IS ▲今や貴重な「ハイパフォーマンス&ラグジュアリーセダン」レクサス ISだが、2025年11月をもって生産終了となる。残念な話ではあるが、嘆いてばかりしてもしょうがないので、代わりになる1台を今のうちから探してみよう!

ジャパニーズセダンとして希有で貴重な存在だったのだが

レクサスは、同ブランドの国内導入第1弾モデルでもあったスポーツセダン「レクサス IS」の生産を、2025年11月をもって終了すると発表した

世界的な凋落を見せているセダンというカテゴリーではあるが、それでも「車はやっぱりセダンじゃなきゃ!」と考える人もいまだ少なくない。そして、中でもレクサス ISは「程よいサイズ感である」「欧州列強を向こうに回しても引けを取らない、希有なジャパニーズ・プレミアムスポーツセダンである」という2点において、きわめて貴重な存在だった。
 

IS▲この絶妙なサイズ感が素敵だったレクサス ISだったが……
 

その生産が終わってしまうということで、正直かなり悲しい気持ちになってはしまうのだが、とはいえ悲観ばかりしていても仕方がない。こうなったら今一度前を向き、レクサス ISと同等または同等以上の満足感が得られる「代わりのセダン」を、いまのうちから探しておこうではないか!
 

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レクサス IS(2代目)
 

レクサス ISの代わり①:BMW 3シリーズ(7代目)

本当は、大和魂あふれる(?)ジャパニーズブランドの中から「ISの代わり」を選びたいところだが、レクサス ISに匹敵しうるプレミアムなスポーツセダンは現在、遺憾ながら日本のブランドには存在していない。

となれば同程度プレミアムな海外ブランドから選ぶほかなく、その場合の最有力候補は7代目BMW 3シリーズ(※M3セダンを含む)ということになるだろう。
 

IS▲こちらが現行型BMW 3シリーズ。写真はマイナーチェンジ後の後期型
IS▲写真の後期型では、リアコンビランプの発光部が細く水平なデザインに変更されている。トランクルームの容量は480L
 

2代目レクサス ISの登場から6年後の2019年3月に上陸した現行型BMW 3シリーズは、全長4720mm×全幅1825mm×全高1440mmという、現行型ISとおおむね同じサイズ感となるプレミアムスポーツセダン。

駆動方式もISと同じく「FRが基本で、一部のグレードは4WD」というものだ。

走りと装備、先進安全装備などの質感およびクオリティは2代目レクサス ISと同等または同等以上で、ブランドとしてのステイタス性に関しても「同等または同等以上」と言うことができるだろう。特に2022年9月以降の後期型であれば、ほぼ言うことなしである。
 

IS▲12.3インチの液晶メーターパネルと、14.9インチのワイドなセンターディスプレイを採用。ヘッドアップディスプレイも全車に装備されている
 

レクサス ISが様々なパワーユニットを採用しているのと同様に、7代目BMW 3シリーズにも多種多様なパワーユニットが採用されている。レクサス ISの各グレードにおおむね相当する3シリーズのグレードと中古車価格は、だいたい下記のとおりだ。

●IS300(最高出力245psの2L直4ターボ)
→BMW 320i後期型(同184psの2L直4ターボ)|総額410万~550万円

●IS300h(同178psの2.5L直4+同143psのモーター)
→BMW 320d xドライブ後期型(同190psの2L直4ディーゼルターボ)|総額390万~580万円

●IS350(同318psの3.5L V6)
→BMW M340i xドライブ後期型(同387psの3L直6ターボ)|総額660万~760万円

●IS500(同481psの5L V6)
→BMW M3セダン(同510psの3L直6ターボ)|総額770万~1400万円
 

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BMW 3シリーズ(7代目)
 

レクサス ISの代わり②:メルセデス・ベンツ Cクラス(5代目)

レクサス ISのスポーティなイメージは、BMW 3シリーズに通じる部分が多い。

だが、同じプレミアムDセグメントに属する5代目メルセデス・ベンツ Cクラスも、以前のメルセデスと比べて大いにスポーティであるため、「ISの代わり」として十分以上に機能するだろう。
 

IS▲2021年7月に登場した現行型メルセデス・ベンツ Cクラス
IS▲サイドウインドウ下端の薄いキャラクターラインが、この車の車高を低く見せている。トランクルームの容量は455L
 

5代目メルセデス・ベンツ Cクラスは、レクサス ISのマイナーチェンジから約半年後の2021年7月に上陸したプレミアムDセグメントの4ドアセダン。

ボディサイズは全長4785mm×全幅1820mm×全高1435mmと、こちらもレクサス ISとおおむね同寸で、「プレミアムでありながらスポーティでもある」というキャラクターも、ISにどことなく近い。

走りやインテリア、安全装備などのクオリティがレクサス品質ならぬ「メルセデス品質」であるのは言わずもがなで、レクサスブランドを信奉する者も、そのクオリティ感には舌を巻かざるを得ないだろう。
 

IS▲中央に陣取るディスプレイのサイズは11.9インチ。コンソール部分にはメカニカルスイッチが存在しない
 

現行型Cクラスのパワーユニットは全車電動化されており、レクサス ISの各グレードにおおむね相当するCクラスのグレードと中古車価格は、だいたい下記のとおりとなる。

●IS300(最高出力245psの2L直4ターボ)
→メルセデス・ベンツ C200(同204psの1.5L直4ターボ+同20psのISG)|総額370万~790万円

●IS300h(同178psの2.5L直4+同143psのモーター)
→メルセデス・ベンツ C220d(同200psの2L直4ディーゼルターボ+同20psのISG)|総額400万~740万円

●IS350(同318psの3.5L V6)
→メルセデスAMG C43 4マチック(同421psの2L直4ターボ+同13.6psのRSG)|総額650万~1000万円

●IS500(同481psの5L V6)
→メルセデスAMG C63 S Eパフォーマンス(同476psの2L直4ターボ+同204psのモーター)|総額1000万~1700万円
 

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メルセデス・ベンツ Cクラス(5代目)
 

レクサス ISの代わり③:アウディ A4(5代目・後期型)

前述したBMW 3シリーズおよびメルセデス・ベンツ Cクラスと比べると設計年次は若干古めとなるが、シュッとした雰囲気においては世界トップクラスとなるのが5代目アウディ A4だろう。
 

IS▲こちらが5代目アウディ A4。現在は後継モデルにあたる「アウディ A5」の国内販売がスタートしている
IS▲写真は2020年10月以降の後期型。ブリスターフェンダーが採用され、全幅は前期型より5mmワイドになっている。荷室容量は495L
 

5代目アウディ A4は、2016年2月に上陸したプレミアムDセグメントの4ドアセダン。ボディサイズは全長4760mm×全幅1845mm×全高1410mmで、細部の数字は異なるものの、ざっくり言ってしまえば現行型レクサス ISとおおむね同等のサイズ感だ。

2016年から2020年9月までの前期型は、マイナーチェンジ後のレクサス ISと見比べると若干の古さも感じさせるが、2020年10月以降の大幅改良を受けた後期型であれば、2025年現在の視点で見ても十分以上にスタイリッシュに感じられるエクステリアに変更されている。

そして後期型はインフォテインメントシステムに最新の「MIB3」を採用しており、歩行者検知機能付きの自動緊急ブレーキや渋滞追従支援機能付きアダプティブクルーズコントロールなど、予防安全および運転支援機能も強化された。
 

IS▲後期型のインフォテインメントシステムは最新の「MIB3」を採用。センタースクリーンをタッチパネル式とすることで操作性が向上し、よりシンプルでクリーンなインテリアデザインも実現されている
 

レクサス ISの各グレードにおおむね相当するアウディ A4後期型のグレードと中古車価格は、だいたい下記のとおりである。

●IS300(最高出力245psの2L直4ターボ)
→アウディ A4 45 TFSI(同249psの2L直4ターボ+12Vマイルドハイブリッド)|総額330万~590万円

●IS300h(同178psの2.5L直4+同143psのモーター)
→アウディ A4 40 TDI(同204psの2L直4ディーゼルターボ+12Vマイルドハイブリッド)|総額300万~580万円

●IS350(同318psの3.5L V6)
→アウディ S4 (同354psの3L V6ターボ)|総額480万~830万円

●IS500(同481psの5L V6)
→セダンでは該当なし。ステーションワゴンでもOKならアウディ RS4アバント (同450psの2.9L V6ターボ)|総額780万~1500万円
 

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アウディ A4(5代目) × 2020年10月~
 

レクサス ISの代わり④:BMWアルピナ B3(5代目)

ここまではBMWおよびメルセデス・ベンツ、アウディといった定番ブランドのレギュラーモデルを「ISの代わり」として検討してきた。しかし、レクサス ISの生産終了という大きな悲しみをぶっ飛ばすためには、もっとスペシャルなモデルを検討対象とする方が効果的なのかもしれない。

そう考えた場合の有力候補は、5代目BMWアルピナ B3になるだろう。
 

IS▲こちらがBMWアルピナ B3リムジン アルラット
IS▲ホイールは19インチの「アルピナ・クラシックホイール」が標準。タイヤはピレリPゼロだが、アルピナ認証を意味する「ALP」の刻印が入る専用品。アルピナの場合、認証タイヤ以外は履かないことを強くオススメしたい
 

ご承知のとおりアルピナ・ブルカルト・ボーフェンジーペン社が製造しているBMWアルピナは、BMW社から正式に供給されたレギュラーモデルの機関部分と足回り、内外装などの多くをアルピナの手で徹底的に仕立て直した完成新車。そんなBMWアルピナの現行型3シリーズが、現行G20型BMW 3シリーズをベースとするB3リムジン アルラットだ。

パワーユニットは、BMWの3シリーズではなくM3/M4に搭載されているS58型3L直6ターボがベースで、そのスペックは実に最高出力462ps/最大トルク700N・mという強烈なもの。だが、この車において特筆すべきは、そういった数値ではなく「フィーリング」だろう。

この車の場合、S58型ユニットのフィーリングも足回りの感触も、BMWのレギュラーモデルとは――大変申し訳ないが、まったくの別物。とびきり快適でありながら、とびきりスポーティでもあるという、なんともマジカルな味わいを堪能できてしまうのがアルピナの各モデルであり、特に現行世代であるB3リムジン アルラットは「最高!」といって差し支えない。
 

IS▲超高性能&高額なサルーンだが、インテリアは決して派手ではない。このあたりのアンダーステイトメント(控えめ)なニュアンスがアルピナの持ち味だ
 

そんなBMWアルピナ B3リムジン アルラットの中古車価格は、総額990万~1600万円といったところ。レクサス IS500の新車価格よりも高額だが、これに乗れば、IS生産終了の悲しみも確実にぶっ飛ばすことができるだろう。
 

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BMWアルピナ B3(5代目)
 

レクサス ISの代わり⑤:日産 GT-R(R35型)

レクサスISの不在も、ここまでに提案した4モデルによっておおむね穴埋めできるはずであり、特にBMWアルピナ B3リムジン アルラットは、「ISの代わり」としては決定版であるように思う。

だが同時に「やはりレクサスの代わりは、あくまでも心に日の丸を掲げる国産車に務めてほしい」という切なる思いも、心のどこかにある。

とはいえレクサスブランドの代わりになり得る国産車というのは現状、基本的には存在しないわけだが、たった1車種だけ、有力な候補があることに思い至った。

それはつまり日産 GT-R(R35型)である。
 

IS▲日産 GT-Rがレクサス ISの代わりになる……?
 

日産 GT-R(R35型)についての詳細なご説明は今さら不要であろう。こちらも残念ながら今年8月に生産終了となった、和製スーパースポーツである。

比較的コンパクトな4ドアセダンであるレクサス ISに対し、日産 GT-Rは2ドアクーペであり、スーパースポーツでもある。それゆえ「まったく違うじゃないか!」という抗議の声もあるかもしれないが、まあとりあえず聞いてほしい。レクサス ISと日産 GT-Rには、けっこう似ている部分もあるのだ。

まず、どちらにも密閉型のトランクルームがある。セダンを好むユーザーは、ハッチバックやステーションワゴンのように居室と荷室がつながっていることに拒否感を覚えることが多いはずだが、GT-Rの荷室はセダンと同様の独立式である。居室内の優雅な雰囲気を、車載した荷物が発生する音やにおいなどが損なうことはない。
 

IS▲セダンとある意味同様の独立式トランクを備えているため、セダンと同じく、トランクに入れたモノのにおいなどが居室部分に進入してくることはない。写真は市販前の2017年モデルの海外仕様
 

そしてレクサス ISと日産GT-Rは、どちらも「毎日乗れる車」である。

同じスーパースポーツでもフェラーリやランボルギーニあたりだと、とてもじゃないが毎日乗る気になどなれないが、GT-Rは――特に大幅改良を経た世代は、低中速で走らせている分にはなかなか快適な乗り心地であり、スポーティで特別すぎるインテリアがドライバーに圧迫感のようなものを感じさせることもない。

スーパースポーツではあるが、普通にも乗れる車なのだ。
 

IS▲日産 GT-Rのインテリアは良くも悪くも過剰なスーパースポーツ感が薄いため、毎日気軽に接することもできる
 

さらにレクサス ISと日産GT-Rは、ボディサイズが少し近い。もちろん全長4710mm×全幅1840mm×全高1440mmのレクサス ISに対し、日産 GT-Rは全長4710mm×全幅1895mm×全高1370mmであるため、全幅は50mm以上ワイドである。だが、全長はまったくの同寸であり、全体的に見ても、近年のスーパースポーツとしては小ぶりであるといえる。そのためレクサス ISと同様に、「大きすぎて持て余す」ということはない車なのだ。

そして「存在感」についての評価や感じ方は人それぞれだろうが、日本を代表するプレミアムブランドである「レクサス」と、日本を代表するスーパースポーツである「GT-R」のそれは、両者ともに良好かつ強烈であることだけは間違いないだろう。

もちろん「ISの代わりとしてのGT-R」という考え方は、万人にフィットするもではないだろう。だが、もしも「ん? それはそれで無しではないかも……」と感じたならば、ぜひ日産 GT-Rの中古車もチェックしてみていただきたい。

GT-R史上最大規模の改良を受け、乗り心地が劇的に良くなった2017年モデルも、レクサス IS500クライマックスエディションの新車乗り出し価格+αぐらいの予算で検討可能可能なのだから……!
 

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日産 GT-R(R35型)
文/伊達軍曹 写真/レクサス、BMW、メルセデス・ベンツ、アウディ、アルピナ、日産
※記事内の情報は2025年9月1日時点のものです。
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。