Aクラスセダン ▲新車を買うと総額1500万円を超えるポルシェ カイエンですが、2代目(先代)の中古車なら、モノによっては総額200万円台で狙えるそう。でも「200万円台のポルシェ カイエン」とは買っても大丈夫なものなのか、検討してしましょう!

「総額200万円台のカイエン」に付きまとう期待と不安

超プレミアムSUVでありながら、ポルシェ 911に近いスポーツ性能も併せもったスーパーSUV、ポルシェ カイエン。

そんなポルシェ カイエンはスーパーなだけあって、新車を買うとなると乗り出し価格は1500万円を軽く超えますが、先代にあたる2代目カイエン(2010~2017年)の中古車であれば、総額200万円台から狙うことも可能な市況となっています。

とはいえ「憧れのポルシェ カイエン」が200万円台というのは、ちょっと安すぎるような気がしないでもありません。
 

Aクラスセダン▲いいコンディションのこれが200万円台で入手できるなら言うことなしなのだが……?
 

ということで、総額200万円台の2代目ポルシェ カイエンは本当に買いなのか? あるいは、その他にもオススメの狙い方はあるのか? モデル概要と中古車状況を見ながら検討してみることにしましょう。
 

▼検索条件

カイエン(2代目)
 

モデル概要:911並みの運動性能を誇るプレミアムSUV

2代目ポルシェ カイエンは、日本では2010年3月から受注開始となったポルシェ社のSUV。

従来型(初代)より全長が約50mm長くなったボディのサイズは全長4845mm×全幅1940mm×全高1710mmと大柄ではありますが、素材や部品などを見直すことで、先代比で180kgの減量に成功しています(※数値はカイエンS)。
 

Aクラスセダン▲こちらが2代目ポルシェ カイエン。写真は前期型のベースグレード
Aクラスセダン▲荷室容量は、5名乗車時でも580Lを確保。リアシートを倒せば最大1780Lまで拡大できる
 

登場当初のラインナップは、最高出力300psの3.6L V6自然吸気エンジンを搭載する「カイエン(カーセンサーnet上の登録名は3.6 ティプトロニックS 4WD)」と、同400psの4.8L V8自然吸気の「カイエンS」、そして4.8L V8ツインターボエンジンが最高出力500psをマークする「カイエン ターボ」の3種類。

駆動方式はいずれもフルタイム4WDで、トランスミッションは8速AT。ただ、ベースグレードである「カイエン」には6MTも用意されました。
 

Aクラスセダン▲2代目カイエンのコックピット。基本となるトランスミッションは8速AT
 

2011年2月には、スーパーチャージャー付きの3L V6エンジンにモーターを組み合わせた「S ハイブリッド」を追加。

そして2012年6月には、カイエンSの4.8L V8自然吸気ユニットをベースに最高出力420psまで強化し、さらに専用のスポーティなシャシーも採用した「GTS」も追加されています。
 

Aクラスセダン▲こちらがカイエンGTS

そして2014年7月にはマイナーチェンジを実施。車体前後のデザインを変更するとともに、パワートレインを刷新。カイエンSは、それまでの4.8L V8自然吸気に代えて最高出力420psの3.6L V6ツインターボとなり、カイエン ターボの4.8L V8ツインターボは、それまでの最高出力500psから520psに増強。

ハイブリッドのSハイブリッドはこのタイミングで廃番となり、代わってプラグインハイブリッドの「S E-ハイブリッド」が誕生しました。

「カイエン」と「GTS」も、少し遅れて2014年11月にはマイナーチェンジ型が登場。カイエンの3L V6エンジンは前期型と同一ですが、内外装デザインを変更するとともに、燃費性能が若干向上しました。そしてGTSは、最高出力が従来型比で20ps増しの440psとなる新設計の3.6L V6ツインターボエンジンに刷新されています。
 

Aクラスセダン▲エンジンフードやフェンダー部を含むフロントまわりのデザインと、リアコンビランプやマフラーエンドの形状などが変更された後期型
 

さらに、2015年1月には最高出力570psの4.8L V8ツインターボを搭載する最強グレード「ターボS」を追加し、2017年12月に3代目(現行型)カイエンが登場するまで新車販売が継続された――というのが、2代目ポルシェ カイエンの大まかなモデル概要です。
 

 

中古車状況:緩やかなペースで平均価格がダウンし、気がつけば200万円台突入も間近

2代目ポルシェ カイエンの中古車平均価格は「急激にダウンしている」という状況ではなく、緩やかに、具体的には2024年8月からの1年間で47.3万円下落したという状況。

そして7月時点での平均価格は301.5万円となり、緩やかなちょうどいいペースで「200万円台」が見え始めています。

Aクラスセダン▲2024年8月~2025年7月までの中古車平均支払総額

一方の中古車流通台数は、2025年に入ってからは200~210台付近を横ばいで推移している状況で特段言及すべき部分を見つけることはできません。しかし、実際の市場では総額200万円台で狙える物件の数が増加中で、全体としては「とにかく緩やかなペースで、買いやすい状況へと変わってきている」という印象です。

それでは次章以降、総額200万円台の2代目ポルシェ カイエンは本当に買いなのか? その他のオススメの狙い方も交えつつ、検討してまいりましょう。
 

 

200万円台で探すなら|ベースグレードのコンディションと整備履歴を慎重にチェック

結論から申し上げると、総額200万円台の狙える2代目ポルシェ カイエンは「玉石混交」です。素敵な「玉」が流通していると同時に「石」もあるため、状態などを慎重に見極めたうえで購入することが重要になります。

まず総額200万円台で狙える2代目ポルシェ カイエンの概況は、グレード的には前期型のベースグレード(3L V6エンジン搭載グレード。カーセンサーnetの表記では3.6 ティプトロニックS 4WD)が中心。GTSやターボなどのハイパフォーマンスグレードを狙うのは困難です。
 

Aクラスセダン▲最高出力300psの3.6L V6自然吸気エンジンを搭載する前期型ベースグレード
 

そして、この価格帯で流通しているベースグレード(3.6 ティプトロニックS 4WD)は2010~2013年式が中心で、走行距離は、もちろん具体的な数字は物件によりけりですが、おおむね5万~9万kmぐらいである場合が多くなっています。

こういった「十数年落ちで、走行5万~9万kmぐらいの中古車」のコンディションは、物件によって本当に様々です。ポルシェの車というのは基本的にはかなり頑丈であるため、丁寧に扱われ、なおかつ定期的に点検と消耗部品の交換を行ってきた個体であれば、例えば12年落ちで走行9万kmであったとしても、特に問題はない場合がほとんどです。

しかし逆に、十数年間にわたって雑に扱われ、なおかつ定期的な点検と整備をろくに受けてこなかった個体は、走行4万kmや5万kmぐらいであっても、あちこちがけっこうボロくなっていたりします。

そしておそらくは消耗部品の交換も満足には行われていないため、その消耗部品は、中古車として購入した人が、納車から数ヵ月後に自分で交換する必要が出てくるかもしれません。
 

Aクラスセダン▲快調に走り続けるためには、数年から10年に一度ぐらいの「消耗部品交換」が必須。購入時は、それがきちんと行われてきたかどうかをチェックする必要がある
 

そういった「石=ボロくて手間がかかる物件」をつかまず、「玉=丁寧に扱われてきた物件」を見つけるためには、主には下記のような探し方を心がけるといいでしょう。

1. 内外装に「手荒く扱われた痕跡」がない物件のみを検討対象にする

2. 車内に変なにおいが染み付いている物件はパスする

3. 整備記録簿を確認し、主にはポルシェの正規販売店で車検整備を受け続けてきた物件のみを検討対象にする

4. できれば整備記録簿以外にも、整備に関する「伝票」や「明細書」などが大量に残っている物件を探すようにする

5. 自分の「第六感」を信じ、第一印象がイマイチな物件は、たとえ価格などが魅力的であったとしてもパスする


上記の5つの絞り方で探していけば、きっと「なかなか悪くない総額200万円台のポルシェ カイエン」が見つかるはずです。
 

▼検索条件

カイエン(2代目) × 支払総額300万円未満
 

ハイスペックなカイエンが欲しいなら|GTSまたはターボをお好みで

2代目カイエンの最強グレードであるターボSの流通量は極端に少ないため、「ハイスペックなグレード」としてはGTSまたはターボが検討対象になります。それぞれの具体的なスペックを、いま一度簡単におさらいしておきましょう。

・前期型GTS(2012~2014年):最高出力420psの4.8L V8自然吸気
・後期型GTS(2015~2017年):最高出力440psの3.6L V6ツインターボ
・前期型ターボ(2010~2014年):最高出力500psの4.8L V8ツインターボ
・後期型ターボ(2015~2017年):最高出力520psの4.8L V8ツインターボ

GTSとターボのどちらにするかはお好み次第ですが、基本的には、スポーティで引き締まった乗り味およびビジュアルが好きな人はGTS、ゴージャスでパワフルな世界観がお好みの人はターボ、ということになるでしょう
 

Aクラスセダン▲スポーティな専用シャシーと強力なエンジンを採用しているGTS
Aクラスセダン▲こちらは怒涛の快適高速巡航を大の得意とするターボ
 

そして2025年8月下旬現在の、それぞれの価格&流通状況は下記のとおりです。

・前期型GTS|約8台|総額340万~510万円(注目ゾーンは400万~470万円)
・後期型GTS|約13台|総額440万~830万円(注目ゾーンは470万~600万円)
・前期型ターボ|約12台|総額210万~450万円(注目ゾーンは340万~400万円)
・後期型ターボ|約6台|総額340万~500万円(注目ゾーンは450万円前後)

繰り返しになりますが、これらのうちからどれを選ぶかはお好み次第であり、またご予算次第でもあります。とにかく上記の「注目ゾーン」近辺にて吟味を重ねれば、きっと素敵なGTSまたはターボが手に入るでしょう。
 

▼検索条件

カイエン(2代目) × GTS

▼検索条件

カイエン(2代目) × ターボ
 

ハイブリッド車を狙うなら|爆安物件の電気系は慎重にチェックしたい

2代目ポルシェ カイエンには、大きく分けて2種類のハイブリッド車が存在します。それぞれのスペックを簡単におさらいしておきましょう。

・S ハイブリッド: 最高出力333psのスーパーチャージャー付き3L V6+同47psのモーターとなるハイブリッド車。システム最高出力380ps

・S E-ハイブリッド:最高出力333psのスーパーチャージャー付き3L V6+同95psのモーターとなるプラグインハイブリッド車。システム最高出力416ps。後期型から登場

上記の他、2016年6月にはS E-ハイブリッドの装備内容をより充実させて「S E-ハイブリッド プラチナエディション」という特別仕様車も追加されています。
 

Aクラスセダン▲前期型にラインナップされた「S ハイブリッド」
Aクラスセダン▲後期型から登場したプラグインハイブリッドの「S E-ハイブリッド」。写真は特別仕様車である「S E-ハイブリッド プラチナエディション」
 

で、2代目ポルシェ カイエンのハイブリッド車は流通量が少なめなのですが、それぞれの価格&流通状況はおおむね下記のとおりです。

・S ハイブリッド|約11台|総額150万~230万円
・S E-ハイブリッド|約7台|総額210万~330万円
・S E-ハイブリッド プラチナエディション|約5台|総額300万~490万円

爆安なS ハイブリッドはちょっと気になる存在ですが、爆安なハイブリッド車は、電気関係の部分に異常が生じていないかどうか、慎重に見極めたうえで購入する必要があります。

2代目ポルシェ カイエンのオススメは何といっても純ガソリンエンジン搭載グレードですが、もしもハイブリッド車またはプラグインハイブリッド車を選びたい場合は、くれぐれも慎重に吟味を重ねてください。
 

▼検索条件

カイエン(2代目) × S ハイブリッド

▼検索条件

カイエン(2代目) × S E-ハイブリッド

▼検索条件

カイエン(2代目) × S E-ハイブリッド プラチナエディション
文/伊達軍曹 写真/ポルシェ
※記事内の情報は2025年8月25日時点のものです。
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。