W邸・ガレージハウス + 筒井紀博
カテゴリー: カーライフ
タグ: EDGEが効いている / ガレージハウス
2012/06/13

高さ方向の空間を自在に操る都心の洞窟
「筒井さんの代表作となるような家を……」建築家冥利に尽きる言葉を受け
空間を自在に操りスポーツカーのためのガレージハウスを創りあげた
スポーツカーの環境にこだわり土地探しに2年の歳月を費やした
“caverna”と名付けられたその家は、都内でも有数の高級住宅街にあった。古くからの屋敷や個性的な家が軒を連ねるなかにあっても、W邸はひときわ斬新で抜群の存在感を放っていた。“caverna”とは、イタリア語で「洞窟」という意味。約24坪という土地を最大限に生かすために、縦方向へ空間を広げていることが「洞窟」をイメージさせているという。
ガレージにはAudiが誇るスーパースポーツR8が収められているが、これは撮影のために拝借した広報車両だ。「いつかはスポーツカーを所有したい」というWさんの希望を具現化するために用意をした。
Wさんのガレージに対するこだわりは、土地探しから始まった。今から4年前のことだ。友人の紹介で筒井さんと出会ったWさんは「スポーツカーのための」土地探しを開始した。めぼしい物件が見つかるたびに筒井さんも現地を確認するということを繰り返し、この土地に出会うまで2年という時間を要したという。
ガレージ前の道路幅は8mと広い。これは、スポーツカーの出入りには大切な要件。ガレージのフロアは、白やシルバーのボディカラーをイメージして黒いタイルが敷き詰められている。排気ダクトを屋外へ通すための通気口やホビースペースとガレージを隔てる広い窓ガラスなど、どれもスポーツカーのための造作だ。
玄関から入って正面には、寝室のある地下へ続く階段が。仕事を終えて帰宅すれば、右手に愛車の美しい姿が確認でき、身体を休める寝室へ向かう動線は「洞窟」が与える安らぎをイメージさせる。地下に寝室? と思いがちだが、暗さや閉塞感は皆無。広いテラスの頭上は空まで吹き抜け、まばゆいばかりの光と心地よい風が十分に注ぎ込む。
2階は、リビングルームとキッチン&ダイニングが異なるレベルによって構築されている。フロアの段差には窓が設けられ、ガレージを俯瞰で観察できる。3階には、露天風呂感覚の浴室と緑化されたルーフガーデンがある。“caverna”は、「タテ方向の広がり」を造形だけではなく、巧みに取り入れられる光や風によっても演出されていることがわかる。さらに、その光と風は、時間や季節によって変化することで、空間の魅力を増幅させているのだ。
はたしてこのガレージには、将来どんなスポーツカーが収まることになるのか。その暁には、ぜひとも再訪したいと思わせる“caverna”であった。

W邸・ガレージハウス
建築家:筒井紀博
tel.03-3247-8922 http://www.ktts.jp
所在地:東京都 主要用途:専用住宅
構造:RC 造 規模:地上3階地下1階 敷地面積:80.56㎡ 延床面積:110.85㎡
設計・監理:筒井紀博空間工房/筒井紀博
文・菊谷 聡 text / KIKUTANI Satoshi
写真・木村 博道 photos / KIMURA Hiromichi
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