カスタマイズは敬遠していたけれど……?【S660編・東京スマート軽ライフ】
2016/10/25
自動車ライター、塩見智さんが軽自動車に約1ヵ月間乗り、東京での軽ライフをリポートする「東京スマート軽ライフ」。高級車が溢れる東京での軽ライフを赤裸々につづっていく。今回はS660編の第3回。

今回からはカスタマイズされたS660での軽ライフ
ここまで東京スマート軽ライフでは、いずれもノーマルの車をリポートしてきた。が、軽自動車というのは年に200万台近くが売れる大人気ジャンルだ。どのモデルを選んでもしばしば路上で同じモデルとすれ違う。これをうれしいと感じる人もいるだろうし、逆にちょっとイヤだなと感じる人もいるだろう。僕はどちらかというとうれしくない。S660はじゃんじゃん売れて街中に溢れるというモデルではないが、それでもちょくちょく見かける。小さくて逆に目立つし。
自分のと同じモデルとすれ違うのがイヤで、他と違う特別な1台に仕上げたいと考える人も少なくないはずだ。というわけで、ホンダ車のカスタマイズパーツやモータースポーツ用パーツを開発しているホンダアクセスを訪ね、S660をカスタマイズしたデモカーを試乗させてもらい、ノーマルと比較した。

カスタマイズって意外とありかも
ホンダアクセスはホンダ車にディーラーオプションとして設定されるカーナビやフロアマットなどの用品を取り扱うホンダのグループ企業だ。1994年に初代NSX用のアルミホイールを「モデューロ」ブランドで手がけて以来、カスタマイズパーツの開発を本格化させた。また「ドラゴ・モデューロ・ホンダ・レーシング」として国内最高峰レースのスーパーGTにスポンサーというかたちで参戦している。
デモカーは、デモカーだけあってフルカスタマイズされている。車両価格226万1000円(プレミアムホワイトパール塗装などのメーカーオプション付き)に対し、ディーラーオプションとして合計113万3481円分のパーツが装着されていた。しめて339万4481円となるが、これは盛れるだけ盛ったデモカーの価格であり、現実的にはパーツを厳選して装着するケースがほとんどだろう。
まず目につくのがブラックのロールトップに代えて装着されたボルドーロールトップ(12万9600円)。ボルドー色しかないのでボディカラーを選ぶが、ホワイトのボディにはよく似合う。高級感が増す。外観はこの他に、フロントフェイスキット(10万8000円)、リアロアバンパー(8万4240円)、速度に応じて昇降するアクティブスポイラー(16万2000円)などが装着されていた。だが価格のわりに最も効果的に印象を変化させるのはレーシングストライプのデカール(1万6200円)だろう。どれもディーラーで装着可能なオプションだけあって品質が高く、取って付けた感がない。
足回りはアルミホイール(4本で12万9600円)、サスペンションキット(13万8240円)に加え、ブレーキローターとパッドも専用パーツが取り付けられている。専用のスプリングとダンパーからなるサスペンションキットは、ノーマルよりも引き締められた印象ではあるが、跳ねるような動きは皆無で、微小な入力に対してもダンパーがよく仕事をしている。S660をスポーツカーらしく走らせたい人にはオススメ。

ホンダアクセス営業部の石井裕さんによると、サスペンションにせよエアロパーツにせよ、カタログで説明するだけでは興味をもってもらえないことが多いが、カスタマイズされた車を実際に見たり試乗したりすると、高い確率で気に入ってもられるそうだ。すべてのディーラーにカスタマイズ車を置いてもらうわけにいかず、なかなか体験してもらえないのがもどかしいという。確かに僕もサスペンションキットと聞いて、ローダウンが目的で乗り心地は悪化するパターンかなと想像していたが、実際には乗り心地は(引き締められているものの)悪化せず、ハンドリングはダイレクト感が増す好印象なものだった。
竹槍出っ歯は極端にせよ、エアロパーツと聞くと44歳の僕を含むある世代以上の大人はなんとなく上品ではない方向をイメージしてしまいがちだが、それは相当古い考えなのかもしれない。また、カスタマイズは何も購入と同時に実施しなくてはならないということはない。まずはノーマルで乗って、必要と感じる部分をイジって好みに仕上げれば、1台を二度、三度と楽しめる。長く楽しむという点では、カスタマイズというのは良い選択ではないだろうか。
モデューロS660デモカーの装着パーツ一覧
<足回り>
・サスペンション(13万8240円)
・スポーツブレーキパッド(3万7800円)
・ドリルドディスクローター(6万4800円)
・アルミホイール(前輪用15インチ×5J<3万1320円/本>、後輪用16インチ×6J<3万3480円/本>)
など
<エクステリア>
・アクティブスポイラー(16万2000円)
・フロントフェイスキット(10万8000円)
・リアロアバンパー(8万4240円)
・LEDフォグランプ(3万240円)
・ボルドーロールトップ(12万9600円)
・デカール(1万6200円)
など
<インテリア>
・ドアライニングパネル(3万240円)
・シフトノブ&シフトブーツ(2万5380円)
・助手席側ドリンクホルダー(5940円)
・サイドステップガーニッシュ(1万9440円)
など
合計113万3481円(車両価格226万1000円)※金額はすべて税込
【筆者プロフィール】
1972年、岡山県生まれ。自動車雑誌編集部を経て、フリーランスの自動車ライターへ。軽自動車好き。SUV好き。「カーセンサーnet」をはじめ、「GQ Japan」「GOETHE」「webCG」「carview!」「ゴルフダイジェストオンライン」などにて執筆中。
【関連リンク】
日刊カーセンサーの厳選情報をSNSで受け取る
あわせて読みたい
えっ、あのフリードが新車に近いのに250万円以下で狙えるの? 大人気ミニバンの中古車状況やオススメの狙い方を解説!
日々のチョイ乗り車を探しているけど、EVは眼中にない! っていう方、損はさせないから聞いてほしい。日常使いでも超優秀な大容量EV「N-VAN e:」の話
「私らしさ」が詰まったN-WGNはお父さんからの贈りもの
ホンダ N-ONE e:がかわいすぎる! でも……EVはキツイなら「EVじゃないN-ONE」はいかが?
えっ、現行型ジムニーが100万円台前半から買える? 流通台数も4000台を突破した中古車状況、オススメの選び方を解説!
憧れのベンツデビューなら、Eクラスワゴンを狙うべし! 中古車平均価格が1年で130万円下落中のプレミアムワゴン、オススメの選び方は?
コンパクトSUVオススメ5選|高級感あるお得な国産車をセレクト! 新型EV「eビターラ」に負けず劣らずなモデルとは?
ホンダ シビックタイプR(FK8型)の中古車価格が過去最安に! 人気国産スポーツカー、今オススメの狙い方は?
次期型シビックにも採用か? ホンダの次世代パワートレインを大胆予想
新型日産 マイクラが待ちきれない人に贈る「今すぐ買えるコレ、代わりにどうですか?」5選