【伊達セレクション】異端の中古車評論家・伊達軍曹、「精神的押し目買い」を推奨する
カテゴリー: クルマ
タグ: EDGEが効いている / EDGE SELECTION
2014/01/23

輸入車を、株や為替で言うところの「押し目買い」する方法
株式や為替などの投資・投機をやっている人はご存じだろうが、「押し目買い」という言葉がある。上げ基調の相場が一時的に安くなったのを見計らって買う行為のことだ。株や為替の相場は一本調子で上がることはなく、多くの場合、上がっては下がり、下がっては上がりという波形を描きながら推移する。その際、一時的に下がったポイントのことを「押し目」と呼び、そこで買うことを「押し目買い」というのだ。
できれば輸入中古車も「押し目買い」をしたいものである。一時的に相場が下がった時点でオトクに入手し、その味わいをしばし堪能したのち、高騰している相場でオトクに売り抜ける。そして結果として爆益を得る、と。
しかし、そんなことが可能なのは一部スーパーカーやレアな絶版名車だけで、フツーの輸入車の相場は99.9%、時間とともに一本調子で下落する。「車は買っても売っても損をする」と言ったのはかの徳大寺有恒巨匠だが、けだし名言である。我々中古車フリークは、金銭的にはどうしたって勝ち目のないゲームに参加しているのだと最初から思っていたほうが、精神衛生上は好ましいだろう。
古物商の資格を持っていない我々は、中古車を買っても売っても損をする。「絶好の押し目買い」など基本的には夢物語なのだ。しかし、「精神的な押し目買い」ならば可能なのではないか? というのが本稿の趣旨である。
「古くさい」と「クラシカルでステキ」の端境期を狙う
説明しよう。輸入車というのは、その価格は前述のとおり時間の経過とともにほぼ一本調子で下落する。しかし「主観に基づく価値」は、それこそ株や為替のように波形を描きながら推移するのだ。
ある時期までは「なんとなく古くさいよね」と評されてストップ安となっていたモデルが、あるタイミングを境に「クラシカルでステキじゃない? 逆に?」となり、再び人気を博すのである。もちろん単に人気を博すだけで、それによってユーザーが金銭的な爆益を得ることはない。しかし「精神的な押し目買い」、すなわち「時代が一回りしたことでそろそろ人気が再燃しそうなモデルを、人気再燃前に買う」という行為は確かに可能なはずなのだ。
あくまで私見だが、人気というか“ビミョーな古くささ”のせいで現在押し目にあると思われるのが、アルファ156やBMW Z3、初代M・ベンツSLKなどの、00年前後に人気を博したちょいスポーティ系輸入車だ。
それらを汚いまま乗っていると「単にお金のない人」に見えてしまうリスクがあるが、極力フルノーマルのキレイな個体を選び、納車時にコーティングしてもらい、納車後も極力キレイに乗る。すると今から半年から1年もすれば、キラキラでゴテゴテしたニューモデルばかりのなかで「なんだかあの車、ちょっとクラシカルでステキじゃない?」となる可能性大なのだ。
もちろん、それでオーナーは金銭的に得をすることは一切ない。しかしその精神的充足感はなかなかのものかと思うのだが、どうだろうか。

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