1シリーズ ▲ドイツを代表するプレミアムな自動車メーカーである「BMW」の5ドアハッチバック、1シリーズ。その先代モデルの中古車が今、総額100万円台の予算でも狙える状況に。その上手な狙い方を検討してみることにしましょう

「100万円台のBMW」は本当に“買い”なのか?

スポーティでありながら、きわめて上質でもある車を作り続けているドイツのBMW。そんなBMWのコンパクトクラスを支えているのが「1シリーズ」なわけですが、このところ先代(3代目)BMW 1シリーズの中古車平均価格がやや大きくダウンし、総額100万円台で狙える物件の数も増えています。
 

1シリーズ

「比較的新しい世代のBMWが100万円台で買える!」というのはうれしい話ではあるものの、もともと高額だったモデルが100万円台まで落ちてきた中古の輸入車には正直、一抹の不安も感じます。
 

1シリーズ▲この素敵なたたずまいを総額100万円台で得ることができるのはうれしい話だが、「……故障とかは大丈夫なの?」という不安を感じるのも事実だろう

しかし調べてみると、総額100万円台で買える先代1シリーズの多くは走行距離がさほど延びていない物件が大半であるため、そのコンディションに大きな問題はなさそうな気配。先代1シリーズの平均価格が下がった理由は、新型(現行型)1シリーズが2024年11月に登場し、最近はそちらの中古車もかなり増えてきたから――という単純な理由であると考えられます。

であるならば、総額100万円台で狙える先代BMW 1シリーズをチェックしてみるしかない! ということで次章以降、そのモデル概要のふりかえりを含め、先代BMW 1シリーズの上手な狙い方について徹底研究してみることにしましょう。
 

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BMW 1シリーズ(3代目)
 

モデル概要:全長3.5m級の扱いやすくスポーティな5ドアハッチバック

先代BMW 1シリーズは、日本では2019年8月に販売開始となったBMWの5ドアハッチバック。1シリーズとしては通算3代目にあたるモデルです。

ボディサイズは全長4355mm×全幅1800mm×全高1465mmで、これは国産車では「トヨタ カローラスポーツ」とだいたい同じぐらいの寸法になります。
 

1シリーズ▲こちらが2代目 BMW 1シリーズ
1シリーズ▲ボディサイズは国産ハッチバックの売れ筋である「トヨタ カローラスポーツ」とだいたい同じぐらい

搭載されるパワーユニットは4種類。以下、簡単にまとめました。

流通モデルのメインとなるのは以下の2種類。
1.5L直3ガソリンターボ…「118i」と車名に付くグレードに搭載。最高出力は140ps。
2L直4ディーゼルターボ…「118d」と車名に付くグレードに搭載。
1.5L直3ガソリンターボ…「116i」という車名のグレードに搭載。出力は控えめ。
2L直4ガソリンターボ…「M135i xドライブ」に搭載。パワーは強力。

駆動方式は、強力な2Lターボエンジンを搭載するM135i xドライブだけはフルタイム4WDですが、その他のグレードはすべてFF(前輪駆動)です。
 

1シリーズ▲グレードによって細部は異なるが、先代1シリーズのインテリアはおおむねこのようなデザイン
1シリーズ▲荷室容量は5人乗車時で380L。後席の背もたれを倒せば最大1200Lまで拡大可能。中古車にはオプションの「オートマチックテールゲートオペレーション」が装着されている場合もある

そして中心的なグレード内の、より細かなグレード構成は下記のとおりです。

【118i】
・118i DCT:ガソリン車の標準グレード
・118i プレイ DCT:ちょっと装備のいいガソリン車
・118i Mスポーツ DCT:内外装や足回りなどがスポーティなガソリン車

【118d】
・118d プレイ ディーゼルターボ:ディーゼル車の標準グレード
・118d Mスポーツ ディーゼルターボ:ディーゼル車のスポーティグレード
・車名に「エディション ジョイ プラス」と付くグレード:メーカーが環境性能に配慮したグレード。中身は上記と同じ

上記を踏まえて次章以降、先代BMW 1シリーズの具体的な狙い方を検討してみましょう。
 

 

選択肢1:予算100万円台で考えるなら「118i プレイ」または「118d プレイ」

2025年8月下旬現在、総額100万円台で狙える先代BMW 1シリーズの数は約50台。グレード別の割合はガソリンターボの118iとディーゼルターボの118dが半々ずつといったところで、「116i」「M135i xドライブ」は、この価格帯ではほぼ流通していません。

したがって総額100万円台で物事を考えるなら、選択肢は自動的に「118iまたは118d」ということになります。そしてこの2つのグレードの中でも、内外装や足回りがスポーティに仕立てられている「Mスポーツ」の流通量は、この価格帯ではかなり少なめです。

そのため結論として、総額100万円台の予算で選ぶべき先代1シリーズは下記の4グレードに絞られます。

・118i DCT:ガソリン車の標準グレード
・118i プレイ DCT:ちょっと装備のいいガソリン車
・118d プレイ ディーゼルターボ:ディーゼル車の標準グレード
・118d プレイ エディション ジョイ プラス ディーゼルターボ:上記と中身は同じグレード

 

1シリーズ▲118iおよび118dのエクステリアデザインはおおむねこのような雰囲気

これらのうち走行7万~8万kmぐらいの物件は、あなたがそれを中古車として購入した後に、様々な消耗部品が要交換のタイミングを迎えてしまう可能性もあります。

そのため、まずは走行2万~4万km台ぐらいであることを目安とし、そのうえで内外装に手荒く扱われた痕跡がない物件を選ぶようにすれば、総額100万円台の予算であっても、先代BMW 1シリーズという車の魅力を存分に味わい、楽しむことができるでしょう。

ガソリンターボエンジンとディーゼルターボエンジンのどちらを選ぶかは、人それぞれのお好み次第であり、いずれも良好なパワーユニットです。しかし「力強さ」と「経済性」という面では、ディーゼルターボエンジンの方が若干有利だといえます。
 

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BMW 1シリーズ(3代目)×総額200万円未満×118i プレイ×118d プレイ
 

選択肢2:予算ちょい足しの総額200万円台で、より好条件な「Mスポーツ」を狙う

前述したとおり、総額100万円台の予算であっても先代BMW 1シリーズの魅力を存分に味わうことはできます。しかし、先代1シリーズの「主戦場」は総額200万円台です。100万円台では50台ほどだった流通量は、200万円台では約230台まで大幅に増加し、なおかつ総額100万円台では選べなかったグレードも検討対象に入ってくるのです。

総額200万円台で――というか「200万円台前半」でも十分なのですが、まぁとにかく総額200万円台の予算でまずチェックすべきは、車名に「Mスポーツ」と付いているグレードです。
 

1シリーズ▲スポーティな専用空力パーツなどが装着されるMスポーツ(※写真は英国仕様のため、日本仕様のMスポーツとは細部が異なります)

先代1シリーズのMスポーツは、Mスポーツ・サスペンションやMエアロダイナミクス・パッケージ、スポーツシート等々が付いている、要するにスポーティでカッコいいグレードです。

総額100万円台ではコレを選ぶのが難しかったのですが、総額200万円台(200万円台前半でもOK)の予算を用意できるなら、ガソリンターボおよびディーゼルターボのMスポーツも選び放題です。スポーティなイメージの車がお好きな場合は、ぜひコレをご検討ください。
 

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BMW 1シリーズ(3代目)×総額300万円未満×Mスポーツ系グレード

しかし、「過剰にスポーティなビジュアルや足回りは好きじゃない」という人もいらっしゃるかもしれません。

その場合は、総額100万円台の項でも提案した「118i DCT」「118i プレイ DCT」「118d プレイ ディーゼルターボ」「118d プレイ エディション ジョイ プラス ディーゼルターボ」をチェックしてみてください。この4グレードも総額200万円台(または200万円台前半)の予算であれば、走行1万km台までの低走行物件が選び放題となります。
 

1シリーズ▲「Mスポーツではない方」の、よりコンディションの良い個体を探してみるのも素敵な選択だ

▼検索条件

BMW 1シリーズ(3代目)×総額300万円未満 ×118i DCT ×118i プレイ DCT ×118dプレイ ディーゼルターボ ×118dプレイ エディション ジョイ プラス ディーゼルターボ
 

選択肢3:BMWの真髄を堪能したいなら、総額300万円前後の「M135i xドライブ」

ここまでは、どちらかといえば「なるべく手頃な予算で、なるべくいい感じの物件を狙う」というコンセプトで提案を行なってまいりました。しかし世の中には、「多少高くてもOKだから、もっといいやつを、BMWの真髄みたいなものが堪能できるグレードが欲しい!」と考える人も多いのかもしれません。

あなたがもしもそう考えるタイプの人であるならば、選ぶべきはコレでしょう。怒涛のガソリンターボエンジンを搭載するフルタイム4WDグレード、「M135i xドライブ」です。
 

1シリーズ▲強力な2Lターボエンジンを搭載するM135i xドライブ

こちらが搭載するパワーユニットは最高出力306ps/最大トルク450N・mという、4Lエンジン車並みの力強さを備えた2L直4ガソリンターボ。

その大出力を、8速スポーツATとオンデマンド式4WDシステムを介して路面に伝達する結果、0-100km/h加速は4.8秒をマークし、そのままアクセルを踏み続ければ、リミッターが作動する250km/hまで一気に加速を続けることになります(日本の公道ではそんな速度を出せる場所なんてありませんが)。
 

1シリーズ▲1シリーズに「圧倒的な速さ」と「スポーツカー顔負けの運動性能」を求めるのであれば、選択肢はコレしかない。相当スポーティに走ることができますよ!

ハッチバックというよりは「スーパーハッチバック」と呼ぶべきこちらの新車時価格は600万円オーバーでしたが、中古車であれば総額280万~330万円付近にて、十分好条件な1台を見つけることが可能。

これだけのハイパフォーマンスっぷりを総額300万円前後の予算で味わえることを考えると、M135i xドライブの中古車は、もしかしたら「格安」と言えるのかもしれません……!
 

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BMW 1シリーズ(3代目)×総額400万円未満  ×M135i xドライブ

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BMW 1シリーズ(3代目)
文/伊達軍曹 写真/BMW
※記事内の情報は2025年8月28日時点のものです。
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー勤務を経て出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。