絶滅危惧車の初代プリメーラ、ライバルはヨーロッパの強豪セダンだった!
2019/04/07
▲1990年に登場した日産 プリメーラ。内外装のデザインだけではなく、走りに至るまで欧州車的なテイストでまとめられていたライバルは欧州車
日産 プリメーラは新しいジャンルの車として、1990年に投入された新型車だった。日本市場だけでなく、欧州や北米をも狙う世界戦略車として開発され、それまでの日産車とは一線を画していたことが話題を呼んだ。
プリメーラのカタログには「INTERNATIONAL QUALITY」というキャッチコピーとともに、プリメーラの走行写真が掲載されている。しかも、はっきりとは見えないが、見る人が見ればわかるようにボルボ 740、アウディ 90、M・ベンツ 190E、BMW 3シリーズと並走していたのだ。
最近の自動車カタログでは、考えられないダイレクトなメッセージが込められていた。
全長は4400mm、全幅1695mmとコンパクトなボディサイズながら、ホイールベースは2550mm確保していた。ヒップポイントを見直したり、トランクルームの奥行きや高さを見直したり、スペースの有効活用にはいたるところに工夫が凝らされていた。
実際、プリメーラを真横から眺めてみると、ボンネットから天井にかけてのウインドウラインは緩やかに盛り上がり、フロントウインドウの根本からドライバーの距離が大きめに取られた“キャビンフォワード”なスタイルを採用。
また、リアウインドウの角度は大きくトランクリッドにかけて傾斜させることと、凹凸を少なくしたフラッシュサーフェスのおかげで優れた空力特性を実現させていた。
トランクリッドはボンネットよりも高く設定されており、コンパクトなボディながらしっかりとしたトランク容量を確保している。
トランクリッドのステーはパンタグラフのように折り畳める構造で、トランクルームのスペースに侵入しないばかりか、パカッと90度以上開く設計になっていることはすごかった。
▲編集部に眠っていた当時のカタログ。プリメーラの後ろには、確かに欧州セダンが写っている
▲トランクリッドは90度以上開き、大きな荷物の出し入れも容易にできる質実剛健なハンドリングマシン
「高品質と洗練、虚飾を廃した機能美」と当時の開発主査は言っていたが、そのとおり、プリメーラには質実剛健さが際立っていた。
1.8Lと2Lエンジンは新開発されたもので、最高出力こそ110psと150psと普通であったが、低中速域のトルクをたっぷり発生させるものだった。また、最高出力を150psに抑えた理由は、当時のヨーロッパでの自動車保険料が150psを境に高額になることを踏まえて、だった。
コンフォートとうたっていた割には硬い乗り味、硬いシートではあったのは、開発主査が長年、フォルクスワーゲン サンタナに関わってきたことも影響していたようだ。
マルチリンク式フロントサスペンションはFFで初めて採用し、その効果はてきめんだった。様々な場面においてタイヤの接地面を最大限確保しようとする足回りのセッティングから、ハンドリングマシンとしての性能は方々から定評を得た。
また、意図的にステアリングフィールをダイレクトかつシャープに仕上げていた。スポーツカーではないが、実用的でスポーティという面では、BMW3シリーズを最も意識したのではないだろうか?
そんな初代プリメーラもデビューから約30年が経過しようとしている。たくさん作られたし、たくさん売れたのだが、カーセンサーnetには原稿執筆時点(4月5日)で7台しか掲載されていない。
面白いもので、中古車相場は新しめのものよりも初代プリメーラの方が高い。残存台数の少なさの影響もあろうし、コレクターズアイテムの予兆なのかもしれない……。
ちょっとでも気になった方は、中古車物件をチェックしてみて欲しい!
▲初代プリメーラに搭載されていたのはSR型エンジン。主にチューニングベースとして、今でも多くのファンが存在する名機といえるだろう
▲フロントにはマルチリンクサスペンションを採用。高いハンドリング性能と快適な乗り心地を両立していた▼検索条件
日産 プリメーラ(初代)
自動車ライター
古賀貴司(自動車王国)
自動車ニュースサイト「自動車王国」を主宰するも、ほとんど更新せずツイッターにいそしんでいる。大学卒業後、都銀に就職するが、車好きが講じて編集プロダクションへ転職。カーセンサー編集部員として約10年を過ごし、現在はフリーランスのライター/翻訳家として活動している。
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