「シルキーシックス×MT」こそBMWの真骨頂! 今ならまだ間に合う狙い目モデル
カテゴリー: 特選車
タグ: BMW / セダン / ハッチバック / クーペ / オープン / MT / FR / 1シリーズ / M3 / Z4 Mロードスター / Z4 Mクーペ / 3シリーズ / ぴえいる
2021/06/24
▲BMWの自然吸気直列6気筒エンジン×MTで人気の高いE46型M3。ワイドトレッドを収めるためE46型クーペと比べて、全幅は+20mmの1780mmに拡幅されているターボ化が当たり前の時代、貴重な10~20年落ちのモデル
BMW謹製の直列6気筒の吹け上がりは、まるで絹のように滑らかだ。構造上、振動バランスに優れる直列6気筒エンジンは、かつては日本メーカーを含む他社でも採用されていたが、中でもBMWのそれは“シルキーシックス"の称号を与えられた。
一時期、前方の衝突安全基準の確保や燃費性能競争などによって、直列6気筒は絶滅しかけたが、BMWだけはかたくなに開発し続けた。そうした同社の“こだわり"も、シルキーシックス神話に深みを添えているのかもしれない。
しかし、代替わりのたびにパフォーマンスを向上しなければならない世の中の流れにおいて、さすがに自然吸気では難しいとターボ化が進んでいる。BMWの3シリーズで言えばE90型の直列6気筒から、自然吸気と並行して、ターボ化が始まった。何しろ、自然吸気の水平対向6気筒を長年載せていたポルシェ 911も、現行型カレラではついにターボが備えられる時代なのだから。
もうひとつ忘れてならないのが、BMWはMT車を数多くラインナップしてくれるメーカーでもあるということだ。滑らかな、自然吸気ならではの息継ぎのない、心地よく吹け上がるエンジン音を、自分のリズムで奏でることができるのが「シルキーシックス×MT」だった。
残念ながら、今はもう新車で味わうことができないが、中古車ならばまだ間に合う。 ということで今回は、少ないとはいえ比較的物件が見つけやすい10~20年落ちの、今のうちに味わっておきたい「シルキーシックス×MT」モデルを紹介しよう。
M3の陰に隠れた、羊の皮をかぶる「シルキーシックス×MT」
BMW 330i Mスポーツ(E46型)
▲こちらは別グレード(318i Mスポーツ)の写真だが、330i Mスポーツの見た目もおおよそこのような感じ。全長4470mm×全幅1740mm×全高1420mmは、現行型2シリーズグランクーペよりも小さい。M社の17インチアルミホイールや、フロントスポイラー、サイド・リアスカートが備わる自然吸気の6気筒という点では、E46型には他にも320iや323i、328iがあり、クーペにも330ciがある。しかし、MTが用意されたのはセダンの330i Mスポーツの他にない。
登場したのは、E46型のデビューから2年後の2000年7月。当時最新の3L直列6気筒(M54)を搭載し、それまであった328i(2.5L直列6気筒を搭載)に代わって、3シリーズのトップグレードに君臨した。
最高出力は231ps/5900rpm、最大トルクは300N・m/3500rpm。5速MTの他、5速ATも用意された。また、「Mスポーツ」なので、M社のスポーツサスペンションなどが装備される。なお、2003年のマイナーチェンジで、MTが6速化されている。
▲こちらも別グレードの写真となるが、330i MスポーツのMT車は、左ハンドルのみの設定。M社のスポーツシートやステアリングホイール、カーボン調インテリアパネルなどが備わる次に紹介するM3と比べれば、M社のスポイラーが備わるとはいえ控えめだし、見た目はフツーの3シリーズのセダン。M3の陰に隠れたレアモデルだけれど、M3よりも自分の腕が試される、まさに羊の皮をかぶった「シルキーシックス×MT」モデルと言えるだろう。
2000年8月時点の車両本体価格は555万円。ただでさえレアモデルで、販売終了からすでに16年が経つため、原稿執筆時点で見つかったのは6台のみ。価格帯は約120万~260万円で、走行距離は5万km以上10万km未満。気になる中古車を見つけたら即行動が肝心だ。
▼検索条件
BMW 3シリーズ(E46型)×330i Mスポーツ×MT×全国自然吸気のチョクロク最後のM3をMTで駆る
BMW M3(E46型)
▲過酷な高速コーナーでも安定してオイルを供給するシステムや、100km/hからの制動距離を35mで止めるブレーキなど、Mモデルならではの装備が備わる。ボンネットフードは軽量なアルミ製。M3専用の非球面タイプのドアミラーはオプションで用意された2001年1月から日本に導入されたE46型M3。上記3シリーズに搭載された3L直列6気筒(M54)のハイパフォーマンス版である、3.2L直列6気筒エンジン(S54)が搭載された。このエンジンは、当時F1に参戦(BMWウィリアムズ)して得ていたノウハウが注がれた至極のエンジンだ。
最高出力343psを7900rpmという、レッドゾーンまで一気に踏み込みたくなるような高回転型。とはいえ、最大トルク365N・mの80%を2000rpmという低回転域で発揮する。これに6速MTか、6速AT(2ペダルMTのSMG-II)が組み合わされた。6速MTでは、2速で100km/hを超え、0-100km/h加速は5.2秒だ。
▲左ハンドル/右ハンドルが選べる。冷え切ったエンジンを始動すると、メーターの4000rpm以降がオレンジに点灯。油温が上がるにつれ500rpmごとに消灯する。バックレスト幅を調整できるスポーツシート、クッション付き極太リムのステアリングが備わる「エンジンよりも速く」を目指して開発されたサスペンションは、優れた走行性能を発揮。また、後輪のうち一方がスピンする恐れがあると、瞬時に可変Mディファレンシャルロックがトラクションをコントロールして走行を安定させてくれる。これにより、雪道など滑りやすい路面だけでなく、高速コーナーも安定して駆けぬけることができる。
なお、最高出力360ps/最大トルク370N・mに高められ、カーボンルーフなど軽量化も図られたCSL(車両本体価格1150万円)は、シーケンシャルシフト(2ペダルの6速MT)となる。
M3のデビュー時の車両本体価格は786万円。販売終了から約14年経つが、「自然吸気のチョクロク最後のM3」ということもあり、人気が高い。
原稿執筆時点で14台が見つかり、価格帯は約220万~700万円だ。走行距離は10万km超もある一方で、3万km未満も。前オーナーにより足回りが変更されている中古車も多い。どんなコンディションのM3が欲しいのか、最低限のラインを決めてから探した方がいいだろう。
▼検索条件
BMW M3(E46型)×MT×全国M3の2シータークーペと、M3の2シーターオープンカー
BMW Z4 Mクーペ/Mロードスター(E85/E86型)
▲BMWによれば、ニュルブルクリンク北コースにおいて、MクーペはMロードスターやM3よりもラップタイムが速かったという。一見ノーマルのZ4と同じ顔に見えるが、よく見ればキドニーグリルが奥に引っ込むように配され、ボンネットには2本の線が入る前身のZ3に代わり2003年1月に登場したのが、2シーターオープンカーのZ4。このZ4の2006年4月のマイナーチェンジのタイミングで投入されたのが、Z4 Mロードスターと屋根のあるクーペボディのZ4 Mクーペだ。
他のZ4と異なり、上記E46型M3と同じ直列6気筒エンジンが搭載され、しかも、どちらも6速MTのみとされた。
▲電動ルーフが備わるMロードスター。車外からでもリモコンで開閉できる。開閉にかかる時間は10秒以内としている。Mロードスターのトランクは屋根を開けた状態で220L、閉めると200L、Mクーペは300LとなるE46型M3と同じ直列6気筒エンジンゆえ、最高出力343ps/7900rpm最大トルク365N・m/4900rpmは同じ。ただし、Z4の方が軽量のため、0-100km/h加速はどちらも5.0秒とM3より速い。
この強力なパワーを受け止めるため、フロントサスペンションは新設計され、リアサスペンションにはM3のものが用いられた。パワーステアリングシステムも専用のものとなっている。
▲左ハンドル/右ハンドルが選べる。写真はMロードスターのインテリア。シフトノブやステアリングホイール、スポーツシートは他のMモデル同様、専用のものが与えられているまたM3同様、雪道など滑りやすい路面や高速コーナーを安定して駆けぬけるMディファレンシャルロックが備わる他、M3 CSLと同じブレーキが採用されている。いわば、M3の2シータークーペと、2シーターオープンカー。ノーマルのZ4とは、何もかも別モデルなのだ。
デビュー時の車両本体価格はMクーペが807万円、Mロードスターが829万円。台数の少ないレアモデルゆえ、販売終了から約11年経つ原稿執筆時点ではMクーペで6台、Mロードスターで4台しかない。 価格帯はMクーペが約430万~560万円、Mロードスターが約260万~500万円(他に価格応談もあり)。こちらもE46型330i同様、欲しい中古車が見つかったら、即行動を。
▼検索条件
BMW Z4 Mクーペ/Mロードスター(E85/E86型)×MT×全国手頃な価格で「シルキーシックス×MT」を楽しめる1台
BMW 1シリーズ 130i Mスポーツ(E87型)
▲エントリーモデルの1シリーズながらフロント205/50R17、リア225/45R17と前後異形サイズを履く。ラゲージ容量は通常で330L、後席を倒すと1150L。Mフロントスポイラーやリアエプロンなどが備わる。エグゾーストハイプは2本出し2004年9月に登場したBMW初のコンパクトカー・1シリーズに、2005年10月に追加されたのが130i Mスポーツだ。FRレイアウトに、上記E46型330iに搭載されたM54の、さらに進化版となる3L直列6気筒(N52)が搭載されている。
組み合わされるトランスミッションは6速MT。ちなみに、このN52エンジンは、E46の後継モデルE90にも搭載されていたが、残念ながらE90の直列6気筒モデルにMT車は設定されていない。
N52エンジンの最高出力は265ps/6600rpm。最大トルクは315N・mを2500-4000rpmと低回転域の広い範囲で発揮する。0-100km/h加速は6.1秒。
足回りが130i用に専用セッティングされたのはもちろん、駐車時のステアリング操作量を減らし、高速走行時は直進安定性を向上させるアクティブ・ステアリングが1シリーズで初めて採用された。なお、2006年4月には6速ATモデルも用意されている。
▲日本仕様は右ハンドルのみ。前席の電動パワーシートやMレザーステアリング、カーナビなどを操作できるiDriveは標準装備このサイズでFRというだけでも希少なのに、BMW製の自然吸気チョクロクをMTで駆れるコンパクトハッチバックは、この130i Mスポーツだけ。なお、2010年5月に1シリーズ全車の燃費改善が行われた際に、最高出力258ps/最大トルク310N・mと若干ダウンしている。
デビュー時の車両本体価格は487万円。販売終了から約10年と、上記3台と比べて新しいモデルだが、コンパクトカー=街乗り需要が高かったせいだろう、MTの130iの中古車台数は少なく、原稿執筆時点で見つかったのは7台。
ただし、走行距離がすべて7万km超ということもあり、価格帯は約70万~160万円とBMWの自然吸気チョクロク×MTの中では最も手頃。コンディションのいいうちに、お気に入りを見つけてアプローチしたい。
▼検索条件
BMW 1シリーズ(E87型)×130i Mスポーツ×MT×全国
ライター
ぴえいる
『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。
この記事で紹介している物件
BMW
1シリーズ 130i Mスポーツ 130i Mスポーツ 6速MT 黒革シート パワーシート ETC プッシュスタート 天張り交換済み オイルモレ対策 ニュータイヤ
本体価格118.9万円
支払総額138.9万円
BMW
M3 3.2 正規D 左H 6速MT SR ブラックレザー 前後Brembo ニーズユーロクロス19インチAW BILSTEIN車高調 バルブリモコン付きパワクラマフラー ショートシフター 地デジ Bカメラ ETC 取説 記録簿 SMGからMT換装
本体価格755.0万円
支払総額783万円
BMW
M3 3.2 車検R9年6月/フェニックスイエロー/左H/6速/サンルーフ無/ビルシュタイン足廻り/M5用19AW/ブレンボキャリパー/外マフラー/Fリップ/Rスポイラー/ルーフラッピング/Sキー/天井張替済
本体価格488.0万円
支払総額504.6万円
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