【名車への道】’87 メルセデス・ベンツ 190E 2.3-16
2019/12/09

■これから価値が上がるネオクラシックカーの魅力に迫る【名車への道】
クラシックカーになる直前の80、90年代の車たちにも、これから価値が上がる車、クラシックカー予備軍は多数存在する。そんな車たちの登場背景、歴史的価値、製法や素材の素晴らしさを自動車テクノロジーライター・松本英雄さんと探っていく企画「名車への道」。

自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
小さなメルセデス・ベンツと呼ぶに相応しい名モデル
――改めて、この企画に合う車を探すの難しいですよね。名車予備軍ってたくさんありそうで、実は少ないですし。
――じゃあ今回の車種はピッタリですね。
――メルセデス・ベンツの190E 2.3-16です。
――そうなんですよ。昔はかなりの物件があったんですが、ここ数年でコンディションの良いフルノーマル車が全然なくなってしまって……。探すのに苦労しました。あ、こちらの車です。どうですか?


――早速190Eについて教えてください。
――当初は揶揄されたけど徐々に評価が高くなっていったイメージがありますね。

――見た目がもうメルセデス・ベンツ! って感じですね。
デザインだけに留まらず、車体の骨格や構造まで把握しようとしたんだ。だからプラットフォームとデザインがひとつになって飽きのこないスタイリングを作ることができたんだね。
その後のメルセデス・ベンツのデザインもこの190Eと同じ流れになっているよね。今でも熱狂的なファンが多いW124のEクラスも元はと言えばこの190Eのデザインがベースだからね。
――エンジンもかなり面白いですよね?
このシリンダーヘッドを設計したのがモータースポーツエンジンの世界では有名な、泣く子も黙るコスワース(*3)だったわけ。なぜエンジンでは一家言あるメルセデスがわざわざコスワースに依頼したのかというと、コスワースが作ったコスキャストという鋳造技術と高性能4バルブを大量に生産するノウハウが欲しかったんだろうね。
この190E 2.3-16は前後にスポイラーが付いてたりして結構スポーツ色が強いけど、AT仕様もあることから女性オーナーも多かったよね。


――190E EVO(*4)のイメージが強すぎて、2.3-16にもスポイラーが付いてることすっかり忘れてましたよ。
さらにいえばステアリングのレシオだって全然違うし、ゴムブッシュもコンプライアンスを少なくさせるために硬いブッシュが取り付けてあったんだ。実に細かなところにも手が行き届いたモデルなんだよ。これも名車への道のエッセンスだよね。

――小さいボディに中身がギッチリ。これって日本人は好きなタイプですよね?
■注釈
*1 ブルーノ・サッコ
190EやW124、W129などを手がけたイタリア人デザイナー。サッコプレートと呼ばれるサイドパネルのデザイン処理でも有名。
*2 M102
190Eに積まれた直列4気筒エンジンの型式。後に16V化され、その高性能バージョンも190E 2.3-16として市販化された。
*3 コスワース
1958年に創業されたレーシングエンジンビルダー。ロータス、メルセデス・ベンツ、シボレーなどにエンジン供給を行った。
*4 190E EVO
1989年と1990年に追加されたレーシングモデル。正式名称は190E 2.5-16エボリューションで、ⅠとⅡが存在する。
190E 2.3-16(初代)
1982年から1993年まで発売されたメルセデス・ベンツ初のDセグメントモデル。ベースとなる190Eの他に2.3Lモデルや2.5L、直6の2.6Lモデルが用意され、ツーリングカーレースのホモロゲーションを取得するためのEVO Ⅰ、EVO Ⅱも生産された。
【関連リンク】
※カーセンサーEDGE 2019年9月号(2019年7月27日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています
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