【専門店に聞いた】ローバー ミニのオススメの選び方と物件のチェックポイント
2022/06/30
▲“クラシックミニ”とも呼ばれるイギリスのローバー製ミニ。1959~2000年まで生産された大ヒットモデルローバー ミニ購入時の選び方を紹介
現在販売されているミニはドイツのBMW社が作っているものですが、1959年に英国で誕生した元祖ミニ(通称クラシックミニ)のレトロで素敵なビジュアルにヤラれ、「今のやつじゃなくて、あっちが欲しい!」と思っている人も少なくないかと思います。
クラシックミニは本当に素敵な車なので、その購入には大賛成です。
しかし、クラシックミニは「クラシック」と呼ばれるだけあって、いちばん最後の年式でも22年落ちの古い車です。そのため近所のディーラーで国産新車を買うのと違い、いろいろと注意しなければならない点はあります。
とはいえ、「何をどう“注意”すればいいのかが、そもそもよくわからない!」という人も多いのかもしれません。
そこで「もしもこれからクラシックミニを買うなら、どんなポイントに注意しながら探せばいいのか?」ということを、都内の有名専門店に尋ねてみることにしました。クラシックミニの購入を検討している方は、ぜひこちらの記事を参考にしていただけたら幸いです。
ローバー ミニとは
まずは元祖ミニ(クラシックミニ)という車の概要を簡単におさらいしておきましょう。
ミニは1959年、当時英国最大の自動車メーカーだったBMC(ブリティッシュ・モーター・コーポレーション)が発売した「革命的」といえる傑作小型車です。
当時はまだ珍しかったFF方式(フロントにエンジンを置き、フロントタイヤを駆動させる方式)をいち早く採用。そしてエンジンとトランスミッションを2階建てにするなどして機械類のスペースは最小に、しかし居住空間は最大としたパッケージングは、まさに革命的といえるものでした。
そして一般的な金属バネの代わりに円錐型のゴムを使ったラバーコーンサスペンションを採用したことなどによる唯一無二の「ゴーカートフィーリング(まるでゴーカートのような操縦感覚)」は、今なお世界中のファンをトリコにしています。
当初は前述のBMCが持っていた「オースチン」および「モーリス」というブランド名を名乗っていたミニですが、BMCが合併したり破産寸前になるなどいろいろあって、最終的には英国ローバー社の「ローバー ミニ」として販売されるようになりました。
初期の「オースチン ミニ」や「モーリス ミニ」は、今やかなり高額なマニア御用達クラシックカーといったニュアンスの存在。一般的な感覚と予算で狙えるのは、「ローバー ミニ」と名乗るようになった1989年以降のモデルです。
▲ボディサイズは、全長:3100mm × 全幅:1440mm × 全高:1330mm。すべて3ドアで乗車人数は4人ということで以下、1959年から1980年代までの古すぎるミニはばっさり無視し、1990年以降の「今、普通に買えるクラシックミニ」に絞って話を進めます。
クラシックミニは「軽自動車よりちょっと小さい」といったサイズ感ですが、身長180cm前後の人でも、なぜかさほど窮屈には感じない不思議な作りです。まぁ英国人は背が高い人が多いので、当たり前といえば当たり前かもしれませんが。
エンジンの排気量は1.3L(1271cc)で、方式的には直列4気筒の「OHV」というちょっと古典的なもの。当初は「キャブレター」という古い世代の燃料供給装置を使っていましたが、1992年6月からは「インジェクション」という、現代の車とほぼ同じ燃料供給装置に変わっています。
1997年にはマイナーチェンジが行われ、各部のデザインを微妙に変更するとともにエアバッグとクーラーが採用され、エンジンのイグニッションコイル(点火コイル)などもいろいろ変更されています。
▲こちらが最終型のローバー ミニこの1997年から2000年に終売になるまでのミニが俗に「最終型」と呼ばれる世代で、一般的には最も人気が高く、また最もオススメできる世代です。
グレードは、最終型に限って言えばベーシックな「メイフェア」とスポーティな「クーパー」、そしてラグジュアリーな「ケンジントン」に分かれます。またその他、様々な限定車も発売されました。
当初はクーパーが高出力エンジンを積み、それ以外は比較的低出力なエンジンを積む――という差別化がされていましたが、97年式以降の最終型はいずれのエンジンも出力は同じで、4速MT車の最高出力が62ps、4速AT車は53psです。
1997年当時の新車価格はメイフェアの4速MTが178万9000円で、同じく4速MTのクーパーが198万9000円でしたが、ここ最近の中古車価格と流通量は下記グラフのとおりとなっています。
ローバー ミニの相場状況
▲ローバー ミニの中古車平均価格と延べ流通台数の推移ここ数年の世界的な「ちょっと古い車ブーム」の影響か、流通量はおおむね増加傾向が続いていますが、それに連動して平均価格もおおむね上がり続けています。
昨年6月と比べて平均価格は20万円上がっていますが、これはあくまでも「平均」です。実際の市場では「屋内でしっかり保管されてきた最終期の限定車」に400万円以上の値札が付いていたりもします。
しかし、逆に93年式ぐらいだと「総額100万円ちょい」ぐらいで買える物件も、数多く流通しています。
物件絞り込みのポイント:装備充実の97年以降の最終型がオススメ
前章で紹介したような「両極端な相場状況」の中、わたしたちはどんなクラシックミニを、いくらぐらいで狙えばいいのでしょうか?
難しい問題ですが、ひとつ確実にいえるのは「基本的には97年式以降の最終型に絞るのが得策である」ということです。
マニアックな人であれば、92年式以前の「キャブレター方式」を採用していたミニを選んでもいいでしょう。しかし、車好きからは「キャブ」と略して呼ばれている燃料供給装置を使っている車は、ミニに限らずなかなかデリケートです。
古い車に慣れている人はさておき、不慣れな人がキャブ車に乗ると、様々な調整作業を「めんどくさい」と感じたり、点火プラグをガソリンで湿らせてしまう「プラグかぶり」という現象を起こし、エンジンがかからなくなってしまう事態が発生するかもしれません。
そのため、ここはやはり1992年6月以降のインジェクション車に的を絞り、その中でも特に1997年4月以降の最終型、つまりクーラーとエアバッグが装着され、その他にも様々な改善が施された世代に絞って探すのが、基本的には得策となるのです。
とはいえ2022年6月中旬現在、97年式以降のクラシックミニは約200台も流通しており、その価格も支払総額100万~498万円と、かなり上下に幅広い状態です。
それら約300台の中から「これぞ!」という1台を見つけるための具体的な選び方は、やはりその道の専門家に教えてもらうしかない――ということで、東京都世田谷区のミニ専門店『iR:イール世田谷』を訪ね、チーフマネージャーの武藤裕輝さんにいろいろ教えてもらいました。
物件チェックのポイント:ボディのサビとシートの劣化具合がバロメーター

ということで武藤さん、クラシックミニは最終年式でも22年前の車になるわけですが、部品供給はまだ大丈夫なんですか?

結論から申し上げますと大丈夫ですね。クラシックミニは世界中で愛され続けている車なので、今でも様々なサードパーティから、様々な部品が供給され続けています。そのため「部品がないから直せない」みたいな事態は起きにくい車なんです。

なるほど。そしてシンプルな作りの車ですから、「整備しやすい車である」とも言えますか?

そうですね。正しい知識とノウハウを持っている人間にとっては「整備しやすい車」と言えるでしょう。ただ……。

ただ?

やはりもう20年以上前の車ですから、お買い求めになる際には、いろいろとご確認された方がいいポイントはあります。

例えば、どんなところでしょう?

あくまで一例としてはメーター……というか「走行距離」ですね。クラシックミニの場合、最終型であっても往年のミニと同じ「センターメーター」に変更している物件がたくさんあります。そういった「メーターが交換されている車」というのは、正確な走行距離を把握しにくいんです。純正メーターの場合でも、距離計の数字が4万kmであっても、実際走った距離は「14万km」だったりすることがありますし。

ど、どういうことですか?

メーターが1周回ったことで、本当は14万kmなのに「4万km」を指している、ということですね。中には2周回って「実は24万kmだった」なんてこともありえますよ(笑)。
▲表示された走行距離だけで物件を選ぶのは避けた方がよい
距離計の数字が必ずしもアテにはならないとなると、どのあたりで正確な走行距離を推定すればいいのですか?

まず確かなのは、過去の整備記録が追える車両を選ぶことです。毎年の点検や車検の記録簿に走行距離が記載されているので、そこで距離の整合性を証明できます。あと、コンディションから推測するには、シートのへたり具合は参考になるポイントかと思います。4万kmしか走ってないはずなのに、シートのいわゆるアンコ(クッション部分)が妙にヘタっているな……と感じられた場合は、その他の部分も細かく見ていった方がいいでしょうね。それから「サビ」も、よくチェックするべきポイントです。

古い車ですから、やっぱりボディや車台はサビますか?

必ずサビるわけでもないのですが、サビが発生しやすい箇所ってあるんですよ。ルーフの溝や前後バンパーの取り付け部、そして左右のドアのいちばん下あたりに水がたまってボディにサビが生じている物件は、その内部の方も腐食が進んでいる可能性が高いので、要注意ですね。
▲雨水の通り道となるルーフの溝の劣化具合は要チェック
ううむ……。

わかりやすいのは「ドア部分」ですかね。抜けていくはずの雨水が詰まってしまい、水がたまったままになったクラシックミニは、ドアの最下部あたりにサビが発生している場合が多いものです。そういった物件はステップの内部も腐っている可能性が高いので、もしも長くお乗りになるつもりでしたら、避けた方がいいでしょう。
▲こちらも雨水がたまりやすく、サビが発生しやすいドアの最下部
先ほどおっしゃった「シート」は、どんな感じでチェックすればいいですか?

純正シートなら、座面と背面のヘタり具合や、表面の劣化を確認して下さい。張り替えなどしていなければ4万kmと14万kmのシートの違いはわかるはずです。また、ニオイがある場合は要注意です。特にカビ臭い場合は、どこかから雨漏れが発生し、長い年月で車内にカビを発生させている可能性がございます。まぁシートだけでなく「内装全体の状況を見る」というニュアンスで臨まれることをオススメします。
▲可能であれば触ったり座ったりしてシート内部のヘタリ具合のチェックしたい
クーラーがあまり効かないといううわさも聞きますが?

もともと英国内ではクーラーを装着する必要がありませんでしたので、設計段階での考慮はなされていません。また、インジェクションになった直後も制御がうまくいかず、高温多湿な日本の夏は苦手でした。しかし、95年あたりからクーラーが標準装備になり、夏対策が講じられた以降のミニは、寒いぐらいしっかり効いてくれますよ。

その他、全般的なアドバイスがあればお願いします。

走行距離だけで判断するのではなく、ヒストリー(整備履歴)がしっかりしているクラシックミニをぜひ選んでいただきたいですね。きちんと整備されてきたミニと、まったく整備されずにきたミニでは、その後のランニングコストは何倍も変わってきますから。

何倍も!

はい。そしてクラシックミニは設計の古い車ですから、最近の車のように「パーツを交換すれば直る」というものでもありません。部品を交換した後も、全体のバランス調整や味付けといった“ノウハウ”が必要なんです。そのため、まずはスキルとノウハウの蓄積がある専門店を見つけることが、クラシックミニを手に入れるうえでは「いちばん重要なポイント」だと言えるでしょうね。

取材協力
ミニ専門店 iR:イール世田谷
ローバー製、BMW製のミニを取り扱うミニ専門店。姉妹店であるイール横浜と合わせた総在庫台数は常時180台以上。「LIFE with MINI」をコンセプトに、販売・整備以外にも自社サイト、インスタグラム、YouTube等のSNSを活用しミニにまつわる様々な情報発信も行う。
住所:東京都世田谷区上野毛4-39-7
電話:03-5797-2288

自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。
この記事で紹介している物件
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