だったR1が、まさにiPodの裏面ようにピカピカに磨かれています。
燕市、iPodというキーワードで「あ〜なるほどね」と気がついた方も多いでしょう。
実はこの燕市。もともと洋食器の製造が盛んなところだったのですが、その技術を応用し、今では世界でトップレベルの金属研磨技術を誇る地域として有名なのです。
といっても、一番この燕を有名にしたのはやはりiPodでした。
その辺の経緯について、燕商工会議所の方に伺ってみたところ、次のように教えていただきました。
そもそもアメリカのアップル社では、当時ノートパソコンを開発中でした。そこに立ちはだかったのが、外板をいかに薄くするかということ。
「チタン製で0.4mmに抑えたい」
ところが誰に聞いても、そんな技術をもった会社なんてありませんでした。「地球上にそんな技術をもった会社なんてあるのか」とすら思ったそうです。すると悩んでいたアップルの開発者の一人が、たまたま仲間が持っていたカメラに釘づけとなりました。なぜなら、そのカメラのマウント部分が彼らの要求を満たしている…。
「このマウントを作った会社を探せ!」
そう、その会社こそ燕市にあった一企業だったのです。
そして2001年1月、チタン製ボディをもつ「PowerBookG4」が発売されるわけですが、この偶然のおつき合いが、世界的に大ヒットしたiPodのあの光り輝くボディを生み出したというわけです(発表されたのは同じく2001年の10月)。
ちなみに現在ではもう例の磨き自体はやっていないのだとか。ただし、今もiPodの外板部品は新潟県の企業が請け負っていて、その部品は燕市の企業が磨いているそうです。
では、今回取り上げたR1はなぜ生まれたのか。
これは2007年1月に開催された「ものづくり展」出展のため、国立科学博物館から燕市が依頼されたことによります。この「ものづくり展」、中小企業の技術を国民に広くPRするために開催されました。
この時の依頼が、新車のR1の塗装を剥離し、磨いて光らせてほしいという内容だったのですが、自動車のボディに使われている鋼板は磨いても光りにくく、自動車メーカーも「難しい」と言っていました。ですから最初は「無理です」と断ったそうですが、国立科学博物館は「ダメでもいいからチャレンジしてほしい」と。
こう言われると、匠と呼ばれる人々はなぜか血気が高まります。「そこまで言われて断っちゃぁ、格好がつかねぇ」とばかりに、10社と燕商工会議所からなる“磨き屋シンジケート”が結成され、見事このR1を誕生させたのです。
このR1による自動車メーカーからの反響はあったのか聞いてみると「自動車メーカーではないが、飛行機の翼を磨くことになった」とのこと。その飛行機自体はアメリカ製ですが、翼の部分は日本の企業が請け負っているそうで、その企業とは、R1→スバル→富士重工業→富士重工業は戦前飛行機メーカー…そう、そういうことなのです。
ちなみに、この磨かれたR1、一応錆止めのコーティングがされていますが、飛び石で剥がれることもあり実用には向きません。また、同じように磨くとしたら「100万円くらい」の費用が必要です。
まぁ、愛車をiPodにするのはやめておいて、まずは世界も驚く匠の技が施されたR1を見に行ってみてはいかがでしょうか。
あまり知られていませんが、日本には世界に誇る“匠”たちがたくさんいます。そんな匠によって仕上げられた、世界に一台しかないR1が存在するのです。
そのR1のある場所は、なぜか新潟県燕市。世界中が感動した“あの技”が生み出したR1。
今回は、そんな新潟県燕市の“匠の技”を調べてみました。
まずは、件のR1とはどんなものなのか? 下の写真が実車です。もともと黒のボディ色だったR1が、まさにiPodの裏面ようにピカピカに磨かれています。
↑2007年8月28日〜2008年1月17日まで上越新幹線の停車駅であるJR燕三条駅2階に展示されていた時の写真です。ちなみになぜR1だったのかと言えば、仕事を依頼した国立科学博物館が「磨く面積の小さい軽自動車」と考えたことが発端。その際にスバルが協力を名乗り出て、同社のラインナップからR1が選ばれました
燕市、iPodというキーワードで「あ〜なるほどね」と気がついた方も多いでしょう。
実はこの燕市。もともと洋食器の製造が盛んなところだったのですが、その技術を応用し、今では世界でトップレベルの金属研磨技術を誇る地域として有名なのです。
といっても、一番この燕を有名にしたのはやはりiPodでした。
その辺の経緯について、燕商工会議所の方に伺ってみたところ、次のように教えていただきました。
そもそもアメリカのアップル社では、当時ノートパソコンを開発中でした。そこに立ちはだかったのが、外板をいかに薄くするかということ。
「チタン製で0.4mmに抑えたい」
ところが誰に聞いても、そんな技術をもった会社なんてありませんでした。「地球上にそんな技術をもった会社なんてあるのか」とすら思ったそうです。すると悩んでいたアップルの開発者の一人が、たまたま仲間が持っていたカメラに釘づけとなりました。なぜなら、そのカメラのマウント部分が彼らの要求を満たしている…。
「このマウントを作った会社を探せ!」
そう、その会社こそ燕市にあった一企業だったのです。
そして2001年1月、チタン製ボディをもつ「PowerBookG4」が発売されるわけですが、この偶然のおつき合いが、世界的に大ヒットしたiPodのあの光り輝くボディを生み出したというわけです(発表されたのは同じく2001年の10月)。
ちなみに現在ではもう例の磨き自体はやっていないのだとか。ただし、今もiPodの外板部品は新潟県の企業が請け負っていて、その部品は燕市の企業が磨いているそうです。
↑あまりにも磨かれているので、写真を撮る自分がこんなにきれいに映り込んでしまいます(左) 現在は燕三条駅そばにある新潟県県央地域地場産業センターに展示されています(中) 新潟県県央地域地場産業センターの場所はここ(右)
では、今回取り上げたR1はなぜ生まれたのか。
これは2007年1月に開催された「ものづくり展」出展のため、国立科学博物館から燕市が依頼されたことによります。この「ものづくり展」、中小企業の技術を国民に広くPRするために開催されました。
この時の依頼が、新車のR1の塗装を剥離し、磨いて光らせてほしいという内容だったのですが、自動車のボディに使われている鋼板は磨いても光りにくく、自動車メーカーも「難しい」と言っていました。ですから最初は「無理です」と断ったそうですが、国立科学博物館は「ダメでもいいからチャレンジしてほしい」と。
こう言われると、匠と呼ばれる人々はなぜか血気が高まります。「そこまで言われて断っちゃぁ、格好がつかねぇ」とばかりに、10社と燕商工会議所からなる“磨き屋シンジケート”が結成され、見事このR1を誕生させたのです。
このR1による自動車メーカーからの反響はあったのか聞いてみると「自動車メーカーではないが、飛行機の翼を磨くことになった」とのこと。その飛行機自体はアメリカ製ですが、翼の部分は日本の企業が請け負っているそうで、その企業とは、R1→スバル→富士重工業→富士重工業は戦前飛行機メーカー…そう、そういうことなのです。
ちなみに、この磨かれたR1、一応錆止めのコーティングがされていますが、飛び石で剥がれることもあり実用には向きません。また、同じように磨くとしたら「100万円くらい」の費用が必要です。
まぁ、愛車をiPodにするのはやめておいて、まずは世界も驚く匠の技が施されたR1を見に行ってみてはいかがでしょうか。
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