絶滅危惧車の初代インサイトは、ホンダの意地が光るモデルだった!
2018/05/29

徹底的に燃費向上にこだわったモデル
世界初の市販ハイブリッドカー、トヨタ プリウスのデビューから遅れること2年、ガソリン車における世界No.1低燃費を引っさげて投入されたのが、ホンダ インサイトだった。
当時の指標であった10・15モード燃費は35km/L(5速MT車)という驚愕の数値を達成していた。
トヨタが低燃費・低環境負荷をうたいながらも実用性を忘れることはなかったのに対して、ホンダは市販車でありながら環境性能だけをトコトン追求していた。
もっと言えば、エンジニアたちの世界一達成への意地が光る車で、もしかしたらユーザーのニーズは二の次になってしまったのかもしれない。
ボディは細部にわたって徹底的な空力処理が施され、当時としては素晴らしいCd値0.25を達成していた。空力特性向上を狙ったリアホイールスパッツ、ボディパネル、床下の整流など、とにかくこだわりがすごい。



1L 3気筒エンジンは、1Lエンジンとしては世界最軽量。エンジン細部にわたってフリクションを低減させ、組み合わせた5速MTやCVTも小型・軽量化が図られていた。アイドリングストップ、回生ブレーキ、そしてモーターアシストが低燃費を実現させていた。
アルミボディにアルミパネルや樹脂系軽量外板パネルを採用し、重量はわずか5速MT車で820kg、CVT車で850kgに抑えられていた。サスペンションもコンパクトな構造で、アルミを多用。樹脂製燃料タンクも軽量化に繋がり、後のホンダ車の多くに採用されるようになった。

つまり……、徹底的なまでに空力、軽量化にこだわり、あえてのスタイリング、あえての2シーター、あえてのMT設定だった。すべては世界No.1低燃費のために。
世界No.1低燃費ガソリン車に乗るこだわりを持つ人なら、ファミリーカーとしては使わないだろう、という割り切りもあったのだろうか?
7年間生産されたが総生産台数は2万台弱で、国内では2000台強しか販売されることはなかった。インサイトの開発に幾らかかったのかは公表されていないが、1台あたりのコストは回収できていないのでは、と心配してしまう。
裏を返せば“お得”な車で、自動車史に残る迷車……もとい名車であることは間違いない。流通台数もわずかになってきているので、少しでも興味を持たれた方は、中古車物件をチェックしてみてほしい。

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