どうして人は昔のクルマに惹かれるのか【EDGE TIME TRAVELER】
カテゴリー: クルマ
タグ: ランボルギーニ / カウンタック / アヴェンタドール / EDGEが効いている / EDGE TIME TRAVELER
2018/11/30


V12ランボルギーニが継承し続けるスタンツァーニのDNA
そのとき設計主務者パオロ・スタンツァーニはミウラに替わる次の商品カウンタックを作るだけでなく、未来も創ろうとした。アウトモビーリ・ランボルギーニ社の未来だ。
創業者フェルッチオ・ランボルギーニは、当初のもくろみと違って上がらない利益に嫌気がさして、社を畳んで損切りをしようとしていた。
試作型ミウラがモーターショーでセンセーションを巻き起こしている最中のことだった。
社主はスタンツァーニに、あらゆる部門の面倒を見る総合経営責任者の立場に就くなら、自分は株主の座に引き下がって社を存続させると言った。
こうして60年代の末にランボルギーニは、スタンツァーニ全権統括下の第2期に移行した。
スタンツァーニがまず考えたのは売上額を大幅に上げるために、ポルシェ911の競合車として投入するV8ミッドシップ2+2座のウラッコを商材に加えることだった。
そしてネガ潰しや熟成も満足にせぬまま、市場投入してしまったことでコンプレインが山のように返ってきたミウラは早々に見切って、いち早く後継のV12ミッド車を送り出すことにした。
カウンタックと名づけられることになるその次期型車は、それまでの主務者ジャンパオロ・ダラーラと交代した新任者の意地として、前作ミウラとは全く異なる設計と造形を採用した。
V12は横置きから縦置きに。60年代的に優美な局面を多用していたデザインは来る70年代のトレンドを先取りしたシャープな形態に。
それと同時に無駄の多かったパッケージ効率は極限まで突き詰められた。
そしてまたカウンタックは、ウラッコとともに応力外皮セミモノコックへと車体構造を転換しており、
かつその製造はデザイン工房ベルトーネに外注するのでなく、設備を作って社内で行うことにした。
想定以上に重量がかさんだためにカウンタックの方は最終的に以前のフレーム構造に戻されたけれど、そうした構造の転換は生産コストを圧縮するためだった。
ランボルギーニを存続させるためにそれは必要なことだったのだ。
スタンツァーニは、他にもカウンタックに隠し玉を仕込んでいた。
普通とは逆に、縦置きV12から前にトランスミッションが突き出す奇矯なレイアウト。
それは一義的にはパッケージ効率究極化のためであったが、同時にさらなるモデルチェンジのときの商品性増強まで見通して取られた方策だった。
そのトランスミッションの先端から前輪に向かって、動力を引き出せば簡単に4WDが実現できるのだ。
その後、波状的に社を襲ってきた財政面での奇禍のせいで彼はその代替車を設計することなく去っていく。
けれど仕込んだ技術の種子は生き続けてディアブロで芽を吹いた。
その後継ムルシエラゴも現行アヴェンタドールも、スタンツァーニが未来を見て案出したカウンタックの基本設定を逸れることなく踏襲している。
70年代から今に至る4 世代のランボルギーニV12車。それは、スタンツァーニが創り上げた素晴らしき直系の子孫たちである。
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