E 邸・秘密の動線をもつ家 + 北畑栄
カテゴリー: カーライフ
タグ: EDGEが効いている / ガレージハウス
2012/09/06
書斎からガレージに続く秘密の動線
愛用のクルマとオートバイを余裕のある空間で格納し、スキップフロアで構成された巨大ワンルームは、ご夫婦で空間を共有しながらプライバシーを確保する
パートナーの個性を尊重しながら5層のフロアにより広がる室内空間
神奈川県伊勢原市。関東圏の走り屋のメッカである箱根まで1時間圏内。丹沢を越えれば2輪派に人気の高い「道志道」も至近だ。走り好きにとっては絶好のロケーションである。訪れた際、すでにガレージのシャッターは開放され、アーモンドグリーンのMINIがオーバーフェンダーも誇らしげに佇んでいた。その隣にはもう1台の車、カフェレーサー風にカスタマイズされたBMW R100Rが並んでいる。この2台をみても、施主であるEさんがこの土地を選んだ理由は、愛車たちを思い切り走らせるためであろうと想像できる。
ガレージ内部には、メンテナンス用のアイテムがぎっしり。それらはツールボックスに細かく分類・整理されており、いつでもすぐに使えるように管理されている。Eさんの几帳面な人柄が窺える空間だ。ガレージへの動線は、正面のシャッター以外にダイニングルームをつなぐ大きなガラス扉がある。ガレージで愛車と過ごすEさん、ダイニングルームで家事をする奥様、お二人の気配がつねに感じられる距離感を作り出している。しかし、動線はもう1カ所あった。2階にある書斎から直接、直下のガレージへアクセスできる秘密ルートだ。書棚がそのままドアになっていて、手前に引くとガレージに続くハシゴが出現する。サンダーバードか忍者屋敷か。じつに楽しいワクワクする仕掛けだ。
設計担当は建築家の北畑栄さん。Eさんとの出会いは住宅のプロデュース会社の仲介による。設計を依頼するにあたりEさんの希望は、①ガレージとの一体感がある住宅②MINIとオートバイが入る柱のない広いガレージ③理想の空調システムによる快適な室内環境……など。
E邸は2階建ての設計だが、実際は5層で構成されている。1層目はガレージ、2層目はダイニングルーム、3層目はリビングルームと書斎、4層目が寝室、そして5層目がロフトとなる。つまり、全体がひとつの大きなワンルームとなっていて、スキップフロアによりレベルを変えることで各部屋を独立させているのだ。
邸内外の調度品や色合いのコーディネイトは美大出身の奥様に一任。白い雰囲気の家にしたいという奥様の希望から、庭や玄関に植えられる樹木もすべて白い花で統一されている。
夫婦それぞれのプライバシーと趣味を確保したうえで、つねにお互いの気配が感じられる空間。いつまでも身を置いていたい、そんな気持ちにさせる居心地のよいE邸であった。

E邸・秘密の動線をもつ家
建築家・北畑栄
tel.0120-399-354
所在地:神奈川県伊勢原市 主要用途:専用住宅
構造:木造 敷地面積:117.42㎡ 建築面積:68.31㎡ 延床面積:134.63㎡
設計・監理:
北畑栄建築研究所/ザウス株式会社
文・菊谷 聡 text / KIKUTANI Satoshi
写真・高木博史 photos / TAKAGI Hiroshi
日刊カーセンサーの厳選情報をSNSで受け取る
あわせて読みたい
【保存版】ブルカルト・ボーフェンジーペンとアルピナの60年|カーセンサーEDGE 2025年9月号
初めてのポルシェ 911はコレを! モダンクラシックな「996型」と「997型」の魅力と現状と真実を専門店に聞いてきた
2157psの新開発V12クアッドターボエンジンを搭載! イタリアン・スーパーカーの聖地で誕生した新プロジェクトの行方は?【スーパーカーにまつわる不思議を考える】
【試乗】新型 ポルシェ マカン|BEVでもエンジン車と変わらぬポルシェらしい自然なドライブフィールが味わえる!!
【試乗】新型 アウディ Q6 e-tron|快適な乗り心地と扱いやすさで幅広い層にアピールする最新BEV!
【試乗】新型 ランドローバー ディフェンダー オクタ|オフロードでもオンロードでも “究極のパフォーマンス”を発揮する635psのラリーベースモデル
【試乗】新型 メルセデスAMG GT63 S Eパフォーマンス 4ドアクーペ|AMG謹製V8エンジンを感じさせてくれるパフォーマンス志向のPHEVモデル
【試乗】新型 フィアット 600ハイブリッド|ドライバーをとりこにするハンドリング、これぞイタリアンコンパクト!
~スポーツカーの究極の系譜~ 911は 役付きか? カレラか?【カーセンサーEDGE 2025年8月号】
マセラティのCEOがフェラーリへの納車を“わざわざ”SNSにポストした意味とは?【スーパーカーにまつわる不思議を考える】