足元に3台の愛車が滑り込む、空に浮かぶ建築家の自邸【EDGE HOUSE】
2019/08/04
▲西側が公道、北側が狭い路地に面する角地(写真手前側)。それぞれの方角にガレージがあり、東側と南側は隣家が迫る。エアコンの室外機やガス給湯器は見えないところに配置してスッキリした見た目にしている空間効率と暮らしやすさを高めたらせん構造
大使館が並ぶ閑静な都心部。決して広いとは言えない約25坪の土地に、まるで空に浮かぶように足元を浮かせて、そこに車を収める独創的な家がある。
施主であり建築家でもある佐藤尚巳さんが、ここにどうしても収めたかったという車は「絶対的な速度だけが走る楽しさじゃない、コーナーを曲がるだけでも気持ちがいいことを教えてくれた」というプジョー RCZと、仕事用のシトロエン C4ピカソ、そして奥さま用のBMW 320iグランドツーリングの3台。
逆三角形の構造物が地面に突き刺さるかのような建物をあらためて眺めると、西側ガレージの天井は、左右で高さが微妙に異なっており、北側も窓の位置がズレている。
その理由は、建物の中央にある玄関から中に入ると明らかになる。
らせんをゆるやかに描く階段が建物の上下を貫き、上るにつれて1.5階、2階、2.5階…という具合に大小のフロアが次々と現れる。
そのズレが、外観上の天井や窓のズレを生んでいる。とはいえ、逆L字型に配されたLDKは、ほぼワンフロア分の面積ゆえ、家族4人にとって十分な広さだ(リビングのみステップ3段分ほどフロアが高い)。
その他のフロアもクローゼット、浴室&洗面室、トイレ、寝室など与えられた暮らしの用を見事に果たし、かつ生活動線に沿って配されている。
3台を収め、約25坪の空間を余すことなく活用するためのらせん構造。
いくつもの機能を果たした結果が見た目の美も生んだ、足元に愛車を収め、都心の空に浮かぶ住宅だ。
▲狭い路地に面する北側の駐車場にはプジョー RCZとBMW 320グランドツーリング(取材時は外出中)が収まる。よく見ると左右の窓の高さをずらしているのがわかる
▲西側には、仕事で荷物を載せることと、ガレージの奥行きからシトロエン C4ピカソを止めている。こちらも左右で窓の高さ、さらにガレージの天井の高さも異なっている
▲西側から眺めると、2階にある窓の高さが左右で異なることが一目瞭然だ
▲左の扉が玄関。右側は収納スペースの扉で、ここにゴルフバッグなど趣味のグッズを収めておけば車への積み降ろしが容易
▲玄関を入るとすぐに階段があり、半階分ほど上がったところで右に曲がれば2階のLDKへと続く。突き当たりの左側には壁に同化した扉があり、その奥はクローゼットになっている。動線を考え、コートなども収まる。このクローゼットの床の一部は、ガレージに扉がある収納スペースの天井とつながり、行き来が可能
▲上から見下ろすと、階段がらせん状に貫いていることがよくわかる。「わずかな段差を生活空間に積極的に取り入れ、日々足腰が鍛えられる究極の『バリアフル住宅』に」と佐藤さん
▲3階から上の階段には手すり、それ以外は手すりの代わりに階段の内側にタテにバーを用意。「バーを握って遠心力を使いながら体を振ると、勢いよく階段を上り降りできます」
▲奥の壁沿いにガスコンロなどをまとめ、手前にT字型にシンクを配置した造作のキッチン。一番手前がダイニングテーブル
▲モザイク大理石が好きだという佐藤さんはそれを生かすような収納材や家電選びにこだわった。奥さまが奏でるピアノも置かれている
▲ダイニングを右に3段上ったスペースがリビング。キッチン・ダイニングと空間的には連なり開放感がありつつも床の色や素材などを変え、あえてスペースを区切っている。どのフロアも四隅に窓があるので、家中に光が届く■主要用途:専用住宅
■構造:鉄筋コンクリート造
■敷地面積:81.65㎡
■建築面積:56.62㎡
■延床面積:175.50㎡
■設計・監理:佐藤尚巳建築研究所
※カーセンサーEDGE 2019年9月号(2019年7月26日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています
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