ホンダ S660登場の裏でスマート ロードスターが絶滅間近に?
カテゴリー: クルマ
タグ: EDGEが効いている / EDGE SELECTION
2015/04/14

今買わないとそろそろ本気で入手困難となるかも
ホンダ S660の登場に世界中のマイクロコンパクトスポーツカー愛好家の熱視線が集まる中、こちらも名車と呼びたい1台のマイクロコンパクトスポーツが今、絶滅しようとしている。スマート ロードスターだ。
いや「スマート ロードスターが絶滅」と言うのも正確にいえば失礼な話で、仮に中古車市場からほぼ消えたとしても、熱心でディープな愛好家が多い車ゆえ、乗り続ける人はいつまでも乗り続けるだろう。そして愛好家集団内での個人間売買なども行われるのだろう。そういった意味で、スマート ロードスターは決して絶滅などしない。その命は半永久的に続くはずだ。だが表立っての中古車流通量はこのところ激減し、それこそ絶滅の危機に瀕しているのである。
中古スマート ロードスターの比較的熱心なウォッチャーである筆者は、1年か2年ほど前までは常におおむね20台以上のスマート ロードスターがカーセンサーnetに掲載されていたことを知っている。しかし時が進むにつれてそれが十数台となり、半年ほど前には10台を切るか切らないかというレベルになった。
で、本稿執筆時点での掲載台数はわずか6台。ガラス製のリアゲートを持つ「ロードスタークーペ」を入れて数えてみても、その台数は全国で8台にすぎない。……まさに絶滅の危機である。「いつかは」と思っていた人に対しては、脅すわけでも微妙に古い冗談を言うわけでもなく「今でしょ!」と言いたいところだ。

なぜこんなに焦っているのかといえば、スマート ロードスターというのは希代の名車であると思っているからだ。……まぁ人によっては「希代の珍車」とするのかもしれないが、少なくとも筆者は名車であると思っている。
ホンダ S660が登場した今、その立ち位置はワン・アンド・オンリーなものではなくなったのかもしれないが、それでも「全長は軽自動車並みで全幅は小型乗用車並み、そして全高はスーパースポーツ並み」という特異なパッケージングがもたらすスマート ロードスターのタイトな走りは、快感の一語に尽きる。
特に峠の下りは絶品だ。これは筆者のオリジナルではなく、12年前に筆者が雑誌編集者としてジャーナリストの清水草一氏に依頼した原稿にあったフレーズだが、「秋名のハチロクに下りで勝てるのはコイツしかいない!」という表現が、この車の美点と痛快な走りをまさに表している。ちなみに、説明するまでもないだろうが「秋名のハチロク」とは漫画「頭文字D」の主人公が乗るトヨタAE86のことだ。

筆者にはかねてよりの夢があった。それは「スマート ロードスターを通勤車にする」という夢だ。
筆者はフリーランスなので本当は通勤も何もないのだが、まぁ仕事がらみの移動をスマート ロードスターで行うということである。なにせスマート ロードスターは前述のとおり絶品の走りを(特に下り坂では)披露する車であると同時に「かさばらないエコカー」でもある。サイズはご覧のとおりの小ささで、そして燃費も悪くない。最新設計であるホンダ S660の21.2km~24.2km/Lというカタログ燃費にはさすがに負けるが、スマート ロードスターも18.4km/Lと、なかなかどうしてそれなりの好燃費だ。それゆえ、もしもスマート ロードスターを通勤車にすれば、普段はのんびり気味の快適なエコ走行を心がけ、そして心と周囲の状況が許す場面では超絶スポーツカーとしてかっ飛ばす……というスタイルの通勤ができたら本当にステキだろうなぁと思っていたのだ。
だが、2年ほど前までは中古車相場が異様に高く(200万円超はザラだった)、やっと安くなってきたと思ったら今度は筆者の趣味が完全に「釣り」に移行してしまったため、スマート ロードスターではなくなぜかルノー カングーを買ってしまった。すみません。しかし筆者のことはさておき、マイクロコンパクトスポーツカーが大好きで、なおかつ「ホンダ S660もいいんだけど、どうにも個人的に乗りきれない……」と考える人がいたならば、表面上の絶滅をする前にぜひ、スマート ロードスターを捕獲していただきたいと切に願う。
ということで今回のわたくしからのオススメはずばり「絶滅間近のスマート ロードスターおよびロードスタークーペ」だ。

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