もしも息子または娘の「親離れ」が発生したなら、父は黙ってBMW 1シリーズクーペに(100万円台で)乗る
2016/11/04

親離れの時期は「一人の男」に戻るチャンスでもある
我が子が心の底から「パパ大好き!」と言ってくれる期間というのは、思いのほか短いものです。ある程度の学年ともなれば、男の子は親ではなく同性の友人とのアクティビティを断然優先するようになりますし、女の子はパパの洗濯物を割り箸でつまむようになるか、もしくは一切まともに口を利いてくれなくなります。
それはもちろん大変寂しいことではありますが、逆に考えれば「父親という(ある意味)窮屈な立ち位置から解放され、一人の男としての時間を取り戻すチャンス」であるのかもしれません。
それを契機にぜひ様々な「自分」を取り戻していただきたいものですが、もしもあなたが「そういえば俺、若い頃はずいぶんと車が好きだったよなぁ……」という感じで遠い目をしながらミニバンのハンドルを握っているのであれば、ここらで一つ「車で駆け抜ける歓び」ってやつをもう一度取り戻してみるのはいかがでしょうか?
その際、今お乗りのミニバンに替わる車種として様々な候補が考えられますが、さしあたって大いに推したいモデルの一つがBMW 1シリーズクーペです。


強烈な135iもステキだが、ややマイルドな120iも◎
よくご存じの方も多いでしょうが、BMW 1シリーズクーペは08年2月に登場した、当時の1シリーズをベースに作られたコンパクトなFRクーペ。コンパクトといってもその動力性能はかなり強烈で、エンジンは最高出力306psを発生する3Lのパラレルツインターボです(※10年5月からはツインパワーターボに変更)。デビュー当時は「BMW 2002ターボの再来だ!」ということで騒がれたものです。メーカー発表による0-100km/h加速は5.3秒。これは同世代のポルシェ ケイマンより圧倒的に速く、高出力なケイマンSより微妙に速いという数字です。
そして数字だけでなく体感的にも、135iクーペはすべてが強烈です。もちろんただ強烈に速いだけでなく、緻密すぎるほど緻密なエンジンフィールや、6MTをガチッ、ガチッと変速させる際の鬼のような剛性感、そしてちょっとガタイのいい牛若丸のようなニュアンスで(?)峠道のコーナーを右へ左へ軽快に駆けていく独特な感触は、まさに「大人のスポーツカー」です。
「ツインターボ/ツインパワーターボの135iクーペではちょっと強烈すぎる」という場合は、10年5月以降のモデルで選べる120iクーペがいいでしょう。こちらは最高出力170psの2L直列4気筒自然吸気エンジンですので、「程良い速さ」を存分に堪能できるはず。また120iも135iも、2ドアクーペでありながら後席の居住環境はなかなか快適ですので、いわゆるファミリーカー的な使い方にも十分対応してくれます。


狙い目は120万~180万円付近の120i系
そんなステキなBMW 1シリーズクーペですが、後継モデルにあたるBMW 2シリーズが市場に浸透してきた結果でしょうか、その中古車は今、結構なお値打ち相場になっています。
もちろん相場全体は上から下までかなり幅広いのですが、注目どころは「100万円台」です。強烈なターボ付きエンジンを搭載する135iクーペであっても、走行2万~4万km台の個体を車両価格170万~190万円付近で探すことができますし、「ややおとなしい120iクーペで十分だよ」というのであれば、同じく走行2万~4万km台の個体を車両価格120万~180万円ぐらいで見つけることが可能です。それぞれの新車価格(135i=538万~579万円、120i系=385万~425万円)を考えれば、そしてBMW 1シリーズクーペという車の圧倒的なまでのパフォーマンスを考えれば、この中古車相場はまさに「バーゲン」と言えるでしょう
ただ、久々の輸入車というと「故障が心配で……」という人もいるかもしれません。しかし1シリーズクーペは比較的最近の設計となる車ですから、ふた昔前の輸入車のように「しょっちゅう壊れて閉口する」ということはありません。それでもやや心配な場合は、複雑なツインターボ/ツインパワーターボを採用している135iではなく、ベーシックな自然吸気エンジンを搭載している120i系を選べばOKでしょう。もちろん、現車のコンディションや整備履歴をしっかり確認したうえで買わなければならないのは言うまでもありませんが、そのように120i系を選べば、大きなトラブルに巻き込まれる可能性はかなり低いはずです。
今現在ニッポンの主流となっているミニバンと比べてしまうと、居住性や積載性は正直かなり劣ります。しかし冒頭で申し上げたとおり、ある程度成長したお子さんというのはもはやあなたにベッタリではありません。さしあたって今はお友達との付き合いの方が断然大事であり、彼や彼女が本気で「親孝行」をしたくなるのは、たぶん10年か20年ぐらい先のことでしょう。
それまでは「あなた自身の世界」を存分に楽しむのがいちばんであり、なおかつ、お子さんに対して「大人のカッコいい背中を見せる」という教育効果もあるかと思うのですが、どうでしょうか?

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