輸入車の“天井落ち”いくらで直せる？ どう直す？修復専門店に聞いてみた【後編】

はい。お手伝いいただいた方には、代金から1万円を割り引かせてもらっています。だいたい7割くらいのお客さまがこの「助手割引」を選ばれていますね。

金額が割り引かれることより、愛車の修理に携わるという体験をしたいと選ばれる方が多いですね。作業は午前10時から始めて、お昼休憩挟んで遅くとも午後3時には終わります。通常3時間半から4時間の作業時間ですね。

……。

まずは天井を外して、古い内張を剥がし、クリーニングして新しい生地を貼り、再度天井を車に取り付けるっていう流れになります。

生地は1mあたり8000円のものから用意しています。元々貼られているのは表地にウレタンスポンジが付いているものなんですが、当社で用意しているのはウレタンスポンジの上にもう1枚トリコットっていう薄い生地を貼り合わせた三層構造なんです。これがきれいに仕上げる秘訣でね、私の経験をもとに生地屋さんと一緒に開発したものなんですよ。

どうせ張り替えるならカラーチェンジして気分を変えれば、修繕じゃなくてカスタムですからね。天井を外すついでに断熱材や防音材を入れることもできますよ。

不可能ではないけど、ある程度伸縮性があって、しかも難燃性の素材じゃないと車検に通りませんから実際は難しいですね。車検についていえば、カラーチェンジした場合は特に、品質表示のラベルを保管いただくようにお話ししています。車検で確認されたときに、ちゃんと安全性をクリアした素材であることの証明になるので。

では、天井を外していきましょう。古くなっていると樹脂パーツが割れてしまうこともあるので、丁寧にやってきます。作業はフリーランスの内装師をやってる娘のみなみと3人で進めます。

まずはバイザーから外しましょう。僕は運転席、今泉さんは助手席で。
ボルボは総じてプラスチックがもろいんですよ、割れないように慎重に。

人間が作ったもの、人間が外せないはずがない！

その調子です。じゃあ僕はマップランプユニットを外していくので、助手席側のウエザーストリップを外していってください。（運転席側をやって見せながら）こんな感じで外れます。

今泉さんもがんばってください。

さーて、天井が外れました。外に出して、きれいにクリーニングします。

これをきれいに取り除くのが、美しい仕上がりへの重要な作業です。ブラシを使うこともあるんですが、この状態だと濡れ雑巾がよさそうですね。

あるいはこうやって雪だるまを作るようにコロコロしていくのもいいかもしれません。このあたりは、使われている素材とか劣化具合によって感覚で判断します。

大丈夫です、丁寧にやっていきましょう。古いウレタンをできるだけ残らないようにきれいにしてから、最後は溶剤で拭き上げて仕上げます。

クリーニングを仕上げたら、お昼休憩です。

いよいよ新しい生地を貼っていきます。天井と生地の両方に接着剤をスプレーガンで均一に吹き付けていきます。

接着剤はホルムアルデヒドの発散濃度が一番低い「F☆☆☆☆（エフフォースター）」のものを使用しています。

接着剤の吹き付けと生地を載せるところまではプロにお任せください。

じゃあ、一緒にやりますか。そっちの端を持ってください。布目をまっすぐ合わせて、基本的には均一な厚さに、テンションをかけたいところはちょっと引っ張り気味になるように載せたいので、気をつけて、息を合わせて……。

ウレタンに直接接着剤を塗布するとやり直しがきかないんですけど、三層構造の特製の布地ですから、いったん載せちゃってからの微調整も利くので、そんなに怖がらなくても大丈夫ですよ。

じゃあ、みなみ、そっち側よろしく。

布地を置いたら、しっかり接着するようにこすっていきます。これは一緒にやりましょう。

こすり残しがないように、布目を乱さないように、シワを作らないように、内から外へ。

きれいにできましたね。では不要な生地をカットしていきましょう。マジックで線を描いていきますから、そこに沿ってカッターで切っていってください。

そうなんです。元々付いていた布地はぴったりのサイズでしたけど、ひと回り大きく切って、裏側に巻き付けるように折り返して接着すれば、仕上がりがきれいだし、耐久性もアップするので。

パーツを取り付ける部分の穴もきれいに仕上がって、天井は完成です。

じゃあ、出来上がった天井を車内に戻しますよ。

天井置いて帰らないでくださいね（笑）。天井裏に収める配線の整理をして、きちんとテープで固定していきます。ある程度できたら、後は天井をはめながら、収まりを確認しながら進めていきましょう。じゃあ天井のそっち側を持っていただいて。僕はここを……。

はい、傷つけないようにぶつけないように気をつけて……。

部品を元どおり組み付けていきますよ。

じゃあちょっと交代しましょう。おや、こりゃあネジ山なめちゃってるな……。

ちょっと斜めに押し込んじゃってたみたいですね。大丈夫ですよ、ネジ山切り直す工具もあるので。

念のため電装部品とアラート関係がきちんと作動するか確認しましょう。

はい、張り替えの全工程終了です。お疲れさまでした！

気持ちはよーくわかりますが、宿泊サービスはないので、おうちに帰るまでビールはおあずけで（笑）。

特に何もありませんよ。接着剤が完全に乾燥するのは3週間後ですが、約95％は1日で固まるタイプのものなので、すでにほぼほぼくっついてます。例えば、ひと晩置いて朝乗り込むときなどに匂いを感じることもあるかもしれませんが、換気すればすぐ気にならなくなると思います。

これからも末永く大事に乗ってくださいね。天井に限らず、内装のリペアやカスタムもやってるので、また何かあったらお声がけください。