【伊達セレクション】異端の中古車評論家・伊達軍曹、ミドル世代にアルピナを勧める
カテゴリー: クルマ
タグ: EDGEが効いている / EDGE SELECTION
2014/01/16


紅白歌合戦の若手歌手が鬱陶しくなったらアルピナに乗る
今さらな話題で恐縮だが、昨年の大みそかに「NHK紅白歌合戦」を観ていて思ったのは「あぁ、わたしも年を取ったのだな」ということだった。若者らが演舞歌唱する題目がうるさく感じられてならないのだ。かといって演歌を聴きたいわけでもないのだが、とにかく若者のチャカチャカした歌と動きを鬱陶しく感じてしまうのである。
嗜好は年齢とともに変化するという話だが、「車の嗜好」も、やはり年齢とともに変わっていくようだ。筆者も30代までは、いや40代前半ぐらいまでは、いわゆるトンガってる系のモデルを好み、実際それらを所有した。
しかし五十路も視野に入ってきた今となっては、かなりビミョーだ。いやもちろん、プリウスか何かで地味な隠居生活をしたいわけではない。できれば、その気になればスピードも出せる車に相変わらず乗りたいとは思う。しかし、例えばBMW M3の荒ぶるエンジンとハードな足回りを毎日味わいたいか? と問われれば、かなりビミョーなのだ。
若年時代から続くカーマニアとしてのココロと、肉体のリアルとが乖離しはじめているのが、筆者にとっての40代後半というお年頃なのだろう。それが起こる年齢は人それぞれだろうが、「地味で静かな車に乗りたいわけではない。しかしハードなアレも、そろそろアレだしなぁ……」と感じている諸兄も多いはずだ。
で、そんな諸兄というかご同輩に筆者がお勧めしたいのが「アルピナ」である。
若造にはわからない「高級椀物」の絶妙な味わい
ご承知のとおりアルピナは、BMWをベースとした独自モデルを生産しているドイツの自動車メーカー。アルピナ社の熟練職人が磨き込むピストンの重量公差はわずか1/1000g。それゆえ、ただでさえシルキーな回転感覚を持つBMW製エンジンは、アルピナの工場で組み直されると「ウルトラシルキー」と呼ぶほかない何かに生まれ変わる。足回りも然りで、ハイパワーなエンジンに見合う引き締まったサスペンションではあるのだが、その感触はしなやか極まりない。
内外装もまた然り。それぞれにアルピナ独自の改変が加えられているわけだが、車に詳しくない人間が見れば通常のBMW車と区別がつかないぐらいの、ほんのりとした改変である。化学調味料に慣れすぎた味オンチには理解不能な「薄味の超高級椀物」と同じ立ち位置、といえば良いだろうか。
……と、そんな「超高級椀物」を、実は筆者は30代の頃に所有していた。後期E46型3シリーズをベースとしたアルピナ B3Sという車だ。前述のとおりエンジンも足回りも内外装もすべてがしなやかで、素晴らしい車だった。
が、まだ若かった当時の筆者には、それらの素晴らしさが“退屈”とも感じられた。「やっぱM3にしとけば良かったかな……」と思わない日は、実はなかった。シンプルな刺激を欲していたのだろう。それが、アルピナには欠けていた。
しかし、今ならば迷うことなく「M3よりもB3!」という選択をする。優劣ウンヌンの話ではない。「若者でもなく、かといって爺さんでもない歳になって初めてわかることもある」という話だ。とにかく、人はある年齢になると、アルピナ的な“椀物”こそが愛おしくなるのだ。
ということで、今回の伊達セレクションはずばりこちら。
オーバー40のための(?)お手頃アルピナはどうでしょう!
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