魅力いっぱいなのにどうして!? 電動化の波にのまれひっそり消滅したディーゼルSUV
2021/05/17
▲三菱のコンパクトSUVのエクリプスクロスにも、パジェロやデリカD:5で培ったディーゼルエンジンの技術が遺憾なく採用されていた。デリカD:5と同じスペックだが、ピストンなどが新設計され、中身は進化していた電動化の流れでいち早く消えていきそうなディーゼル
電動化の流れの中、内燃機関を搭載した車に乗れる期限が迫っているのは事実。とはいえ、国は「2030年代半ばまでに“新車販売"で電動車を100%に」といっており、中古車については言及されていない。
だから、カウントダウンが始まったとはいえ、まだ内燃機関搭載車に乗れる時間は残されているといえよう。
しかし、それはガソリン車に限った話で、ディーゼル車だけは少し急いだ方が良いかもしれない。
ディーゼルといえば、「低速域からの豊かなトルク」と「燃費が良い」という魅力がある。一方で、マツダ以外のメーカーでは、排気ガス規制をクリアするために浄化装置を備えるため、コストが高くなる(=車両価格が高くなる)傾向にある。
ところが、簡易なモーターを使うマイルドハイブリッドでも低速域でのトルクが稼げて、燃費も向上する。つまり、メーカーは「どうせコスト増になるのなら、将来性のある電動化技術に資金を振った方がいい」というように考えるわけだ。
実際、ボルボは2030年までにすべて電気自動車にすると宣言した際、ディーゼル車を廃止した。かつてクリーンディーゼルエンジンを作っていた日産自動車の新車ラインナップには、すでにディーゼル車がない。現存するディーゼル車は、マツダを除く国産メーカーに限ればトヨタのランドクルーザープラドと三菱のデリカD:5のみだ。
けれど、電動車はいずれ乗ることになるのだから、低速からパワフルで燃費も良いクリーンディーゼル車に、もうちょっと乗っておきたい。今はちょうどラストチャンスなのだ!
そこで今回は、フルモデルチェンジでもないのに電動車にとって代えられてしまった、現行型のレアなディーゼルSUVを2モデル紹介しよう。現行型ゆえ古くさく見えないのに実はレア車、というのも魅力的じゃないだろうか。
わずか販売期間1年半という三菱渾身のディーゼルエンジン
三菱 エクリプスクロス(現行型)
▲全長4405mm×全幅1805mm×全高1685mmと、街中でも扱いやすいサイズ。グレード展開はガソリン車と同様。「G」以上のグレードにはLEDヘッドライトが標準装備されている2018年3月に発売されたエクリプスクロスに、クリーンディーゼルモデルが搭載されたのは2019年6月。だが、2020年12月にプラグインハイブリッドモデルが追加されると、入れ替わりにラインナップから外された。つまり販売期間がわずか1年半という激レアモデルなのだ。
搭載されたエンジンは、デリカD:5と同じ2.2Lディーゼルターボ。最高出力は145ps、最大トルクは2000回転から380N・mを発揮する。先行して販売されていた1.5Lガソリンターボに対して、最高出力では5psほど劣るものの、最大トルクでは140N・mも上回る。
▲排気ガスを浄化する尿素SCRシステムが採用された。走行状況にもよるが、1万~1.5万kmでの交換が推奨されている。ドライブモードを「オート/スノー/グラベル」の3つから任意に選べるトランスミッションはガソリン車の8速CVTではなく、8速ATが組み合わされた。駆動方式は4WDのみ。JC08モード燃費は同じ「G 4WD」で比べると、ガソリンが14.0km/L、ディーゼルは15.2km/L。もちろん、ランエボ由来のS-AWCが備わるので、SUVなのにスポーツカーのようなコーナリングが楽しめる。
▲Apple CarPlayやAndroid Autoに対応するディスプレイオーディオやタッチパッドコントローラー、ヘッドアップディスプレイが用意された。リアシートは9段階のリクライニングが可能新車時の販売価格は306万1800~332万7480円。原稿執筆時点で49台見つかった。ガソリン車より約30万円高かったが、中古車では価格差がほとんどないのでお買い得感が増す。3万km未満がほとんどで、1万km未満でも33台あり、支払総額270万円あたりから狙える。
▼検索条件
三菱 エクリプスクロス(現行型)×ディーゼルモデル×全国数年前まで主力と目された「D4」エンジンは一瞬で消滅
ボルボ XC60(現行型)
▲輸入車としては史上2度目となる「日本カー・オブ・ザ・イヤー2017-2018」に輝くなど、その性能は自動車評論家たちのお墨付き。納車はガソリン車より少し遅れて2018年からだった2015年に新世代クリーンディーゼル「D4」を主要5車種にラインナップするなど、ディーゼルエンジンに力を入れていたボルボ。2017年10月に登場した現行型XC60には、最初からディーゼルモデルがラインナップに加えられていた。
しかし2020年8月に同社は、すべてのモデルの年内電動化を宣言。同時にXC60はオール電動化モデルとなり、ディーゼルエンジンは外された。そのため、XC60のディーゼルエンジン搭載車は、販売期間3年足らずのレアモデルとなってしまった。
▲ラゲージ容量は通常で505L、後席を倒すと1432L。キーを持ってリアバンパーの下で足を動かすだけで自動開閉する機能が標準装備されている2Lディーゼルターボの「D4」は、最高出力が190ps、最大トルクは4Lガソリンエンジンにも匹敵する400N・mを発揮する。
もちろん、日本で初めて衝突被害軽減ブレーキを備えたXC60なだけに、最新の安全技術は全車に標準装備。例えば、ブレーキだけでは衝突を避けられない場合は、周囲を検知したうえで衝突を回避するためのステアリング操作をサポートしてくれるし、ACCは全車速追従機能付きで、車線中央をキープする運転支援機能も備わるなど自動運転レベル2相当の機能を備えている。
トランスミッションは8速ATで、4WDのみ。JC08モード燃費は同じグレード「モメンタム」で比べると、ガソリンが12.6km/L、ディーゼルは16.1km/Lとかなり上回る。2019年3月の一部改良で後退時にも衝突被害軽減ブレーキが作動するようになるなど、安全運転支援技術が向上している。
▲スマートフォンの連動が可能な9インチのセンターディスプレイが備わる。タッチスクリーン式で、手袋のままで操作可能。2018年7月の一部改良で上級グレードの「インスクリプション」にハーマン/カードンのプレミアムサウンドシステムが標準装備されたディーゼルモデルの車両本体価格は599万~679万円で、2Lガソリンターボの「T5」と同額(T5にはRデザインの設定なし)。原稿執筆時点で117台と台数が豊富で、XC60全体の約6割を占める。走行距離5万km前後で支払総額460万円あたりから狙える。
専用スポーツサスペンションや19インチ専用アルミホイールなどが備わるスポーティグレードの「Rデザイン」もあり、台数は少ないが、支払総額480万円前後から見つけられる。
▼検索条件
ボルボ XC60(現行型)×ディーゼルモデル×全国
ライター
ぴえいる
『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。
この記事で紹介している物件
ボルボ
XC60 D4 AWD インスクリプション ディーゼルターボ 4WD (70)パノラマガラスサンルーフ パイロットアシスト ブロンドレザーシート 純正ナビ 地デジ サラウンドビューモニター ヘッドアップディスプレイ ETC パワーテールゲート シートヒーターベンチレーター
本体価格278.0万円
支払総額304.8万円
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