「憧れはハチロク」という彼女が乗るのはシックな内装のJA11型ジムニー
2025/08/08

車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
この子との時間を長く楽しむためにJB64型ジムニーも購入
今回の取材で我々が訪れたのは、「All 86 Fan Meeting 2025 in GUNMA」。文字どおり86やGR86(さらにBRZも)、ハチロク(AE86)のオーナーが集まるイベントだ。そんなスポーツカーの熱気があふれる中で鮮やかなボディカラーのJA11型ジムニーに乗る女性オーナーを発見。珍しいなと思い、声をかけてみた。
「私は『頭文字D』が好きで、それからハチロクに憧れているんですよ。自分でハチロクに乗るのは無理だけれど、たくさんのハチロクが集まると聞いて楽しそうだなと思って遊びに来ました」
オーナーのこりんさんは照れくさそうに笑う。だが、ハチロクに比べれば新しいとはいえ、こりんさんの愛車も十分にネオクラシックの域に入っているモデル。スポーツモデルとクロカン4WDという違いはあるが、かなりの気合いがないと選びづらい車だ。

「実はお父さんがJA22のジムニーに乗っていて、私がそれを譲り受けて乗るようになったんです。ジムニーはカワイイし、乗ると楽しいから気に入っちゃったんですよね。とくにアクセルを踏んだときに感じる独特の硬さが好きなんです」

車や機械に多少なりとも詳しいと、古い車は「トラブルがあるかも……」と敬遠したりもする。でも、こりんさんは「カワイイ!」という感情で父親から古い車を受け継ぎ、この車でしか味わえない楽しさも手に入れた。
JA22は友人からも好評で、みんなでドライブに出かけたりもした。もちろんトラブルがゼロではないが、それでも古い車とのカーライフを楽しんでいたそうだ。
でもある日、「今回の故障は直すのにかなりお金が必要になる」という事態が発生。さすがに手放さないとダメかなとどんよりした気分になったとき、車屋さんがたまたまこりんさんの家まで乗ってきたジムニーを指差し、「これに乗る?」と聞いてきたのだ。

「大好きだったジムニーにもう乗れないと思ったのに、別の車ではあるもののすごくカワイイジムニーにもう一度乗ることができるのがうれしくて、すぐに『乗ります!』と返事しました。JA22とお別れするときは友達も呼んでみんなで写真を撮って、それでこの子をお迎えしたんです」
きっと、その車屋さんも気に入っていたジムニーに乗れなくなってこりんさんが悲しい思いをするのをわかっていたのだろう。だからこそわざわざ、こりんさんが好きな水色のジムニーに乗ってきてくれたに違いない。
ブラウンをまとまったインテリアは大人っぽい雰囲気だ。こりんさんは購入後に、車内の雰囲気に合わせてステアリングをウッドに交換したそうだ。

でも、JA11はJA22よりも前の世代のモデル。車がさらに古くなってしまうが心配はなかったのだろうか。
「まったくありませんでした。カワイイ! これに乗れるのがうれしい! という思いしかありませんでした」
こりんさんはこのジムニーを毎日の通勤や休日のドライブなどで、毎日のように運転している。でも、ドライブといってもアウトドアに行ったりするのではなく、友人と遊んだりショッピングをしたりする感じだ。ちなみに、こりんさんのJA11は3速AT。オフロードを走るわけではないので、楽に運転できる方が良かったという。
「ただ、古い車を酷使するのもかわいそうなので、もう1台、新しい車を手に入れました。今はJA11とその車、半々くらいで通勤しています」
こりんさんが手に入れたのは、なんと現行モデルとなるJB64型ジムニー。新旧2台のジムニーがあることで暮らしはどう変わったのだろう。
「やっぱり新しいJB64がやってきたことで通勤は楽になりました。特に夏はJB64の方がエアコンが効くので快適です。JA11はエアコンがあまり効かないから夏は大変……。でも、どっちが好きかと聞かれたら、JA11なんですよね。JA11の方が断然カワイイので、運転しているだけでウキウキする感じがします」

デザインや色のカワイらしさを気に入って選んだJA11型ジムニー。こりんさんは最近マフラーを交換したという。もとのデザインも好きだったけれど、『頭文字D』好きとして車をちょっとカッコよくしてあげたいと考えたそうだ。カッコよくなった自分の車を運転していると朝からテンションが上がり、一日ハッピーな気分でいられる。これはスポーツカーも軽自動車も変わらない。
「困っていることを挙げるとしたら、雨漏りです。雨が降ると運転席の足の上辺りからポタポタと水が垂れてきて、靴が濡れちゃうんです。何度修理をしてもどこから水が入ってきているのかがわからなくて……。でも、そんなところも含めてカワイイなって思えるから不思議ですよね」

このJA11はこりんさんにとってどんな存在? こう尋ねると、少し考えて「相棒」と答えてくれた。
「5年間乗ってきて、私にとってなくなったら困る存在になりました。JB64を買ったのも、この子となるべく長くいたいからなんです。もし私がこの子を手放して、知らない人がこの子に乗っていることを想像するのも嫌。だから本当に動けなくなるまで大切にしていきたいと思っています」
車屋さんの粋な計らいで出合うことができたジムニー。こりんさんは相棒と表現したが、きっと家族のように切っても切れない存在になっているのだろう。
▼検索条件
スズキ ジムニー(2代目) × 1990年2月~1998年9月
こりんさんのマイカーレビュー
スズキ ジムニー(JA11型)
●購入金額/60万円
●年式/1993年 ジムニー(JA11型)
●年間走行距離/約1万km
●マイカーの好きなところ/ブラウンでまとまったインテリア。大人っぽい雰囲気
●マイカーの愛すべきダメなところ/雨漏り。でもそんなところもカワイイ
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/古いけど’’味がある‘’、そんな魅力を楽しめる人

自動車ライター
高橋満(BRIDGE MAN)
求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL
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