時代は変わっても志は変わらない! 車好きを魅了するモータースポーツの雄【EDGE Motorsports】
2023/10/12

駆けぬける歓びを体現したハイパフォーマンスモデル群
BMW(Bayerische Motoren WerkeAG)のモータースポーツの歴史を振り返ると、多くの人にとって身近な市販車ベースのツーリングカーレースに長年注力し続けていたことがわかる。そして、それが現在の「M」へとつながっている。
1961年、倒産の危機に瀕していたBMWが起死回生の一手として世に放ったのが、BMW 1500を始めとするノイエ・クラッセシリーズだった。1800TIなどが当時のヨーロッパツーリングカー選手権(ETC)で活躍を始める。これの進化版がいわゆる02(マルニ)シリーズだ。1602にはじまったこのシリーズは、後に2Lへと排気量を拡大し、2002となる。これをベースにツインキャブの2002ti、インジェクションの2002TI、そして航空機エンジンで培ったターボ技術を投入した2002ターボへと進化を遂げる。
02シリーズはレースシーンで連戦連勝。それゆえに高い人気を誇ったが、BMWだけではレースでのニーズをカバーしきれなかった。そこで1972年にBMW モータースポーツ社(現BMW M社)を設立。ミュンヘンの8000平方メートルを超える広大な敷地に、レーシング・ワークショップ、レーシング・エンジン組立て部門、工具製作部門、エンジン・テストベンチを設置。そこで初代BMW 3.0 CSLが誕生し、翌年にはニュルブルクリンク24時間耐久レースで勝利を収めた。

1978年にはBMW M初の市販車、BMW M1を発表。これによって今につながる“Mモデル”の歴史が始まる。1980年にはF1への参加を表明し、F1用エンジンの開発をスタート。ドライバーにネルソン・ピケを擁したブラバムBMWが優勝を果たすなど、1987年までに通算9勝をあげた。
1984年にはセダンにレースカーの性能を与えた“羊の皮を被った狼”の異名をもつ初代M5がデビューする。続いて1985年には初代M3が発表された。これは当時のグループAレースへのホモロゲーション取得のための高性能モデルであり、メルセデス・ベンツの190EVO、アウディのA4、アルファ ロメオの155といったライバルとの激闘により、人気を博した。

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BMW M1 × 全国
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BMW M5 × 全国
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BMW M3 × 全国1993年、BMWモータースポーツ社は、BMW M社へ社名変更を行う。リッターあたり100ps以上を発生する2代目M3(E36型)が登場し、1997年には世界初のシーケンシャルMギアボックス(SMG)を採用した。1998年にデビューした3代目M5はBMW初の8気筒エンジンを搭載していた。
2003年には1970年代にツーリングカーを席巻した3.0 CSLの名を継いだM3 CSLが復活。3つの頭文字は「Coupe Sport Leichtbau(クーペ、スポーツ、軽量構造)」を表し、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)を多用することで110kgの軽量化に成功。CSLは、1383台が生産された。
2005年には6シリーズクーペをベースとしたM6が登場。2009年にはSUVとしては初となるMモデル、X5 M、X6 Mが登場し、モデルバリエーションを拡大していく。2016年には、2002ターボの再来といわれるM2クーペが登場。そして2022年にBMW M社は設立50周年を迎えた。

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BMW X5 M/X6 M × 全国
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BMW M2 × 全国そして現在、BMWには1シリーズから8シリーズ、SUVのX1からX7、さらには電気自動車のBMW iなど、実に様々なモデルバリエーションがある。そして、車名に「M」がつくモデルは、実に34にも上る(2023年10月現在)。
BMW M社がサーキット走行を念頭にエンジンまで自社開発した本来のコンセプトを受け継ぐ、いわゆるコンプリートカーを「Mモデル」、通常ラインナップをベースにBMW M社がチューニングを施し、デイリーユースも念頭にスポーティに仕立てたモデルを「Mパフォーマンスモデル」と呼んでいる。近年は、あとからそのエッセンスが追加できるようBMWの純正用品の新シリーズとして「Mパフォーマンスパーツ」が追加されている。
BMWはディーゼルもガソリンもプラグインハイブリッドもBEVも燃料電池も、全方位でカードを用意している。そのラインナップを俯瞰してみると、電気自動車の時代になってもMの立ち位置は変わらないのだという、BMWからの意思とメッセージが伝わってくるようにもみえる。


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