ネオ・ネオクラシック=中途半端に(?)古い輸入車の相場って今、どうなってるの?【MARKET EDGE】
カテゴリー: 特選車
タグ: メルセデス・ベンツ / アウディ / プジョー / アルファ ロメオ / Gクラス / TT / アルファ156 / 106 / EDGEが効いている / MARKET EDGE / 伊達軍曹
2021/01/07
▲ほど良くクラシカルな「ネオクラシック」ではなく、かといってバリバリの最新世代なわけでもない、1990年代後半から2000年代半ば頃にかけての輸入車。その世代をとりあえず「ネオ・ネオクラシック」と命名し、あえて注目してみたいと思います!それは「中途半端」なのか、それとも「絶妙」か?
2020年12月26日発売の雑誌「カーセンサーEDGE 2月号」では、「ネオ・ネオクラシックに乗る」と題した1990年代後半から2000年代半ば頃までの、言わば微妙な年代の輸入車を大研究する特集を展開している。
ここでは、同特集内に掲載された「ネオ・ネオクラシックの中古車相場事情」をweb用に再構成した特別バージョンをお届けしながら、なんとも微妙な世代の中古車相場について考えてみたい。
▲例えばこちらは1998年から2006年にかけて販売されたアルファロメオ 156。中期型以降の評価はやや微妙かもしれないが、写真の前期型はビジュアルもエンジンもなかなか魅力的だ
クラシカルで玄妙な味わいが濃厚なわけではなく、かといって近年のモデルのような、先進技術がもたらす切れ味に悶絶してしまうわけでもない「ネオ・ネオクラシック世代」の各輸入車。
それは車種選びの段階でハズしてしまうと、単なる“中途半端”になってしまうリスクもある選択肢だ。
しかし、海水と淡水とが程よく混じり合っている汽水域のようなモデル、つまり、クラシカルな趣きはそこそこ強いのだが、同時にある程度現代的な作りでもあるため、リアルなネオクラシックを維持するよりはラクな手間暇でもって楽しめる1台を、うまく見つけることができたなら……。
それは中途半端ではなく「絶妙」ということになるはずなのだ。
で、筆者が「絶妙」と考えているのが下記の4モデルなわけだが(本当は他にも何車種かある)、人が考えることというのはだいたい似通っているため、これら絶妙系の相場は今、若干の上昇傾向にある。
例えばアウディの初代TTは、数年前までは「派手にカスタマイズされた過走行車が激安価格で叩き売られてる」とも形容できなくはない状況だった。
しかし、直近ではどこから湧いて出てきたのか、たたずまいのよろしいフルノーマル物件または準ノーマル物件が多数、そこそこの高値で販売されるようになってきているのだ。
▲こちらが1999年から2006年まで販売された初代アウディ TT大切なのは世間の評価ではなく「あなたの評価」だ
だが高値とはいえ、あくまで「そこそこ」でしかない。
具体的には、例えば「リアルネオクラシック」と言える1980年代末期の初代BMW M3は、20年前には200万円程度だった相場が今や約5倍の1000万円級になってしまった。
しかし初代TTの場合は、せいぜい「70万円だったのが130万円になっちゃいました」程度の話でしかないのだ。
そして――例えばではあるが――初代アウディ TTが現役だった2000年代初頭頃にハタチの大学生だった人は、今や40歳前後の立派なミドルエイジ。そんな彼にとっての初代TTは、立派な「甘酸っぱい思い出」であるはず。
そんな甘酸っぱい記憶を呼び起こし、ひそかに堪能するためには、「100万円台の予算」なんてものはきわめてリーズナブル。
まぁ下記にご紹介する中では、先代メルセデス Gクラスのショートボディだけはさすがに100万円台では買えないが、それ以外はどれも150万から200万円ほどの総予算で悪くない個体を買え、さらには「ビシッとした納車前整備」までキメられるだろう。
1990年代後半から2000年代半ばという、「クラシカルでも最先端でもない」という微妙な世代に対する世間的な価値はさておき、「あなたにとっての価値」はある絶妙系のネオ・ネオクラシックがもしも見つかったなら、誰が何と言おうと注目する価値はあるはずなのだ。
要注目の「ネオ・ネオクラシック」はこの4モデル!
ということで以下、(あくまで筆者が考える)代表的なネオ・ネオクラシック輸入車の概要と、それぞれの中古車相場を記す。
これらの車に価値を見いだすかどうかは人それぞれだろうが、筆者としては、必ずやどこかに「これ」を強く求めている人もいると確信している。
注目相場:70万から150万円
▲前衛的なデザインをまとって1998年に登場した初代アウディ TT。こと造形に関してはこれこそがTTシリーズの、いや自動車界の「金字塔」とも呼べるかも
アウディが発表したデザインスタディをほぼそのままの形で市販化し、1998年当時のカーデザイン界に衝撃を与えるとともに金字塔を打ち立てた2+2クーペ。
走行に関わる各種性能は2015年登場の現行モデルと、いや2006年登場の2代目TTとも比べるべくもないが、こと「デザインの趣き」という点では初代こそがベスト(と筆者は思っている)。
現在の相場はおおむね上記のとおりで、2020年中に現行型の生産が終わるからといって初代の相場が高騰するとも思えないが、影響を受けて微妙に上がる可能性はあるかも。
▼検索条件
アウディ TT(type 8N)×全国
注目相場:70万から170万円
▲日本では1995年から2003年まで販売されたプジョーのコンパクトカー「106」。本国では5ドアやディーゼル版など様々なグレードが用意されたが、日本へは3ドアの上級グレードのみが正規輸入された
日本では1995年から2003年まで販売された、当時のプジョーの最小ハッチバック。
これといったハイテクはほとんど使われていないのだが、その走りは下手なハイテクハッチバック以上に痛快。そしてデザインにも「往年のプジョー」のテイストが程よく残っている。
これも10年ほど前までは「捨て値」とも言えるような価格で売られている個体が多かったのだが、最近は、コンディション良好なS16およびS16リミテッドはおおむね上記ぐらいまで上がっている。
とはいえバカ高いわけでもないので、「近頃は補修用パーツの数が減少中」という問題に目をつぶるなら、なかなかの注目株だ。
▼検索条件
プジョー 106×全国
注目相場:90万から230万円(※156GTAを含む)
▲こちらがアルファロメオ 156。2002年途中から2Lエンジンは直噴方式の「JTS」というタイプになり、2003年途中からの後期型はフロントマスクを変更。オススメは初期顔のV6エンジン搭載グレードアルファロメオが1997年から2005年にかけて製造販売したスポーティセダン。
FRシャシー+アルファ純血エンジンだった時代を好むディープなマニアからすれば「薄い車」かもしれない。だがそれでも、現代のアルファロメオ車とはテイストがずいぶん異なる甘美なV6エンジンと、今にしてみれば「手のひらサイズ」である点は大いに魅力的だ。
途中からの直噴エンジン(JTS)と、シリーズ3(2003年9月以降)のフロントマスクはやや不評であり、筆者も個人的には興味をもてない。買うなら初期型(シリーズ1)かGTAの、程度良好なMT車をじっくり探すべきだろう。
▼検索条件
アルファロメオ 156×全国
注目相場:400万から700万円
▲先代Gクラスまでは存在していた「ショートボディ」。ビジュアルと雰囲気に独特の軽快感というかカジュアル感があり、実際に運転しても軽やかに走ることができるオススメのSUV。ただし相場はけっこう高め
先代メルセデス・ベンツ Gクラスの中でも、2000年代後半以降の世代はけっこうキラキラしているためクラシック感は薄く、2010年代のモノともなればかなりキラキラで、クラシックもへったくれもないという感じだ。
しかし、1990年代後半から2000年代前半のそれであれば、実はそこそこシックなのである。
とはいえ、ロングボディだと「中途半端感」が出てしまう恐れもあるのだが、独特の雰囲気をもつショートボディであれば、絶妙な「ちょっと古い感じ」が醸し出せる。
だが問題点は、「好きな人はかなり好き」という人気モデルゆえ、相場は決して安くはないということだ……。
▼検索条件
メルセデス・ベンツ Gクラス(ショートボディ)×全国
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。
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