ハイゼットトラック▲日本人の暮らしと密接に結びついてきた軽トラ。最近ではカスタマイズ目的で乗るユーザーも

海外ではイケてる車!? 誇れる日本軽トラ

農業、漁業、運送業、その他ビジネスユーザーの必需カーといえば、今も昔も軽トラック(以下、軽トラ)。近年はカスタマイズのベース車など趣味の相棒として軽トラを選ぶ人も増えてきた。海外への並行輸出も増えており、最近ではトランプ関税の影響で、税率が上がる前に購入しておこう、という駆け込み需要がアメリカであったことも話題に。

でも軽トラについてちゃんと知っているか、と言われたら、知らないことが意外に多いかも。この記事では軽トラのメリットやデメリットを確認するとともに、現行型にどんなモデルがあるのか確認しておこう。

 

軽トラとはどんな車?

軽トラは、トラックの中でも軽自動車に区分される車のこと。登録は軽バンと同じ小型貨物自動車(4ナンバー)となる。

キャビンから独立したオープンの荷台をもっていることが、軽乗用車や軽バンとの大きな違いだ。ボディサイズや排気量の規定は通常の軽自動車と同じだが、小型貨物自動車登録の場合、以下の要件を満たす必要がある。

・荷台床面積0.6㎡以上
・荷台部分の床面積が乗車設備(座席部分)よりも広いこと
・乗車定員の重量が荷物の積載可能重量よりも軽いこと(乗員1人55kgとして計算)
・荷物の積み降ろし口が縦60cm、横80cm以上あること。

ハイゼットトラック荷台 ▲軽規格の中で最大限の荷台スペースを確保するためのスタイル

かつてはボンネット型などの軽トラも存在したが、現在は2人乗り×1列のキャビン、エンジンをシート下に搭載する「キャブオーバー」型がほとんど。軽自動車という限られた大きさの中で、荷台床面積をできるだけ広くするための構造だ。

軽トラの使命は荷物を運ぶこと。そのため車体は頑丈で重量物を積載しても問題ない作りとなっているが、一方で快適性や安全性能、加速性能などは一般的な軽乗用車ほど重視されていない。もし仕事でなく、プライベートで所有するなら、そのあたりを理解しておく必要があるだろう。

また安全基準や税制、保険料金などについても、乗用車登録の軽自動車とは異なる貨物自動車独自の基準となっている。

 

軽トラのメリット・デメリット

軽トラは本来、荷物を運ぶプロのための道具。特化した作りになっており、メリットもあればデメリットもあることを理解しておこう。ここでは主に乗用車登録の軽ワゴンと軽トラを比べたメリット、デメリットについて解説する。

軽トラのメリット

■荷台がオープンで使いやすい
キャビンから独立した荷台は荷物を運ぶのに、この上なく便利。泥などで汚れた荷物も気兼ねなく積めるし、アオリ(荷台の縁にある可倒式の囲い)を下ろせば重量物を積み降ろしするのも楽ちんだ。汚れてしまっても、水で簡単に洗い流せるのもメリット。

ちなみに、軽トラの最大積載量は350kg以下と定められている。バイクなど350kg以下の荷物を積む場合は問題ないが、引っ越しなどの荷物を満載すると超えてしまうこともあるので注意したい。

ハイゼットトラック漁業 ▲農業、漁業などでは大活躍。荷台は水で濡れてもサビにくい処理が施されている

■耐久性が高い
重量物を載せて移動することを前提とした作りだけに、耐久性が高いこともメリットのひとつ。多くの軽トラは耐久性に優れ、架装にも適したラダーフレーム構造を採用している。リアサスペンションの構造も車軸を一直線につなげたリジッド式リーフスプリングを採用していることが多く、頑丈だ。

■悪路走破性が高い
これは主に4WD車に当てはまるメリット。最低地上高が高く、車重が軽い、重心が低いという特性は、オフロード走行においても有利に働く。農地など悪路で使用されることを前提としているためだ。その悪路走破性はジムニーなどの本格オフロード車にも負けないほど。

4wdスイッチ ▲4WDはもちろん、デフロックなど本格的な装置を備えた軽トラも多い

■軽自動車税が安い
軽ワゴンに比べて、軽トラは自動車税が優遇されている。自家用乗用車の年間自動車税額が1万800円なのに対して、自家用貨物車は5000円と半額以下だ。

軽トラのデメリット

■店員が2名まで
軽トラのほとんどは2シーター。プライベートで使う場合、単身者ならともかく、ファミリー向けでないことは確かだ。ただ、セカンドカーとしてならアリかも。

ハイゼット運転席 ▲荷台スペースを優先している分、居住空間はミニマムだ

■荷物が濡れてしまう
荷台に屋根がないため、荷物を積みっぱなしにしておくと雨で濡れたり、汚れたりしてしまう。もちろん防犯の意味でも不利だ。宅配車のように幌やコンテナを架装すれば問題なくなるが、その場合も軽自動車規格の車体サイズ、最大積載量を超えることはできないので注意が必要。

■乗り心地が悪い
軽トラは荷物を積載して走ることを前提としているため、空荷だと乗り心地が悪い。コーナリング性能やハンドリング性能についてはひと昔前のモデルより現行モデルの方が進化しているものの、それでも軽ワゴンとは比較にならない。この点は覚悟しておこう。

リーフスプリング ▲軽トラのリアサスペンションは板バネを重ねた構造。重い積載物を載せても腰砕けになりにくい反面、空荷では硬めの乗り味となる

■任意保険料が高い
任意保険料は保険会社によって異なるが、一般的に高めとなっている。ビジネスユースの車として走行距離が延びることを想定しているためだろう。

小型トラックとの比較における軽トラのメリット

■維持費が安い
1年間の維持費を軽トラと小型トラック(4ナンバーのタウンエーストラック)で比較してみると、以下のようになる。なお、軽トラの重量税は2年ごとの納税、車検も2年ごととなるのに対して小型トラックは毎年車検となるが、整備代・印紙代・検査料・法定点検費用などを含む一般的な料金として算出したうえで年換算し、単位を統一した。

  軽トラック 小型トラック
自動車税 5000円 1万6000円
重量税 3300円 1万2300円
自賠責保険料 1万1440円 1万2850円
車検費用 1万3900円 4万6150円
合計 3万3640円 8万7300円
  軽トラック 小型トラック
自動車税 5000円 1万6000円
重量税 3300円 1万2300円
自賠責保険料 1万1440円 1万2850円
車検費用 1万3900円 4万6150円
合計 3万3640円 8万7300円

単純計算では1年で5万円以上も軽トラの方が安く済む。ランニングコスト重視なら軽トラ一択だろう。なお、最大積載量1t以下の小型トラックは現行モデルに存在せず、中古車でのみ購入できる。

■車検期間が長い
小型以上のトラックやバンなど貨物車は車検が毎年なのに対して、軽トラは軽ワゴンと同様に2年ごと。トラックが欲しいけど毎年車検は面倒、という人にとっては絶大なメリットだろう。

■取り回しが良い
軽トラはボディサイズがコンパクトで、取り回しが抜群に良い。最小回転半径についてもタウンエースなどの小型トラックで4.9m以上なのに対し、軽トラは3.6m程度。路地裏や狭い林道の走行で圧倒的に有利だ。

小型トラックとの比較における、軽トラのデメリット

■軽自動車なので積載性に限界がある
荷物を載せるのが専門といっても、そこは車体サイズに制限のある軽自動車。小型トラックの最大積載量が800kg程度なのに対して、軽トラは350kgと規定されている。遊びのギアはともかく、重量物を載せたい人は小型以上のトラックを選ぶべきだろう。

 

軽トラの選び方

現在、新車で買える軽トラは7車種存在する。ただ、そのうち5車種は、他社で製造した車種を自社ブランドから販売するOEM車。オリジナルとOEM車はデザインや装備内容に若干の違いはあるものの、基本的な性能は変わらない。

そのため、軽トラ選びの車種は実質的にキャリイとハイゼットトラックの二択。同車種でどの仕様を選ぶかがポイントだ。自分に合った軽トラを選ぶために注目したいポイントを解説しよう。

■キャビンと荷台の大きさで比較する
ボディサイズはいずれも軽規格いっぱいだが、実は仕様によって少しプロポーションが異なる。荷台スペースを最優先してキャビンを最小化した一般的なスタイルの他に、キャビンを広めにしたエクストラキャブ仕様が存在するのだ。

ルーフ形状についても標準ルーフ以外にハイルーフを用意しているモデルがある。荷役性を重視するか、それとも居住空間の快適性を重視するか、好みの仕様をチョイスしよう。

スズキ スーパーキャリイ ▲エクストラキャブも同じ2名乗車だが、居住空間を拡大することで快適性をアップしている

■駆動方式や燃費性能で比較する
かつて軽トラのトランスミッションといえばMTが主流だったが、現在はATが増えた。実際、中古車市場に流通している軽トラも6割近くがAT車。そのATも最近は3速から4速へ、あるいはCVTへと進化している。一部には「オートギアシフト」というクラッチレス・マニュアルを採用したモデルも。AT限定免許でも軽トラに乗れるのだ。

また、駆動方式についても一般的な2WD(軽トラの場合は多くがFR)に加えて、4WDが用意されている。さらにデフロックなど悪路走破性を高めるギミックを備えたモデルも。

ハイゼットシフトレバー ▲年式の新しいモデルではATが多段化されており、燃費にも有利

ただ、走行性能だけでなく、燃費性能も気にかけたいところだ。一般的に燃費ではATよりMTの方が、4WDよりも2WDの方が有利。だが、例えばハイゼットのCVT、キャリイの「オートギヤシフト」など、MTを上回る燃費性能となっているものもある。使用状況を想定しながら、WLTCモード燃費をよく見比べて選ぼう。

■安全装備で比較する
最近は軽トラであっても安全性能に力が注がれている。現行車種では、衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全装備を全車標準化しているモデルも少なくない。

しかし、中古車で購入するときは要注意! 車種や年式、グレード、オプションによって装備されている安全機能が大きく異なり、目視では判断できない。目当ての物件を見つけたら、販売店スタッフに装備内容を確認することが大切だ。

ハイゼット スマアシ ▲衝突被害軽減ブレーキやレーンキープといった先進的な安全装備を備えるモデルもある
 

【オススメの軽トラ1】スズキ キャリイ(現行型・11代目)

スズキ キャリイ ▲現行型は2013年11月にデビュー。現在までマイナーチェンジを繰り返してきた

1960年代から60年以上にわたって日本の軽トラ界をリードしてきたキャリイ(11代目)。マツダ、日産、三菱にOEM車を供給している。

先代はタイヤをキャビン前方に配置する「セミキャブ」と、シート真下に配置する「フルキャブ」をラインナップしていたが、現行型では「フルキャブ」に統一。ショートホイールベースとしたことで取り回し性能が一層良くなった。

スズキ キャリイ(現行型・11代目) ▲インパネまわりは機能的で開放感がある

フロントウインドウが広くて見晴らしが良く、運転席シートスライドを採用するなど快適性にも配慮されているのがキャリイの長所だ。ドア下部の開口部が広いから長靴を履いたままでも乗降しやすく、荷台が低いため荷物の積み降ろしも楽ちん。そうしたプロユースらしい工夫が随所に見られる。

通常仕様の他、キャビンを後方に伸張して快適な居住空間とした「スーパーキャリイ」がラインナップされているのもポイント。乗車定員2名であることは通常仕様と変わらないが、ゆったりとした運転姿勢を取ることができ、ちょっとした荷物なら車室内に置ける便利な仕様だ。

スズキ キャリイ(現行型・11代目) ▲運転席は140mmのシートスライドが可能
スズキ キャリイ(現行型・11代目)の中古車相場

中古車市場での流通量はとても豊富で、現行型だけで2000台以上もの物件が流通している。年式別では2024年、2025年が多いものの、デビューから10年以上たつだけに幅広い年式の物件が分布しており、予算に応じて選べるのも魅力だ。

トランスミッション別ではAT車が全体の約6割。残りのほとんどがMT車だが、5AGS車もわずかながら流通している。「5AGS」は「オートギヤシフト」というクラッチレス・ツーペダルマニュアルのことで、2014~2019年まで発売されていたもの。こうしたユニークな仕様を選べるのも中古車の魅力だろう。

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スズキ キャリイ(現行型・11代目)

【現行型キャリイ(「KX」2WD 4AT)の注目データ】
・荷台長×荷台幅×荷台高:1940mm×1410mm×290mm
・最大積載量:350kg
・燃費性能(WLTCモード):15.7km/L
・新車時価格:66万6000~248万8000円
・中古車平均価格:約115万円

 

【オススメの軽トラ2】スズキ キャリイ(現行型・11代目)のOEM車

キャリイ(現行型・11代目)のOEM車には、マツダ スクラムトラック、日産 NT100クリッパー、三菱 ミニキャブトラックの3モデルがある。いずれもエンブレムや細部のデザインなどが異なるのみで、基本的な設計やデザインは共通。ただし、キャリイに設定のある特装車は未設定だ。

中古車市場において、マツダ スクラムトラックは約110台、日産 NT100クリッパーは約480台、三菱 ミニキャブトラックは約200台が流通している。

マツダ スクラムトラック(現行型・4代目) ▲マツダ スクラムトラック(現行型・4代目)

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マツダ スクラムトラック(現行型・4代目)
日産 NT100クリッパー(現行型・2代目) ▲日産 NT100クリッパー(現行型・2代目)

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日産 NT100クリッパー(現行型・2代目)
三菱 ミニキャブトラック(現行型・7代目) ▲三菱 ミニキャブトラック(現行型・7代目)

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三菱 ミニキャブトラック(現行型・7代目)
 

【オススメの軽トラ3】ダイハツ ハイゼットトラック(現行型・10代目)

ダイハツ ハイゼットトラック(現行型・10代目) ▲現行型は2014年9月に登場。軽トラでは珍しくビビッドなボディカラーも用意される

キャリイとほぼ同時期の1960年代に初代が登場した、長い歴史をもつ軽トラがハイゼットトラックだ。ハイゼットにはバンのカーゴとトラックがあり、それぞれ別の歴史をたどってきた。トヨタ、スバルにOEM車を供給している。

現行型はフロントウインドウを前方に配置し、シートスライド量を先代から大幅に拡大するなど、快適性の向上が図られている。ドア開口角度が大きく、乗降しやすいのも長所だ。運転席から手が届く大型オープントレイをはじめとする収納スペースが車内に20ヵ所あるのも何かと便利。通常仕様に加え、キャビンを後方に伸張した「ジャンボ」がラインナップされている。

ダイハツ ハイゼットトラック(現行型・10代目) ▲SUV的な雰囲気も感じられるインパネ。オプションナビのディスプレイも大きめ

たくましい外観、豊富なカラーバリエーション、スマートインナーミラー(オプション)などハイテク装備を積極採用しているところはハイゼットトラックならではの魅力だろう。2018年5月以降のモデルでは先進安全装備である「スマートアシスト」も採用された。軽トラでは当時初の衝突被害軽減ブレーキ機能だ。

トランスミッションは2014年のデビューから2021年11月まで5速MTと4速ATのラインナップだったが、2021年12月の変更で軽トラ初のCVTが採用された。同時に採用されたトルクスプリット式の4WDも軽トラ初のメカニズムとなっており、ハイゼットトラックの先進性が分かる。

ダイハツ ハイゼットトラック(現行型・10代目) ▲キャビンの室内幅はクラスナンバーワン。小物入れなども充実している
ダイハツ ハイゼットトラック(現行型・10代目)の中古車相場

中古車市場での流通量はとても豊富で、キャリイ(11代目)と並ぶ2000台オーバー。年式別では2024年が最も多くなっているが、比較的満遍なく分布している。

中古車平均価格は120万円前後。全体の約7割がATもしくはCVT車となっているのが特徴だ。架装車も豊富で、冷蔵車など業務用の他、キャンピングカーに架装された物件もたくさんある。機能的なだけでなく、プライベートユースに耐える快適性を備えているのもハイゼットトラックの魅力だ。

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ダイハツ ハイゼットトラック(現行型・10代目)

【現行型ハイゼットトラック(「エクストラ」2WD CVT)の注目データ】
・荷台長×荷台幅×荷台高:1940mm×1410mm×285mm
・最大積載量:350kg
・燃費性能(WLTCモード):16.5km/L
・新車時価格:59万9000~266万8000円
・中古車平均価格:約120万円

 

【オススメの軽トラ4】ダイハツ ハイゼットトラック(現行型・10代目)のOEM車

ハイゼットトラック(現行型・10代目)のOEM車には、トヨタ ピクシストラック、スバル サンバートラックの2モデルがある。いずれもエンブレムや細部のデザインなどが異なるのみで、基本的な設計やデザインは共通だ。サンバートラックについては特装車も一部、設定されている。

中古車市場において、トヨタ ピクシストラックは約60台、スバル サンバートラックは約80台が流通している。


トヨタ ピクシストラック(現行型・2代目) ▲トヨタ ピクシストラック(現行型・2代目)

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トヨタ ピクシストラック(現行型・2代目)
スバル サンバートラック(現行型・8代目) ▲スバル サンバートラック(現行型・8代目)

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スバル サンバートラック(現行型・8代目)
 

軽トラを中古車で購入する際の注意点

■これまでの整備状況を確認する
軽トラは当然ながら仕事用に使われるケースが多く、多走行な物件も少なくない。シンプルな構造で壊れにくいのも軽トラの長所だが、定期的なメンテナンスは必要。特にオルタネーターやウオーターポンプ、バッテリーやタイヤなど消耗品が、いつ交換されたのかを確認しておきたいところだ。そのためには点検整備記録簿が残っている物件を優先して選びたい。

価格重視で選び、購入後にまとめて部品を交換するのも一案だが、エンジンやトランスミッションなど主要部品が不調はないかはチェックしよう。

■サスペンションのへたりや下まわりをチェック
荷物を載せることを前提としている軽トラ。そのためリアサスペンションは頑丈な作りだが、最近のモデルはフロントサスに乗用車と同じ独立懸架式を採用している。独立懸架式ではタイヤの付け根(等速ジョイント)にトラブルが出やすいので、ドライブシャフトブーツが破けていないかをチェックしよう。

■隠れたボディのサビをチェック
軽トラは農業や漁業などで酷使されてきた物件が少なくない。そうした車では荷台に水をかけて洗うのも当たり前。最近のモデルでは防錆処理技術も進んでいるが、サビの発生状況は購入前に下まわりをのぞき、必ずチェックしておこう。

 

軽トラに関するQ&A

Q.軽トラもワゴンと同じようにカスタマイズしてOK?
A.道交法に準拠していれば、軽トラもカスタマイズできる。ただし、貨物車特有の保安基準や面積要件を満たしていないと当然、車検に通らない。例えば荷台を架装する場合、全長3.4m以下、全幅1.48m以下、全高2.0m以下という条件を超えてしまうと軽自動車として登録できなくなってしまう。またタイヤなどについても車の最大積載重量に見合う最大負荷能力(ロードインデックス)を有していることが貨物車の条件だ。

Q.黒ナンバーの軽トラって何?
A.通常、軽自動車のナンバープレートは乗用も貨物も黄色地に黒文字(一部の記念ナンパ−プレートは白地も存在)。一方で、「貨物軽自動車運送事業」用として届け出た車は、黒地に黄色文字の通称「黒ナンバー」となる。黒ナンバー車は税制面で優遇されるが、陸運支局に経営届出書や運賃料金表などを提出して、新たに登録する必要がある。

Q. 軽トラを8ナンバー化するメリットはある?
A.8ナンバーは、キャンピングカーやパトカーなど特殊用途自動車に適用される登録区分。乗用車に比べると自動車税などは安いが、軽トラの場合は税金がもともと安いため、8ナンバーに変える税制上のメリットはほとんどない。

Q.乗用車から乗り替えても、任意保険の等級は変わらない?
A.自動車任意保険の等級制度は、保険金を利用しなかった期間に応じて、保険料を割り引く仕組み。当然、軽ワゴンなどから軽トラに乗り替えても以前の等級が適用される。ただし、黒ナンバーの中古車を購入し、同じ事業用登録のまま名義変更した場合などは例外。もちろん、黄色ナンバーに変更すれば等級は変わらない。

Q.軽トラに載せられる荷物の大きさ、重さは?
軽トラでは荷台に載せる荷物の大きさについて規定されている。「長さ、幅は車体の1.2倍まで」「高さは地面から積載物上まで3.8m」が上限だ。また積載方法についても「前後左右とも車体の10分の1の長さを超えてはみ出さないこと」と制限されている。

重さは車種・仕様ごとに定められた最大積載量が上限だ。荷物を運搬する際はこれらの基準を超えないように注意しよう。万一、基準を超えた状態で走行すると道交法違反となる。

※記事内の情報は2025年5月24日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/スズキ、スバル、ダイハツ、トヨタ、日産、マツダ、三菱
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。