’75 CITROEN GS
カテゴリー: クルマ
タグ: EDGEが効いている / VINTAGE EDGE
2012/12/13
▲シトロエンが1970年にラインナップの中間車種として発売したモデル。空力性能に優れた大胆なデザイン、ハイドロニューマティックの乗り味、油圧ブレーキなど、DSから様々な技術を受け継ぎ、エンジンは水平対向4気筒を採用時代を作るには良いと思ったことを採用する技量が必要
デビュー時は1000cc、72年に1200ccを追加し、73年にはロータリーエンジンを積んだビロトールも登場する。その後、プジョーに吸収されたためビロトールは生産されなくなり、78年からは1000ccが1100ccに変更され、1986年まで発売が続けられた。
松本 巨匠! 今日はこんなエンスーなお店があったんだ! と思わせるお店に行こうと思います。
徳大寺 俺たちはこのあたりのお店は見尽くしてるんじゃないか。で、何だい車は?
松本 巨匠も乗っていた“シトロエンGS”です。
徳大寺 そりゃカッコいい車だけど、大変な車だな。だけど、今は程度が良いのも少なくなってきただろう。
松本 シトロエンGSは、デザインといい、色といい、メカニズムといい、今なお残っていてほしいと思える車ですよね。ボディサイズのわりにパッケージングも抜群ですから。
徳大寺 こんな住宅地にあるのか? おっ! ルノー4CVがあるぞ!あそこだろう。あんな車は並の車屋は持ってないからね。
松本 シトロエンのCXもありますしね。あっ! シムカ1000があります。ルノー8が同時期に発売されてそれほどメジャーにはなれませんでしたが、存在感ありますね。
徳大寺 この系統の車は当時は大衆車だったのに現在では知られてないんだよな。
松本 しかしこう見ると、シトロエンGSがいかに当時飛び抜けたデザインだったかよくわかりますね。エンジニアリングとデザインに一体感があります。
徳大寺 これか。オリジナルコンディションでいいね。内装のファブリックもオリジナルじゃないか。ダッシュパネルもモダンだよな。止まってるとこ見るとしみじみ良い車だと思うんだけど、修理代が馬鹿にならないんだよ。
松本 巨匠は桜新町の西武自動車に通ったんですね?(笑)
徳大寺 そうそう、常連だったよ。僕のGSはライトブルーだったんだ。内装がたしかベージュのベロアだったかな。初期型で排気量が1015ccだからね。空冷の水平対向エンジンは何となくピックアップが良さそうに感じるだろう? これが違うんだよ。もっさりしててさぁ。
松本 10年ほど前にこれと双子のようなGSをワンオーナーで持っていらっしゃる方が近所にいまして、僕は自分の車のように乗っていましたね(笑) 加速がどうのというよりもクルージングしているときに良さを発揮するんじゃないんですか。
徳大寺 そうなんだよ。それがシトロエンらしいんだよな。排気量や馬力じゃなくて走り出したときの優雅な感じが。シトロエンの礎のひとつは天才エンジニア ルフェーブルだからね。かれはヴォワザンにいるときから排気量は小さくても高級な走りを追求していたんだ。それがGSにも注がれているんだな。
松本 本当、そういう感じがしますね。特にルフェーブルとデザイナーのベルトーニのコンビが作り上げた空力とエンジニアリングは、今日の自動車の大切なエレメントになっているわけです。僕はGSのAピラーを見たときに、7年間所有していたベルトーニデザインのアミ6を思わせると思いました。フラットボトムだって1950年代からですからね。GSが整備性が悪いのもうなずけます。
徳大寺 でもGSはハンドリングはピカイチだったな。その後アウディがパンクしても安心して止まることができると言っていたけど、GSはもっと安心して止まれたと思うよ。だって3輪で走ることができるんだぜ。
松本 サスペンションストロークをあんなにゆったり取りながらアライメント変化を最小限にとどめている車はそうそうないですね。
徳大寺 それとこの内装の質がいいんだよ。
松本 現代に通じる質感ですね。触れるところもソフトタッチで。質感をシトロエンのエンジニアは知ってるんですよね。この当時から。
徳大寺 だって、シトロエンのルフェーブルは弩級の高級車を作っていた人だからね。高級とは何かということをシトロエンに教えたんだと思うな。それが大衆車になったとしても妥協ができない部分だったんじゃないか。
松本 そう思います。たとえ大衆車であろうと心地よさや程度のよさをルフェーブルは知っていたはずですね。
徳大寺 利益追求型の世知辛い世の中で、良いと思ったことは導入するシトロエンはすごいよ。だから歴史を作ることができる。プリウスも似たところあるしな。時代を作るには、臆せずに良いと思ったことを採用する技量が必要なんじゃないか。それが進歩ということだと思うな。




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