クロストレック ▲ついにクロストレックの「ウィルダネスエディション」が発売されましたが、販売される台数は500台のみで、しかも購入するには「抽選」に当選する必要があります。抽選にハズたときのために(?)、今から代わりとなるモデルをチェックしておきましょう!

抽選に当たることを願いたいが、倍率はかなり高そう

待望の「ウィルダネス」が、ついに日本市場でも正式発売された。スバルは2025年10月31日、同社のCセグメントSUVであるクロストレックに限定車「ツーリング ウィルダネスエディション」と「リミテッド ウィルダネスエディション」を設定。同年11月30日までの期間限定で注文受け付けを開始した。

これまでは北米市場でしか販売されていなかったスバルの「ウィルダネス」は、標準車をベースに走破性と機能性を高めると同時に、タフなデザインも取り入れたシリーズ。

今回のクロストレックは、ウィルダネスのコンセプトを日本市場向けに表現した特別仕様車で、「Deco-Boco Black塗装」を施したドアミラーカバーやドアアンダーガーニッシュ等々により、標準車以上のタフ感とラギッド感(無骨な感じ)が強調されている。
 

クロストレック▲こちらが過日、抽選販売申し込みがスタートしたスバル クロストレック ウィルダネスエディション

とはいえクロストレックのウィルダネスエディションは500台のみの限定車で、しかも抽選に当たらないことには買うことすらできない

見事抽選で当たれば最高だが、どう考えても倍率はかなり高そうであるため、遺憾ながら「ハズレ」となることも十分に予想できる……ということで、残念ながら抽選にハズレてしまった場合に備え、ウィルダネスエディションの代わりとなり得る「本格的コンパクトクロカンSUV」に目星を付けておくことにしよう。
 

 

代わりのモデル①|スバル クロストレック(初代)
→想定予算:総額240万~440万円

不幸にしてクロストレック ウィルダネスエディションの抽選に漏れてしまったとしても、過剰に嘆く必要はないのかもしれない。

なぜならば、我々は既存のスバル クロストレックをウィルダネス風に仕立てることも十分に可能だからだ。
 

クロストレック▲スバル クロストレックの標準モデル。写真のグレードは「リミテッド」

ウィルダネスエディションのベースとなっているのは、クロストレックのエントリーグレードである「ツーリング」と上級グレード「リミテッド」それぞれのAWD車。そういったベース車とウィルダネスエディションとの間にビジュアル上の差異はあるが、サスペンションやパワーユニットまでが異なっているわけではない

であるならば、とりあえずは標準的なクロストレックの中古車を比較的安価に購入し、そこにウィルダネス的なパーツを組み込んでいけば、本物のウィルダネスエディションとおおむね同様の1台が完成するわけだ。しかもこの作戦を用いる場合は、メーカーのお仕着せではない「自分好みのパーツ」を選ぶこともできるため、下手をすればウィルダネスエディションの抽選に当たった場合以上の満足が得られる可能性すらある。

クロストレック▲標準状態でも、そのビジュアルはまあまあラギッド。ボディサイズは全長4480mm×全幅1800mm×1575mm

標準の中古車にウィルダネス的なパーツを組み込む場合、まずはスバル純正のアクセサリーカタログから、ウィルダネスエディションと同様のフードデカールやフロントグリル、フロントグリルガーニッシュ、前後ランプ類のガーニッシュとドアアンダーガーニッシュを購入できる。これらはウィルダネスエディションのような「Deco-Boco Black塗装」ではないが、まぁざっくり同じと考えていい。

 

これらに加えて、スバル純正またはSTI純正でもいいし、好みのサードパーティ製でも構わないので何らかのシブいアルミホイールを購入し、そこにシブいオールテレインタイヤを合わせれば、ウィルダネスエディションとまったく同じではないものの、おおむね似た感じの、しかも「自分好み」でもあるラギッドなクロストレックが出来上がるという寸法だ。

しかも本物のウィルダネスエディションのパワーユニットはe-BOXER(2Lマイルドハイブリッド)のみとなるが、この作戦でいく場合はS:HEV(ストロングハイブリッド)をベースにすることもできる。クロストレックのS:HEVは走りなどが相当イイ感じであるため、筆者のイチ推しはS:HEVまたはS:HEV EXをベースに「ウィルダネス風」を作ってみることだ。
 

クロストレック▲「リミテッド」のインテリア。ラギッド感にはやや欠けるが、そこは購入後のカスタマイズで何とかしたい
 

前述したパーツをすべて組み込むとなると、パーツ代には40万円ほどが必要になるイメージだが、必要と好みに応じてパーツの一部を省略すれば、予算を抑えることも可能である。

そして現在、スバル クロストレック主要グレードの中古車支払総額はおおむね下記のとおりだ。

●2.0ツーリング 4WD:総額240万~350万円
●2.0リミテッド 4WD:総額270万~380万円
●2.5プレミアム S:HEV EX 4WD:総額390万~450万円
 

▼検索条件

スバル クロストレック(初代)
 

代わりのモデル②|ジープ レネゲード(初代)トレイルホーク
→想定予算:総額130万~340万円

標準的なスバル クロストレックの中古車を自分好みの仕様に仕立てるのもステキであると思う。

だが最初からほぼ完成されているラギッドなコンパクトSUVが欲しい場合は、ジープ レネゲードの4WDグレードである「トレイルホーク」が適任となるだろう。
 

クロストレック▲こちらがジープ レネゲード トレイルホーク

ジープ レネゲードは、都市に適した全長4260mm×全幅1805mm×全高1725mmというサイズの中で、ジープならではの伝統的な世界観と機能性を表現しているコンパクトSUV。

その中でもややラギッドなビジュアルをもつ「トレイルホーク」は、2015年9月の上陸当初は最高出力175psの2.4L自然吸気エンジンを搭載し、2019年2月のマイナーチェンジ以降は同151psの1.3L直4ターボに変わった4WDグレード。

クロストレック▲4WD機構はオンデマンド式だが、悪路走破性に優れるジープだけに与えられる「トレイルレイテッド」のバッジが付くほど、十分なオフロード性能が付与されている

最低地上高はクロカン的な走りをするにも十分な200mmで、4WDシステムにはオート/スノー/サンド/マッド/ロック(岩場)の各走行モードを選択できる「セレクテレインシステム」を装備。

ちなみにレネゲード トレイルホークは、カリフォルニア州シエラネバダ山脈に横たわる「ルビコントレイル」を走破したジープにのみに与えられる「トレイルレイテッド」バッジが貼られているモデルでもある。
 

クロストレック▲ジープ レネゲード トレイルホークのインテリアはおおむねこのような世界観
 

これの中古車を購入し、買ったままの状態で乗るのも十分シブいが、ところどころに自分好みのプチカスタムを施してみれば、さらにイイ感じのラギッド感が出るだろう。

ジープ レネゲード トレイルホークの中古車支払総額はおおむね下記のとおりだ。

●前期型(2015年9月~2019年1月):総額130万~230万円
●後期型(2019年2月~2021年11月):総額170万~340万円
 

▼検索条件

ジープ レネゲード(初代) × トレイルホーク
 

代わりのモデル③|スズキ ジムニーシエラ(3代目・JB74W)/ジムニーノマド(初代・JC74W)
→想定予算:総額190万~520万円

ボディサイズがスバル クロストレックよりも小さくなってしまい、なおかつ3ドアにもなってしまうが、もしもそこを許容できるのであれば3代目スズキ ジムニーシエラも、クロストレック ウィルダネスエディションの代わりとしての機能を十分に務めるだろう。
 

クロストレック▲ご存じ、ジムニーの普通車版である現行型スズキ ジムニーシエラ

スズキ ジムニーシエラは、今さら詳しく説明するまでもない超本格軽オフローダー「ジムニー」の登録車(いわゆる普通車)バージョン。

全長と全高はジムニーとそう大きくは変わらないが、トレッドの拡大とオーバーフェンダーの装着により、全幅はジムニーの1474mmから1645mmに。そしてパワーユニットも、ジムニーが最高出力64psの0.66L直3ガソリンターボであるのに対し、ジムニーシエラは同101psの1.5L直4ガソリン自然吸気を搭載する。

クロストレック▲その悪路走破性能は「世界トップレベル」と評しても決して大げさではない

そんな3代目ジムニーシエラの悪路走破性能はスバル クロストレック ウィルダネスエディションと同等または同等以上のレベルとなるが、本稿でのポイントである「ラギッドなビジュアル」に関しては、ノーマル状態だと、ウィルダネスエディションと比べてやや弱い。

だがジムニーおよびジムニーシエラには、サードパーティ製のアフターパーツ各種が星の数ほど存在している。それらの中から自分好みのものを選んでカスタマイズを行えば、クロストレック ウィルダネスエディションに勝るとも劣らぬ「いい感じのラギッド感」を堪能できることは間違いない。

もしくは、すでにカスタマイズが行われている中古車も多数販売されているため、もしもそれらの中に自分の好みと予算感に合うものがあれば、サクッとそれを買ってしまうという手もある。

またジムニーシエラの「小ぶりな3ドア車である」という点がネックとなるのであれば――即納プレミアム価格がのっかっているのが気に食わないポイントではあるが、まぁそこは無視して5ドア版である「初代ジムニーノマド」の中古車を買うという作戦も、ないではない
 

クロストレック▲こちらが5ドア版であるジムニー ノマド。ボディサイズは全長3890mm×全幅1645mm×1725mm
 

いずれのジムニー系を購入したとしても、スバルクロストレックほどの居住性と実用性、あるいはパワー感のようなものは味わえない。しかし「オフローダーとしての本物感」に関しては、クロストレックにもまったく負けていないのがジムニーシリーズ。本物感に浸りつつ、ラギッドなビジュアル感も堪能したいという人には――そしてボディの小ささやパワーユニットの非力さを許容できる人には、3代目スズキ ジムニーシエラはナイスな選択肢となるだろう。

現行型スズキ ジムニーシエラおよびジムニーノマドの中古車支払総額はおおむね下記のとおりだ。

●ジムニーシエラ:総額190万~520万円
●ジムニー ノマド:総額360万~620万円
 

▼検索条件

スズキ ジムニーシエラ(3代目・JB74W)

▼検索条件

スズキ ジムニーノマド(初代・JC74W)
文/伊達軍曹 写真/スバル、ステランティス、スズキ
※記事内の情報は2025年11月11日時点のものです。
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。