「支払総額100万円ちょい」の旧型BMW Z4って、実際どうなんでしょう?
2017/11/17
▲車両価格ではなく「支払総額」で見て100万円ちょいぐらいで狙えるようになってきた、旧型BMW Z4の比較的低走行な物件。その安さは確かに魅力的ですが、果たして買っちゃっても大丈夫なのか?格安中古車の「ネガ」はこの場合、何だろうか?
数年前から格安化が進行していたE85こと初代BMW Z4。ビュンビュン走ってズバッと曲がり、そして造形的にも非常にセクシーという素晴らしいロードスターなわけだが、初代Z4の格安化はさらに進み、ここ最近は総額100万円から100万円ちょいぐらいでも狙える状況。しかも走行4万km台までのなかなか好条件な個体が、だ。
現行E89型Z4もすでにモデル末期ということで、その前身である初代Z4はいささか古い世代の車であることは間違いない。しかし「なかなかの低走行物件でも総額100万円ちょい」という前提で考えるなら、大いに気になる人もいるのではないだろうか。ちなみに筆者も、総額100万円ちょいのZ4が大いに気になっている者の1人だ。
しかし世の中は、光があれば必ず影もある。それと同様に、新車時の支払総額500万円級だったモノが総額100万円ちょい級になったということは、当然ながらそこには「何らかのネガ」もあることは予想しなければならない。それがなければ、理屈から考えて100万円級になるはずがないのだ。
総額100万円から100万円ちょいぐらいで買える初代BMW Z4の「ネガ」とは果たして何なのか? そして総額100万円級の初代Z4とは、そのネガを押してでも買うべきモノなのだろうか?
次章以降、調査および検討してみたい。
▲それまで販売されていたZ3の後継モデルとして03年1月に登場した初代BMW Z4。搭載エンジンは直6の2.5Lと3Lの2機種で、いずれも5速ATと組み合わされる。ソフトトップは前期型では3L仕様のみ電動開閉式だったが、06年4月以降は2.5L仕様も電動方式に変更されている中古車ゆえの「古さ」は探し方と考え方次第で克服可能
総額100万円級の初代BMW Z4で考えられるネガその1は「単純に古い」ということだろう。年式的にいささか古いため、その分だけ使用感やヤレのようなものは確実に感じられるはず。そしていわゆる走行性能や利便性みたいな部分にも、最新世代のそれと比べれば若干の古さがあるだろう。
ここについてどう考えるべきか?
前段の「使用感やヤレ」については、内外装コンディションが極力良好な個体を探すことに気合を入れれば、ある程度なんとかなるはず。それでも新車や高年式中古車と比べると明らかにヤレ感はあるわけだが、それは当然の話である。なんたって総額100万円級なのだから。そこがあまりにも気になる人は、そもそもこういった年代・価格帯の中古車を狙うべきではないだろう。
後段の「性能面での古さ」については、「悟り」を開くことさえできればほぼノープロブレムとなるはず。
「最新世代の性能の方が、そりゃ何もかも上でしょうけど。しょせんは100km/hぐらいしか出せない我が国で、紳士的な運転に徹するわけですから、旧型Z4でも十分というか、むしろ十分以上ですよウワッハッハッハ!」
くらいに心底思えるタイプの人であれば、E85型Z4であってもかなりいい感じの相棒になることは間違いない。
これらのポイントをあらかじめ理解し、そのうえで、いわゆる中古車選びの基本(内外装や電装品などのチェックをして、整備履歴も確認し、最終的には試乗もしてみる)にのっとった購入を行えば、さしあたっては、なかなか満足できる個体を購入できる可能性は非常に高いはずだ。
しかし、問題というか、本当に心配なのは、「購入後しばらく経ってから、結構な修理費用が必要になるんじゃないか?」ということだ。
次章以降、この問題について考えてみよう。
▲「エンジン本体が壊れる」というのは旧型Z4に限らずレアケースだが、本体の周囲にある「補機類」などは、比較的安価な中古車では購入後に要交換となることも。旧型Z4の場合はどうなんだろうか?細かい部品はさておき「大物」が逝くと結構な出費に
というわけでネガその2は「メンテナンス費用」だ。いくら中古車選びの基本にのっとった探し方をしたとしても、その後のメンテナンスは、間違いなくある程度の費用がかかるはず。特に格安価格帯の中古車というのは(あくまで一般論として)超絶手厚い部品交換はされていないケースが多い。そのため、しばらくするとブレーキパッドやローター、エンジンオイルではなくデフのオイルやATF(ATのオイル)などが要交換タイミングを迎える可能性はある。
しかし、これらはせいぜい数万円レベルの話で、無視するに値するとも言える。
問題は「大物」が要交換となる場合だ。
初代BMW Z4の中古車で予想される大物パーツ(交換するとなるとそこそこのお金がかかる部分)とは、おおむね以下のとおりであろう。
●電動ソフトトップの油圧モーター
●DSCユニット
●イグニッションコイル
●エアマスセンサーなどの各種センサー類
●サーモスタットなどの水回り部品
このなかで特に気になるのは「電動ソフトトップの油圧モーター」と「DSCユニット」だろうか。前者を交換するとなると約15万円の出費が見込まれ、DSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)ユニットは部品代だけで約30万円。……なかなかのアレである。
▲DSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)ユニットが壊れたままでも走れるは走れるが、やはり何かと危険。だが、それを新品に交換するとなると30万円以上の出費が予想されるわけで……とりあえずのメンテ貯金を少々用意し、あとは実際壊れてから考える!
この問題についての対応は人それぞれだろうが、筆者が考える方向性は以下のとおりだ。
■対応1:上記大物が交換済みの個体を探す
総額100万円から100万円ちょいで狙える初代Z4の年式は03年~06年式あたりが中心。要するに11年から14年落ちぐらいということだ。で、上記の大物部品というのは(もちろん一概には言えないが)7~8年で逝く場合が多い。10年落ち以上の中古車であれば「ちょうど数年前にそこを交換しました」という個体がある可能性は高い。筆者であれば、整備記録簿を元にまずはそんな個体を探すだろう。
■対応2:30万円ぐらいの「メンテ貯金」を用意し、あとは壊れたときに考える
上記の大物が同タイミングで一気に逝くと30万円では全然足りないが、たいていは異なるタイミングで逝く。また、逝ったとしても「完全部品交換」ではなく「専門工場のテクを使った調整」や「中古部品/OEM部品での対応」でイケる場合もなくはない。そのあたりを見越したうえで、とりあえずまぁ30万円ぐらいは手元にいちおう確保しておき、実際に何かが起きてから、
・ディーラーに部品交換を頼む
・専門工場に「奥の手」を依頼する
・残念だが車両を売却しちゃう
という3パターンの対応から、臨機応変に選ぶのが現実的なのではないかと思う次第だ。で、何も起きなければ30万円は丸儲けである(や、もともと自分のお金なので儲けてはいないか……)。
以上が、総額100万円級の初代BMW Z4を狙う際の筆者が考える大まかな「設計」だ。これを「めんどくさい」と考える人もいらっしゃるだろう。気持ちはわかる。そんな場合は、普通に新車や高年式中古車を狙うことをオススメする。
しかし、ここにさほどの面倒を感じない人にとっては、超絶お手頃総額の初代BMW Z4というのはなかなかステキな選択肢ではないかと思うのだが、どうだろうか。
▼検索条件
BMW Z4(初代)×総額120万円以下×走行距離5万km以下×修復歴なしこの記事で紹介している物件
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