愛車はトヨタ MIRAIとキャデラック エスカレード!? 燃料電池車と大排気量車を2台持ちする理由とは?
2023/11/08

車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
MIRAIの醍醐味は、走りの良さ!
走行時に排ガスを一切排出しないため“究極のエコカー”とも呼ばれる燃料電池車。一方で水素ステーションの数が限られているため、興味はあるけれど手に入れられないという人が多いのが現状だ。今回話を伺った石堂清雅さんは、燃料電池車のトヨタ MIRAIに初代・2代目と乗り継ぐ強者だ。
「私は新しいものに乗ってみたいという思いからMIRAIを手に入れました。会社から近い東京都八王子市や車で向かうことが多いエリアに水素ステーションがあったので、不便はありません。ただ、水素ステーションは24時間・年中無休ではないので、普段とは違う場所を利用することになりそうなときは事前に営業時間などを調べておく必要がありますが」
▲MIRAIの北米仕様グレード「LIMITED」にエンブレムをカスタマイズ。日本のZグレードにあたる仕様だとか購入の決め手となった一番の魅力は補助金。石堂さんが初代を買った2019年は国と東京都から計300万円以上の補助金が出たという。しかも残価設定ローンを利用すると4年後の残価を350万円保証という制度があった。計算すると、毎月2万5000円くらいで乗ることができる。これなら普通の車を買うより安い。それがわかって、すぐ衝動買いしたそうだ。
お話を伺うと、石堂さんはいわゆる“アーリーアダプター”であることが伝わってくる。アーリーアダプター(初期採用層)とはマーケティング用語で、「自ら情報収集を行い、新しい商品やサービスを早い段階で生活に取り入れる傾向のある人」のこと。趣味であるカメラやドローンで使う製品、カー用品などはインターネットでこまめにチェックしているという話だ。そんな石堂さんがMIRAIを手に入れたというのもうなずける。
MIRAIは石堂さんが初代に乗っている間にフルモデルチェンジ。アーリーアダプターの石堂さんが新型を気にしないはずがない。雑誌などで新型の情報を得た後は、東京モーターショーで実車をチェック。さらに当時お台場にあったMEGA WEBに行き、細部をチェックしたという。
「初代は車両本体価格が700万円以上するのに、シート表皮が合成皮革だったことが不満でした。一方でオーディオは純正でもすごく音が良かったので驚きました。新型は上級グレードのシートが本革になり、インテリアの高級感もアップ。初代のネガな部分を改善しているのが伝わってきましたね」
▲現行型で質感が良くなったという本革シート2代目はボディサイズが大きくなり、駆動方式が前輪駆動から後輪駆動に変更された。これにより乗り味がどう変わったかにも興味があったそうだ。
残価設定の契約満了期間が迫り、石堂さんは新型に乗り替えるかを迷っていた。初代をディーラーに返却し、しばらく燃料電池車が手元にない生活をしていたが、2代目にも乗ってみようと決意。初代を返却し数ヵ月で新しい車をオーダーしたという。
「いつも決まった水素ステーションに行くので、店員さんとは顔馴染みになっていました。初代で最後の充塡をする際に『これで返却なんだ。今までありがとう』という話をしましたが、数ヵ月で『また来ることになったよ。よろしくね』と(笑)。お店の人も驚いていましたね」
▲水素ステーションで水素を充塡をする前の様子(石堂さん画像提供)2世代続けてMIRAIを選んだ石堂さん。燃料電池車の醍醐味は走りにあると感じている。
「燃料電池車はEVと同じようにモーターで走行するので、アクセルを踏んだ瞬間から鋭い加速を味わうことができます。この感覚はガソリン車では絶対に感じることができません。水素と酸素の化学反応で電気を作り出しているので、排ガスをまったく出していない。そんなことを走りながら考えることもありますが、正直に言って、エコだから乗るという気持ちはありませんでした」

ところで、燃料電池車は購入後のランニングコストはどのくらいかかるのだろうか。ガソリン車やEVと違い、乗っている人自体が珍しいので想像がつかない。そのあたりも石堂さんに聞いてみた。
「私の走行距離と充塡する水素の代金から計算すると、ガソリン車に直すとレギュラーガソリンで10km/Lくらい走る車と同じくらいでしょうか。だから高くもなく安くもなくという感じですね。ランニングコストだけを考えるなら、プリウスをはじめとするハイブリッドカーの方ががぜん安くなると思います」
石堂さんはこの車で仕事の取引先に向かうこともある。取引先には技術系の人が多く、初代MIRAIで訪問した際には多くの人がMIRAIを見に集まったという。
「新型も街で声をかけられることがあります。そのときは『キレイな色ですね』と言われることが多いです。イメージカラーの“フォースブルーマルティプルレイヤーズ”はとても鮮やかなので、風景の中で映えるのでしょうね」
38万km走った先々代から、新型エスカレードに乗り替え
石堂さんはMIRAIに加え、もう1台仕事で使う車を所有している。それが2020年11月に日本導入された6代目キャデラック エスカレードだ。ギラギラした高級感あるデザインが特徴のアメリカンフルサイズSUVを仕事で使うというのは、どういう狙いなのだろうか。
▲石堂さんのガレージに収まるエスカレード(6代目)「私の仕事はお客様の元に製品や試作品を運ぶ機会が多くあります。また冬には、山梨や長野といった降雪地帯へ納品に行くこともある。運搬目的だと一般的にはプロボックスやハイエースになりますが、それだともう1台、快適に移動できる車が必要になります。それなら雪道に強い運搬用と快適な移動用を1台で兼ねられるものにしようと思い、エスカレードを選びました」
この用途ならトヨタ アルファードなどがパッと思い浮かぶが、「アルファードはあまりにもたくさん走っているので」嫌だったそうだ。
実はエスカレードも石堂さんにとって2台目の購入になる。以前は先々代エスカレードに乗っていて、なんとそれは38万kmも走ったという。
「エスカレードは2列目席と3列目席を格納すると、私が余裕で寝られるくらいのスペースが出現します。なので荷物が積めなくて困ることはまずありません。新型はATが10速になり、走りがだいぶマイルドになりましたね。以前乗っていたものは4速ATだったので坂道でアクセルを踏み込むとドカンと加速しましたから。足回りも意外と硬め。乗り心地はMIRAIの方がいいかもしれません(笑)」
▲エスカレードの2~3列目を倒した様子ちなみにエスカレードの燃費は街中で4~5km/L、高速道路で頑張ると8km/Lくらいまで伸びることもあるという。6.2Lという排気量を考えればこれでもかなりいい方だと思うが、もう1台の車を燃料電池車にしたのは、大排気量車を楽しむ罪滅ぼし的な感覚もありそうだ。それを尋ねると、「その気持ちがなくはない」と苦笑いする。
▲エスカレードの6.2L V8エンジン。MIRAIとは対照的なアメリカンマッスルエンジンだ
▲MIRAIのボンネットを開けた内部の様子。エンジンではなく燃料電池ユニットが搭載されており、オレンジ色の電気配線が特徴的だ静粛性が高くて走りも楽しむことができるMIRAI。大排気量エンジンでゆったり走るのが心地よいエスカレード。性格がまったく異なる2台の車だが、共通しているのはどちらもリラックスした気分で運転できることだという。
お客さまのこと、納期のこと、会社経営のこと……日中は常に仕事が頭をよぎるため、なかなか緊張から解放されることはない。そんな中で車を運転する時間は1人でゆっくりできる貴重なタイミング。そして用途によって2台を乗り分けることで、移動時間が単調にならず、常に新鮮な気持ちで運転を楽しむことができる。日々忙しくしている石堂さんにとって、どちらの車もなくてはならない存在なのだろう。

石堂清雅さんのマイカーレビュー
トヨタ MIRAI(2代目)
●年間走行距離/1万km
●マイカーの好きなところ/モーターならではの軽快な加速
●マイカーの愛すべきダメなところ/車内に乗り込むと天井が低いところ。特に後ろが狭い
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/生活圏内に水素ステーションがある人。新しいモノや人とかぶらない車がいい人

自動車ライター
高橋満(BRIDGE MAN)
求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL
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