【伊達セレクション】異端の中古車評論家・伊達軍曹、ランドローバーディフェンダーを推す
カテゴリー: クルマ
タグ: EDGEが効いている / EDGE SELECTION
2012/12/05


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人間、結局は“納豆茶漬け”に行き着くものです
美食を極めた魯山人も、晩年は「結局、いちばん美味い食べ物とは納豆茶漬けである」といったニュアンスの境地に行き着いたらしい。
車趣味でも同じようなことが言える。美食ならぬ“美車”を極めた人にゴージャスな車を今さら勧めたところで、芳しい反応は期待できまい。例えば、こうだ。
「フェラーリにはいろいろ乗りましたし、今もランボルギーニとV8フェラーリを1台ずつ持ってます。ポルシェ911? 当然乗りましたよ。ロータスも良かったねぇ。最近はもっぱらメルセデスのGのAMGを下駄にしてますけど、なかなか快適ですよ、わっはっはっは!……ハァ」的に、もはや車に対してある意味“不感症”になっている人物に「ところで今度のマクラーレンとかロールスは?」と勧めたところで「そういうのはもうお腹いっぱいで……」となる可能性は高い。
上記ほどのお大尽ではないにしても、様々な車を乗り継いだ結果、「……そういえば、次に欲しい車が見当たらない……」と茫然とする瞬間は、車趣味を突き詰めていくと必ず生まれるものだ。
今、そんな人にこそお勧めしたい“納豆茶漬け”が、ランドローバーのディフェンダーである。
ディフェンダーという“最上の”お茶漬け
無論、“納豆茶漬け”はディフェンダー以外にも様々あるわけだが、ディフェンダーの何が素晴らしいかといえば、その絶妙なバランスだ。
外観および存在感は、左上の写真を見てのとおり一切の虚飾を廃した超ヘビーデューティ系。まぁ写真は2013年モデルのため若干の虚飾成分を感じないでもないが、市場の中心である2012年モデルは、国連が紛争地帯などで使用しているモデルとよく似たデザイン&質感。魯山人もびっくりの無我の境地である。
しかしそれでいて2012年以降の現行モデルは、ラダーフレームであることを感じさせない乗り味を誇り、内装もじつは普通以上に快適。ディーゼルターボエンジンはひたすら極太のトルクを感じさせ、バタバタカラカラうるさいということもない。走行中はステアリングから常に“本物感”が両の手に伝わる。ついでに言えば実燃費も意外と悪くない(普通に使って10km/Lぐらいは走るでしょう)。
つまり、ただの安納豆茶漬けではなく、水戸産の最高級納豆をふんだんに使った、しかし質素な茶漬けを、趣のある日本間でいただいているような、そんな車なのである。行き着くところまで行き着いてしまった大人な趣味人の“最後の1台”としても最適であると、不肖わたくしは考えている。
しかし、“最後の1台”とするにはやはり惜しいのかもしれない。なぜならば、下世話な話で恐縮だが、ディフェンダーはそのリセール価格もフェラーリ並みに高額となる場合が多いからだ。
ということで、今回の伊達セレクションはずばりこちら。
ディフェンダーこそ、数寄者の最終到達点かもしれません!