国産中古スポーツカー人気のリアル! ネット情報だけで1880万円のチューンドGT-Rが買われる現場に密着!
カテゴリー: カーライフ
タグ: 日産 / クーペ / スカイラインGT-R / EDGEが効いている / 小沢コージ / c!
2022/08/20
▲お邪魔したのは東京都八王子市にあるマーキュリーエンタープライズ。なるほど、ドリフトマシンに特化したお店で、製作途中の車も展示されていた自動車、中古車の世界で疑問に感じることを、自動車評論家の小沢コージが検証する当コーナー。今回のテーマは高額になった中古の国産スポーツカー、しかもバリバリにチューニングした日産 スカイラインGT-Rをどんな人が買っているのかということ。ひょんなことから訪れたチャンスを生かし、小沢コージが現車確認係として八王子の中古車ショップを訪問した。そこで知った衝撃の事実とは……。
一度も現車を見ることなくGT-Rを買う海外の猛者
マジか……日本のスポーツカーが海外で人気なのは聞いていたけど、ホントにこんな人がいるとは……っていう、リアル商談に立ち会いましたわ。よく聞く相場高騰するスカイラインGT-Rの話。しかも詳細不明のカスタム中古車を、1880万円という値段で、実車を見ないで買っちゃうリッチなグアム人のお話です。
「相談があるのですが……」と小沢に話がきたのは今年の3月頃。
「グアムの友人が東京八王子市にあるカーショップで、R34のスカイラインGT-Rを商談中なんです。デポジットを払う準備もできているのですが、一応現車も確認しておこうかという話になってまして。自分もグアムにいて見にいけないので、誠にずうずうしいお願いですが、小沢さん、またはお知り合いの方で時間のあるときに一度、実車を見に行っていただくことは可能でしょうか?」というもの。
相手はグアム在住の山田さん(仮名)で、小沢がグアムでサッカーキャンプをやるときにいつも試合や打ち上げのセッティングを快くやっていただく現地在住日本人。
お世話になってるし、二つ返事で「時間ができたら行きましょう」となったわけであります。
だだし、気になったのが当のR34GT-Rのスペック、そして状態。走行距離9万kmに加えて「HKS製2.8Lキット、NAPRECハイレス、N1ブロック、HKS F-CON V-Pro3.4現車セッティング済み、NISMOエアロ」っていう詳細がすごい。完璧カスタムってかドリ車じゃないのよ! フルノーマルで低走行の25年落ち買うんならともかく、素性のよく分からないカスタムカーを1880万円で買おうとするとは……それも外国の人が! 知り合いの中古車屋に相談しても「なんだったらフルノーマルの低年式紹介しますけど」と言うばかり。
しかし、山田さんに聞くと違うのよね。
「自分も1880万円で極東のカスタムGT-Rを買うグアム人の気持ちは分からないんですが、彼らいわく『これがいいんだよ』と」
今、グアムのお金持ちの間で25年ルール(アメリカは25年経った外国製の中古車を無条件に輸入できる)をクリアしたカスタムカーが流行っている。山田さんが続ける。
「彼らは2台買って1台は自分の街乗り用、1台は完璧に仕上げてプロドライバーを乗せてサーキットでレースするんですよ。しかも、このR34がアメリカに輸入できるのは2024年なんで、今買って塩漬けしておいて実際に乗るのは2年後。お金持ちとはいえ、やること違いますよ。正直、私には理解できません(笑)」
▲HKSやNISMO、N1ブロックという単語は知っていても、その価値や人気を知らないため、販売店のスタッフにレクチャーを受ける。性能や走行距離からいえばかなりの買い得なのだという
▲取材兼、代理人として現車確認をする身なので、こまかく内装の状態などを撮影。しかし、お店を訪れたときには写真を待たずして、すでにそのグアム人は購入は決めていたという。そんなことがこの金額の中古車で起こるとは……1880万円のドリフト仕様のGT-Rとはどんな車なのか……
論より証拠、小沢行ってきました。すると当のショップさん(マーキュリーエンタープライズ)は失礼ながら想像していたより立派な店構えで、電話にも丁寧に出られるし、応答もしっかりしてる。もちろん写真どおりの車が用意されていました。
個人的には1880万円だけに、もしや中古車とは思えないほどピカピカかなのか……と思いきや、外装はそれなりにヤレてるし、ドアのフチはガードレールにぶつけたのか、塗装欠けもしてる。内装は走ってる割にはキレイだが傷&スレあり。肝心のエンジンのカスタム具合は分かりませんが、なによりN1ブロックの2.8L仕様で過給圧次第じゃパワーこそ出そうだけど、クランキングは時間かかったし、アイドリングは不安定で個人的には時の流れをしっかり感じた次第。
いろいろ話を聞いてみると、マーキュリーエンタープライズの社長は自らがドリフトドライバーで、対応してくれた若い担当者君も現役ドリフターとのこと。彼いわく「元のオーナーは中東の20~30代の若者で、留学に来ていたリッチな学生らしい」。カスタム前からこの車の状態を知ってるそうで、どうイジったかはほぼ把握しており、本来600馬力以上は余裕で出る仕様なのだとか。
元オーナーは街中でしか走らなかったそうで、改造して3万kmぐらい走り、その後エンジンをオーバーホールし、そこから数百km程度の走行しかしていないという状態なんだとか。
しかし、ぶっちゃけ小沢だったらこれは買いませんわ。怖すぎて。もちろん本気でドリフトやるような人だったらN1ブロックとかの価値を知ってるんだろうけど。でも、日本から遠く離れたグアムの人が、コイツをネットの情報と車マニアでもない現地日本人の友人の協力だけで買っちゃうなんてぶったまげるね。
いろんな意味で驚きであり、日本とアメリカのトレンドおよび経済格差を感じた次第。でも、日本人としては嬉しい「海外では日本のスポーツカーがとにかく人気」という実情もリアルに体験した。オレ達が想像もしていないところで、想像もしていないものが人気爆発して価格高騰しているんですなぁ。
バブルの真っ只中、日本人が有名絵画を買いまくったりでコロンビアピクチャーズを買収しちゃった頃が懐かしいですってホント。
▲チューニングされた車両を「買い得」と考えるのか「不安要素」と考えるのかは人それぞれだが、日本人かつオッサン世代だとどうしてもやや不安の方が勝ってくる。しかし、グアムの強者にはまったく迷いはなかったようだ
▲我々は現地でお店のスタッフのしっかりした対応を受け、車両状態について教えてもらったからいいものの、異国の地から1880万円もの大金を払って国産の中古スポーツカーをネット情報だけで買う人がいることには、ただただ驚かされた……▼検索条件
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