ロー&ワイドに魅了された、オーナーと建築家【EDGE HOUSE】
カテゴリー: カーライフ
タグ: フェラーリ / EDGEが効いている / ガレージハウス
2023/05/08
▲垂れ壁(天井から下方へ垂れ下がるような壁)によって生まれた横長の開口部。ほぼすべての空間がこの横長の開口部によって繋げられている。ソファの隣にある458スパイダーの後ろには鏡があり、周囲を映すため、実際以上に空間が広がって見える
リビングから愛車が見えるガレージハウスに憧れる人は多い。大きな窓から愛車の全景が見えるようにしたり、あえて美しいラインだけを窓で切り取るようにしたり……。今回訪れたガレージハウスでは、ソファの隣に愛車を置けるだけでなく、その見せ方にも建築家の緻密な計算が隠されていた。
「車のある風景」が延々と続いていく室内
低く、堂々と構える車たち。その造形には、施主だけでなく建築家も魅せられた。「車8台、バイク5台、自転車4台が収められて、リビングから眺められる平屋」という施主からの要望を受けたのは建築家の山縣洋さん。
条件は明快。けれど内容は特殊。まずは車8台を見せてもらった。すると「マクラーレン、ロータス、フェラーリ、ポルシェ……どれも美しい車でした」。
デザインが優れているだけでなく、共通するのは、いずれも車幅が広くて全高が低いこと。「全高が1.2m 以下の車もあるなど、その低さ自体が非日常的なスケール」。そこから“ワイド&ロー”という概念を建築に取り入れるアイデアが生まれた。
こうして横幅が約6m×高さは約1.9mという、横長の開口部が空間を繋いでいくガレージハウスが完成した。
▲現在の愛車はフェラーリ 458スパイダー、マクラーレン 600LT、ポルシェ 997 GT3 RS、964型911、ボクスタースパイダー、カイエンターボ、ロータス エリート シリーズ1、ロータス ヨーロッパ、トヨタ 86
▲車の後ろ側は収納スペース。友人たちと車を眺めながら飲食できるよう、冷蔵庫も隠されている。釣りやラジコンと多趣味な施主の道具も収納車8台分のガレージに加えて、リビングの隣に1台だけ置ける、ちょっとした特設ステージを用意。このステージとリビングの天井高は、どちらも3mほどあるが、あえてその間に横長の開口部を備えることで余分な空間を隠し、ステージ上の低い車の美しさをより引き立てている。
▲リビング横の特設ステージの入り口は、大きな2枚の開き戸が備わる。その手前には車を転回できる広いスペースがあるので容易に出し入れできる
▲浴室から出ると、リビングとの間にある中庭越しにこのような景色が見える
▲リビング側と異なり、ダイニング側は視線が抜けた先に緑とガレージ内の愛車が見える。同じ空間から見える景色も視線を変えると表情が変わるそれだけではない。リビングからガレージ奥へと視線を移すと、“車のある景色”が延々とループする。これはリビングと反対側のガレージ壁面が鏡になっているからだ。
▲リビングからガレージを眺めると、ガレージ奥の鏡に愛車やリビング側の景色が映り込む。まるでガレージが延々と続いているかのように見えるこんなふうに、幾重もの横長フレームは、車だけでなく絶妙に配された中庭の緑も取り込み、約280坪という広い敷地にある「平屋」の表情を様々に切り取ってくれる。
横長フレームの“メイン素材”である車を所有する施主は、スーパーカー世代。美しい車を飾っておくのではなく、走らせる派。しかも、ハーレーでアメリカを横断したほどのバイク好きでもある。
かつての自宅では計13台にものぼる車やバイクは収まりきらなくなり、点在せざるを得なくなった。
「せっかく惚れ込んで買った愛車たちを目の届くところに置きたい!」。そんな思いが、このガレージハウスに繋がった。
最近、施主は古い車にも興味があるという。新しい車はすぐにエンジンがかかるけれど、キャブ車はキーをひねって、燃料ポンプの作動音を聞き……。「それが楽しい」。
だから今度はリビング脇のステージに、ロータス ヨーロッパを置いてみたいと言う。その次にステージに上がれる愛車は、さてどの車になるのだろうか。
▲寝室などのプライベートゾーンへ続く渡り廊下。アメリカでのツーリングや、サーキット走行の写真など、施主の思い入れのあるグッズが飾られている
▲8台分のガレージ。自分と同い年のロータス エリートは、取材時フルレストア中。空いたスペースには現在シミュレーターやソファを置いている■主要用途:専用住宅
■構造:木造
■敷地面積:949.36㎡
■建築面積:398.00㎡
■延床面積:398.00㎡
■設計・監理:山縣洋建築設計事務所
■TEL:044-931-5737
※カーセンサーEDGE 2023年6月号(2023年4月27日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています
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