木やRCなどの素材感と色合いが、ガレージと渾然一体となった家【EDGE HOUSE】
2020/10/24

気づくとガレージに長居する、家の中で一番好きな“部屋”
「もしガレージを作れないなら家は建てていなかった」と施主のMさんはいう。今でも父親が20年ほど前に建てた家に住み続けていた、と。
横浜市の丘の上の住宅街。敷地は約30坪。周囲の家々も同じようなサイズで、車があっても小さなカーポートを設けるのがほとんどなのでガレージは難しいと思っていた。
「カーポートだったら、家を建てようとは思わなかったです」とMさん。
欲しかったのは車を止めるスペースではなく、高校生の頃から憧れていたガレージハウス。ある日、たまたま知人が建築家の松永さんを紹介してくれて、とりあえず自宅を見てもらうことになった。
松永さんは、傾斜地を生かせば半地下のガレージが作れると気づき、あっという間に頭の中に家の構想が浮かんだ。
ガレージの上に重ねるリビングダイニングは、玄関よりも少し高い位置に。この各階の段差を少しずつずらしたスキップフロアがいい。空間を仕切るのは扉や壁ではなく、フロアの段差。それなら土地の面積以上に開放感のある広い空間も作れるし、吹き抜けのリビングダイニングに大きな梁や耐力壁を使えば、柱のないリビングができる。
「ここならガレージを作れますよ」と松永さん。
それを聞いたMさんが「だったらこんなガレージがいい」「インテリアは……」。こんなふうに2人のキャッチボールが始まった。




ガレージと居住空間が繋がる、居心地のよい空間。
2人でショールームまで出掛けて壁材を選ぶなど、インテリアにはこだわった。だからリビングはMさんのお気に入りの場所。
だが「ガレージにいる時間が一番好き」という。
ガレージハウスを好きになったきっかけというものはなく、気づいたらガレージハウスの雑誌をよく手にするようになっていたそうだ。
「雑誌や映画など、当時のカルチャーの影響でしょうね」
多感な中高生時代は90年代。いわゆるアメカジブームで、街にはヒップホップやR&Bといった音楽が流れ、スケボーやBMXが人気だった。こうしたアメリカンカルチャーにガレージは付きもの。そんなアメリカのガレージライフが、恐らく自然と様々な映像や写真に映り込んでいたのだろう。
「ガレージで何かをしたいわけでなく、そこにいることが好きなんです」
ふとタバコを吸いに行くこともあれば、晴れた日には車を表に出して洗車したくなることもある。ガレージ内のシンクを起点に庭に水を撒いたり、草むしりをするガレージライフ。
大学生の頃、欲しかったけれどつい買いそびれてしまった車があるそうだ。サニーのトラック、いわゆるサニトラだ。
「当時は安かったし、いつでも買えると思っていたら……」
旧車ブームのあおりで価格が高騰。今ではちょっと手を出しづらいという。しかしMさんのガレージライフには、確かにピッタリな1台だ。




■所在地:神奈川県横浜市
■主要用途:専用住宅
■構造:木造(ガレージはRC造)
■敷地面積:100.26 ㎡
■建築面積:44.71 ㎡
■延床面積:98.16 ㎡
■設計・監理:松永 基(エムズワークス)
■TEL:045-680-5339
※カーセンサーEDGE 2020年12月号(2020年10月27日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています
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