スローライフにぴったり合う「すぎのいえ」【EDGE HOUSE】
2019/12/29
▲外板の杉材は奥様の好みで黒色に。建てたばかりの頃は、近所の人に「カフェか何か?」と間違えられたそうだ。普段の足はマニュアルトランスミッションのフィアット パンダ夫婦の写真から見えた理想のライフスタイル
施主のW夫妻は、バイクに乗って北海道や長野などにキャンプに出掛けるというアウトドア派。最近でこそ「疲れるから(笑)」と、奥様はあまり同行しなくなったが、Wさんは今も友人と頻繁に出掛けているそうだ。
ツーリング以外でもご夫婦でよく国内外を旅行するようで、設計を担当した建築家の佐藤さんは「旅行先で撮った家や景色の写真をたくさん見せてもらったことで、お2人が望むライフスタイルがとてもよく理解できました」という。
そのため設計は「ファーストプランでドンピシャ(Wさん)」だったそうだ。この家を建てた当時のWさんのお仕事は最先端の技術職。だからなのか、ローテクな生活に憧れを抱いていて、奥様も「木のぬくもりのある家がいい」と希望。
家の外板や柱、梁、天井はすべて地元、福島県産の杉を使っている。リビングには薪ストーブもあり、薪は知人の山で自ら伐採しているとか。
インターメカニカ製の356が佇むスペースは、正確にはガレージではなく、Wさんの趣味部屋だ。
「ここに関しては、佐藤さんに『箱だけ用意してください。あとは自分でやりますから』とお願いしました」。
壁は海外の蚤の市で集めた車関係のグッズで埋め尽くされている。建ててから12年、自分のペースで少しずつ、今もゆっくりとその姿を成長させている。
実はWさん、今年から勤め先を辞め、新たにローテクな仕事に挑戦中だ。憧れから始めたスローライフが、ようやく人生そのものになりつつある。
施主の希望:
趣味の話ばかりしていたのにピッタリな家ができた
▲インターメカニカの356。建ててから2年後に憧れの車を手に入れることができた。日本のナンバープレートは取得済みだが止めているときはドイツで取得したプレートを付けている建築家の佐藤さんとは最初に趣味の話とか、こういう暮らしって良いよねとか、そういう話がほとんどでした。
その中で車の置ける趣味部屋が欲しいこと、それがどこからでも見えること、リビングからすぐ庭に下りられること、木をふんだんに使った山小屋みたいな家……と、いろいろ要望を出したのだと思います。
間取りは最初に提示された案のまま。あとは細かな仕様を詰めていくだけとスムーズで、本当に助かりました。
建築家のこだわり:
いつも依頼主になったつもりでどんな家がいいかを考える
▲2台のBMW製バイクも夫婦の愛車。キャンプへ行くときはバイクか、軽トラが多いというつねに施主になりきって、どんな家が欲しいのかを考え、それを実現するプランを提案します。
Wさんの場合、最初にお願いした質問票に対して、写真をたくさん添えるなど細かく丁寧に回答していただきました。それを読んだだけでどんな世界観を望んでいらっしゃるのかがよくわかりました。
建築的には、例えば玄関は天井を低くしてリビングに入ると天井が抜けるというように、空間にメリハリをつけるようにしました。
▲趣味部屋の奥には、車好きな友人たちと楽しい時間を過ごすためのラウンジがある。ソファはスペア用として以前に手に入れたパンダの後部座席を利用している
▲趣味部屋から2階へ上がる階段。手前にある歩行者用の信号機は、ドイツの蚤の市で入手
▲ミニカーはおもにヨーロッパへ旅行に行った際に購入。飾るショーケースは友人からもらった
▲ウッドデッキと床が繋がるLDK。庭や趣味部屋がよく見えるように、大きなガラスを使った特注の引き違い戸を備える
▲趣味部屋に隣接する奥様の趣味庭。Wさんの趣味部屋同様に日々成長中
▲テーブル前に鎮座するのは家が完成してから住みついた元野良猫の「にゃんたろうさん」
▲パンダの奥にあるドアが本来の玄関。庭や玄関、趣味部屋経由と、LDKへのアクセスが良すぎるため「どこで靴を脱いだか忘れる」そうだ■主要用途:専用住宅
■構造:木造在来工法
■敷地面積:322.50㎡
■建築面積:141.03㎡
■延床面積:166.35㎡
■設計・監理:佐藤大建築事務所
■TEL:0246-88-8531
※カーセンサーEDGE 2020年2月号(2019年12月27日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています
【関連リンク】
日刊カーセンサーの厳選情報をSNSで受け取る
あわせて読みたい
“日本の誇り” 日産 R35 GT-Rは果たしてスーパーカーなのか?【スーパーカーにまつわる不思議を考える】
’07 フェラーリ F430|空力とヘリテージが息づくV8ミッドシップ【名車への道】
おトク感重視ならあえて輸入車狙いもアリ? 中古車ならではの値落ち率に注目せよ!【中古車購入実態調査】
若い世代は人と同じ車はNG? 周りとちょっと違う個性的な1台を中古車で【中古車購入実態調査】
’73 シトロエン DS|独自のデザインと乗り心地、そのすべてに“哲学”がある【名車への道】
フェラーリの維持費ってどれくらいかかるの? そんなリアルな疑問、専門店に聞いてきた!
~300万では選べない、1000万では高すぎる~ 600万円で探せる一度は乗っておくべきクルマ【カーセンサーEDGE 2025年11月号】
マセラティ MC12ストラダーレ最高額落札の盛り上がりの陰で、マクラーレンの“最終車両”コレクションがひっそりと販売されていた!?
エントリーモデルとして成功を収めたフェラーリの“V8フロントエンジン”の系譜とは【スーパーカーにまつわる不思議を考える】
BMWのMとは違う“絶妙”な味を堪能できるオススメの「BMWアルピナ」モデル5選【2025年最新版】









