ロードスターでもっと楽しく走りたいと思い始めた初級者へ! メンテナンスと段階的なバージョンアップの方法&予算を聞いてきました
2019/08/19

最近ロードスターを購入する若者が増えているんです!
「世界で最も多く生産された2人乗りの小型オープンスポーツカー」としてギネス記録に認定、その後も記録を更新し続けているロードスター。
初代NA型の販売からちょうど30年が経過したこともあり、中古車としての流通量は豊富、かつ、価格が手頃な物件も多く存在している人気車です。
そのため、最近では若者の購入者も多く、初めてのマイカーに……なんてケースも結構あるそうで。手軽に買える車種だからこそ起きるお悩みも同時に増えているとのこと。
例えば、古いモデルを買ったけど、メンテナンスってディーラーでできるの……?
例えば、安かったから遠方にある車両を買ったけど日々の点検はどこに出そう……??
例えば、突然不具合が生じたので、今すぐ近くで見てほしい………とか。
もちろん、お悩みだけでなく嬉しい相談も多いそうなんです。
「買ってみたらすっごく楽しい! もっと気持ちよく、もっと速く走れるようにいじってみたい!」なんて、買ってから想像以上の楽しみを感じて思う、あんなことやそんなこと。
そんなお悩みやご希望を応えるべく、埼玉でNB、NC型のロードスターをメインで販売している「ガレージ123」の根岸さんに、日々のメンテナンスや手順、費用についていろいろ伺ってまいりました!

いじれば速くなる? でもお金も限りがあるし段階的に……
ガレージ123 根岸さん(以下、根岸さん): もちろんありますけど、少し状況を絞ってお伝えしますね。
まず、サーキット専用の車を買うのではなく、普段乗っている車をサーキットでも走らせたいという方が大半です、ロードスターを買っている方は。
根岸さん: だとすると、最低限「壊さないように」というのが大前提となってきます。そして、みなさん予算がありますので、段階的に手を入れていく方が現実的です。
根岸さん: では。 車の性能を100パーセント引き出すようにすることです、車はノーマルでも構わないので。
具体的にはオイルのリフレッシュを最初にお勧めしております。ミッションやデフなどのオイルを交換して車が本来の性能を発揮できることが重要です。この作業は全交換で2~3万円の予算感でできます。
レース用の高いスペックのものを使うこともできますが、街乗りレベルであれば純正相当で十分と弊社は考えております。
根岸さん: 人間でいえば血液に当たるでしょうか。筋トレする前に健康じゃなきゃ話にならないので。

速く走るためには止まれることが重要!?
根岸さん: みなさん速く走るためにはスピードをアップさせることを想像されるのですが、車を自由に操りサーキットでタイムを伸ばすために重要なのはブレーキ、つまり「止まる」という性能です。
そもそもスピードを出せるようになればなるほど、止まれるようになっていないと大きな事故につながる可能性があります。
実際サーキットを走るときに、ストレートで加速するのはアクセルを一気に踏むだけですが、コーナー入るときにはどのタイミングでどれくらいの強さでブレーキ踏むのか、踏み続けるのかが車を綺麗に運転してタイムに影響するもっとも重要なポイントですよね。ブレーキが利かないというのは本当に怖い……。
根岸さん: はい、なのでこちらも地味ですが、ブレーキまわりではローターやパッドのリフレッシュをオススメしています。純正相当だと1万円前後、パッドを強化する場合はステージにも寄りますが2万円前後からご案内可能です。

いよいよ足回りを強化! 見た目も変わってきます♪
根岸さん: ここまでの工程を我慢して仕上げられたら、次は速さや見た目が変わる足回りです。
根岸さん: 状況により変わりますが、ご相談後試走させていただき、ご提案させていただいております。またアライメントが狂っている場合には、アライメント調整のご提案もいたします。アライメント調整は2万円前後で承ります。
ホイールのサイズ感も考慮いたしますが、弊社ではブリッツさんのをおススメしており、取付やアライメント調整を含めおおよそ15万円~でご案内しております。
オイルやブレーキ関連のリフレッシュなどをすっ飛ばしてまず車高調! ってなると、車を走らせる楽しさや手を入れたときの変化を感じ取れないまま、イキナリ15万円という予算の壁に断念するのもよくわかります。まずは性能を引き出しつつ安全に楽しみながら、このステップの予算と相談していきたいですね。

消耗品のタイヤはレベルに応じた購入を!
根岸さん: 最後の工程というわけではないですが、サーキットで走るとかなりの勢いで消耗するタイヤは定期的に交換が必要になります。
街乗りメインであれば、高額なスポーツ用タイヤではなく街乗り用のタイヤで十分だと考えております。
ウチで気軽に交換できる街乗り用としてオススメしているタイヤだと、海外製で4本2万円のものがあります。自分もこれでサーキットを走ることはあります。もちろん、スポーツ走行用のハイグリップタイヤの場合はタイムが変わりますし、限界性能の違いは当然ありますが。
※根岸さんのロードスターでは、タイヤがレーススペックのときと約3秒の差が出る(筑波サーキットコース2000の場合)
他に手を入れていく部分はありますか?
根岸さん: あとは好みの部分で分岐していきますし、普段使いとのトレードオフを理解しながら考えた方が良いです。
例えば、オープンでサーキットを走る場合はロールケージが必要となります。ロードスターの場合剛性アップパーツがタイムに反映するとも限りませんので、ご自分のスタイルに合ったパーツ選択も重要です。
他にも、バケットシートやハーネスなどは、サーキットでのホールド性を格段に上げてくれますが、普段の乗り心地や乗り降りの手軽さが大幅に損なわれますね。
また、当店では吸排気系はオーダーがない限りオススメしていません。住んでる周りの方への配慮が必要な部分ですし、見た目の変化に比べて圧倒的に警察に止められることが多くなりますから……。
根岸さん: とにもかくにも運転技術を学んでいくことが楽しさに直結します。前よりこうやって運転できた! とか、もっとここでこうしたいからこの部分を強化したい! って欲が自然と湧いてきますから。
当店でも時々実施しますが、プロが教えてくれる走行会などに参加するのは良い手だと思いますよ。
まずは、車がもつ性能を100パーセント引き出すためにオイルをリフレッシュする、そうすれば壊れにくくもなり、運転技術を学ぶのにはもってこい。
次に、スピードを上げていっても安全に走行ができるようにブレーキ関連をケアする。
最後に、車の中でも路面に近い足回りやタイヤをレベルに応じて強化していく。
……手順に合わせて予算感もアップしていくので、やっぱり順を追うことが重要ですね。
根岸さん: いわゆるチューニングという世界とは少し別だと思いますが、段階的に強化していけるので無理に一気に予算をかける必要はありません。自分も車も一緒に、少しずつレベルアップしていく楽しさがきっとありますよ!


カーセンサー編集長
西村泰宏
カーセンサー編集長 兼 リクルート自動車総研所長。車メディアを自動車好きだけでなく、車を買うすべての人の読み物に変革すべく日々の仕事に従事。愛車はKJチェロキーと986ボクスターの2台で、クロカンとオープンカーのハイブリッド生活を満喫中。2児の父で、チャイルドシート、ジュニアシートはRECAROを装備。好きなものはスニーカー。
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