’73 LOTUS EUROPA SP
カテゴリー: クルマ
タグ: EDGEが効いている / VINTAGE EDGE
2013/08/07

ロータスが高級GTカーとしての夢を乗せたモデルだな
もちろん、ロータスとしてもミッドシップのロードカーはこのヨーロッパが初となる。1966年に初期型のシリーズ1が登場、1968年からシリーズ2に、1971年にエンジンがツインカム化される。そして最終型が今回撮影している改良を加えたツインカムエンジン搭載のSP(スペシャル)となる。SPは圧縮比を高めた「ビッグバルブ」と呼ばれるエンジンを備え、出力も126hpまで高められた。
徳大寺 本来の自動車選びっていうのは「五感で選ぶ」ものなんじゃないか。僕はいままで様々な車を購入したけど、人にどう思われても気に入った車だけを所有してきたよ。
松本 はい。ですから今回は僕の独断と五感で選んでみました。さすがの巨匠もこれは所有したことないんじゃないですかね。
徳大寺 なんの車だい?
松本 ロータス ヨーロッパSPです。僕なんかは「サーキットの狼」世代ですから憧れますよ。1600㏄でありながら軽量ミッドシップ。運動性能では他車を圧倒するところがグッっときますね。ところで巨匠はロータス ヨーロッパに乗ったことはありますよね?
徳大寺 もちろん乗ったこともあるし、いろいろと思い出があるぞ。ロータス ヨーロッパシリーズ1が発表されて間もなく、本社にも行ったよ。
松本 さすが巨匠(笑)。
徳大寺 ロータス社はエランというモデルで大成功したんだ。その当時、僕もロータス エラン26Rというレーシングマシンを日本に輸入してレースをしていた。その関係でロータスとは関わりがあったんだ。それでロータス ヨーロッパが出た時に、これは面白いと思って、日本にキットカーとして輸入しようと考えたわけだ。
松本 ロータスやTVR、マーコスというバックヤードビルダーはキット販売してましたからね。そのほうが安く日本に入れられたとか。
徳大寺 そうなんだ。それでイギリスの田舎にある本拠地まで行ったんだよ。ロータス社も快く迎えてくれたんだ。そこで「エンジンは何を積むのか?」と質問され「マツダのロータリーだ」と答えたらとても興味を持ってくれたっけな。マツダに頼んでロータリーを1台、ロータスに送ってもらったよ(笑)。
松本 聞けば聞くほど凄い話ですね。そして今回紹介するロータスヨーロッパはSPです。
徳大寺 ツインカムエンジンだよな?
松本 そうです。エランに搭載されていたフォード製のブロックにツインカムヘッドが載ったユニットです。知る人ぞ知るコベントリークライマックスのF1エンジンを設計したハリー・マンディとウォルター・ハッサンという黄金コンビに設計させたユニットなんです。
徳大寺 エランのエンジンはパワー出てたな。確か140hpは出ていただろう。エランにしろヨーロッパにしろ軽さが最大の武器だよ。ヨーロッパのツインカムで710㎏そこそこだからね。今日見に行くヨーロッパのSPに限っては乗りやすさも重視して126hpだからさ、そりゃ運動性能はいいよ。しかもミッドシップ。何たってF1を作っているコンストラクターが作っている車だからね。そこにも価値があった。
松本 ヨーロッパのツインカムが登場するのが1971年ですからね。トランスミッションは従来のルノーのFF用をひっくり返してミッドシップに搭載したものですが、そのままだとリバースが4速になってしまうので、中身の組み換えをしてミッドに収めたわけです。
徳大寺 ヨーロッパSPは1972年、ほとんど73年に発売されたんだけど、この当時ロータスF1は黒に金のモールディングペイントしたJPS(ジョンプレーヤースペシャル)カラーがトレードマークで、このカラーリングにしたヨーロッパツインカムがけっこうあったよ。
松本 確かにそうでしたね。さて巨匠、今日のお店に着きましたよ。
徳大寺 お、いい色だな。バーガンディというかワインレッドというか。これは程度がいいな。ファイバーボディは何度も塗装を重ねていると丸っこく見えちゃうんだ。これは本来のシャープさが残ってるよな。
松本 オリジナリティが高い感じがしますね。内装もオリジナルのシート生地でダッシュパネルのウッドもいい雰囲気ですね。
徳大寺 デザインも独特だよな。メカニズムから全てにおいてイギリスらしい進歩的なライトウェイトスポーツカーだよ。もっともヨーロッパ大陸でも対応できるように当初はルノー製の部品を使ったといわれている。ロータスの創始者であるコリン・チャップマンは、この車で欧州の販売の足がかりを作り上げようとしたんだ。ロータスが高級GTカーとしての夢を乗せたモデルであることに間違いないだろう。




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